ケベックとはネイティブ・インディアンの言葉で「川の狭まるところ」と云う意味がある。その狭まったセント・ローレンス川に佇むように浮いているのがオルレアン島だ。ケベック・シティからオルレアン島まではたった一本の橋で繋がっていて、島には公共の交通機関は無く、英語はほとんど通じない。

このオルレアン島にはオゥ・トワ・ブルー（青い屋根）と云う名のB&B（ベッド＆ブレックファースト）がある。B&Bとは日本でいう民宿だ。
オゥ・トワ・ブルーの朝食は、女主人のルルさんが作る日替わりメニューで、
庭で取れた林檎のジュース、洋梨のコンポート、飼っている鶏が産んだ卵で作るふわふわのオムレット、揚げたてのポテト、島の中のパン屋さんから買って来る美味しいパン、熱いコーヒーなど。卵料理はトマト風味のポーチドエッグになったり、パンはイングリッシュマフィンになったりする。

オルレアン島の外周は60キロ以上あるが、公道はぐるりと島を一周出来る道と、横長の楕円のような島を縦に割る3本の道くらいしか無い。島には6つの村が有り、それぞれの村には美しい教会がある。

長閑に広がる牧草地、紅い実のなる林檎園、カラフルに塗られた屋根の可愛い家々・・・この島はなんて美しいのだろう！遠くで牛の鳴き声がする。島内には様々なブティックやギャラリーもあるが、心を一番惹き付けるのは矢張り美しい自然だ。

太陽が燦燦と輝く夏を過ぎ9月に入ると、青々としていた木々がまるで頬を染めるようにだんだんと紅く色付いて行く。そして金色にも。10月ともなると景色はすっかり秋色に変わっていく。 そして11月も2週目に入ると、オルレアン島は冬を迎える。すっかりと葉の落ちた木々は銀色に輝き、何とも言えない感傷的な気持ちにさせられる。