クリスマスと呼んではいけない?
個人の権利が先か、国の法律が先か?


 

個人の権利が重視されているカナダでは、時として人権保護が行き過ぎて論争を呼ぶことが多い。例えば、犯罪人の人権を重視するあまり被害者の人権が軽視されることなどが良く話題になるが、「宗教の自由」にまつわる論争も多い。

欧米では、12月20日過ぎごろから元旦にかけてクリスマスホリデーとなり学校は休みに入るが、最近、公立の小中高等学校では、キリスト教以外の宗教を尊重する立場から、クリスマスホリデーと呼ばずに「ホリデーシーズン」と呼ぶようになっている。昨年はこれに拍車がかかり、公共の場所にクリスマスツリーを飾ることに抗議するユダヤ教の団体が現れ、バンクーバー国際空港から恒例のクリスマスツリーの姿が消えた。

イスラム教の習慣が巻き起こす問題も多い。
最近はインド系やアジア系の警官が目立って多くなったが、イスラム系カナダ人の主張が受け入れられ、制服の帽子の代わりにターバンをかぶることが許されている。また、近く行われるケベック州の選挙では、投票の前に行う身元確認の際に、女性が顔を覆ったベールをぬぐことを拒否する動きがあり論争を呼んでいる。

高い理想を掲げて、異文化同士の共存を実践するカナダだが、どこに多文化共存主義の基準を置くかが常に問われている。

白人と黒人の結婚に賛成!


 

カナダ人の92%は白人と黒人が結婚することに賛成。35歳以下のカナダ人は99%までが賛成している。一方、アメリカ人で白人と黒人が結婚することに賛成する人は77%で、2割以上のアメリカ人はいまだに白人と黒人が結婚することに賛成していない(Sociologist, Reginald Bibby, University of Lethbridge)。

異人種・異文化間の結婚に関する調査を20年以上行っているレスブリッジ大学社会学者レジナルド・ビビー氏は、カナダで異人種・異文化間の結婚が当たり前になっている大きな原因として、カナダには奴隷制度がなかったこと、アメリカのように異人種・異文化間の結婚を禁じる法律がなかったこと(アメリカでは1967年まで白人と黒人が結婚することは違法だった)、カナダが多文化主義を正式に掲げていることを挙げている。

カナダの多文化主義(Multiculturalism)は、外国からカナダに移住して来た人や、カナダに住む少数民族をカナダ文化に同化させるのではなく、少数民族が、それぞれの文化を維持しながらカナダ全体の文化を作り上げることを基本としている。

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