イギリスの女王を君主としているカナダには、イギリス女王の名代として国の代表を務める総督がいる。現在のカナダ総督は、黒人として始めて総督に選ばれたミカエル・ジャンだ。ハイティ共和国から避難民としてカナダに来た人で、もともとは人権運動家として知られていた。
オバマ大統領がカナダを訪問したときは、二人とも黒人ということでたちまち意気投合して、大きな笑顔で話し合っている様子が発表されて話題を呼んだ。
この総督が、先月カナダの先住民族が住むヌヌブットを訪れた際に、アザラシを解体する場に参加し、珍味とされているアザラシの心臓を食べたことで、動物愛護団体から大きな非難を受けた。
この非難に対して総督は、「彼らには彼らが誇る伝統があり、招かれた席で彼らのもてなしを進んで受け入れたことはごく自然な成り行きだった」と答えた。
ちなみに総督は、アザラシの生肉が出されることを事前に知っていたわけではないという。
ミカエル・ジャン総督は、建前で仕事をするのではなく、自分の信念のままに行動することで知られている。「お互いの立場を尊重して違いを祝いあう」カナダの理想を誇りとし、評判や政治的な意図なしにその業務を遂行している、この小柄で美しい総督の勇気に、拍手!