カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その2   By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

今日は誰がお迎え?


働く母さん、カナダ子育て奮戦記

カナダでは、(原則として)小学生では子供だけで学校に行かせることができない。6年生(こちらでは11歳)ぐらいになると、ひとり、または友達と学校に通い始めることもあるが、それは家から学校が近い子供の場合。つまり、仕事のあるお母さんたちは、親と同居している場合は子供のおじいちゃんやおばあちゃんに、そうでない場合は子供の友達の父兄に送り迎えを頼むか、子供をデイケアに預けることになる。

私が住んでいる地域では、三世帯同居家庭が多いので、おじいちゃん、おばあちゃんの送り迎えが多い。両親の顔をほとんど見たことのない子供もいる。また、両親が離婚している家庭もあるので、日によって迎えに来る人が違う子供もいる。お母さんの代わりに、お父さんが再婚した継母が迎えに来るという具合だ。

働く母さん、カナダ子育て奮戦記

特に低学年の場合、子供を迎えに来る人が、子供の親類や顔見知りであることを確認してから帰す。今まで迎えに来たことのない人が来ると、学校から父兄に問い合わせ、確認をとる。だから、朝、子供を学校に連れて行った時点で、迎えに来る人が変わることを報告しなければならない。学校に着いたら始業のベルが鳴るまで待ち、子供が教室に入ったことを見届けてから帰る。これも、すべては子供の安全のため。けれど、日本のスタイルに慣れているとかなり違和感があるだろう。

逆に私の場合、送り迎えをしないことに違和感がある。夏休みに子供たちが日本で体験入学をした時も、しっかり送り迎えをした。子供たちにはとても嫌がられたが、いきなり子供たちだけで通学させるなんてとんでもない。送り迎えをしている親御さんがいたのは意外だったが、日本も最近は物騒になっているので、その気持ちはよーくわかる。おかげで、逆に私が目立たなくてよかった。

働く母さん、カナダ子育て奮戦記

実は、体験入学をしていたある日、下の子が迎えに行った私を置いて勝手に友達と帰ってしまった。高学年と低学年の時間割が違うので、上の子の授業が終わるのを一緒に待っていた。友達と一緒に遊びたいというので遊ばせていたら、「一緒に遊ぶ」だけでなく「一緒に帰って」しまったのだ。子供のことでこの時ほどあせったことはない。私の母の家から学校まで、子供の足で20分はかかる。だいたい、一緒に帰った子がどこに住んでいるかも知らない。しかも、通学路には、竹薮や栗林のような見通しの利かない空間もある。おまけに、国道への抜け道になっていて、細い道ながら交通量は多いし、車はかなりのスピードで走る。ほんとうに命の縮まる思いをした。ところが家に帰ると、人の心配をよそにけろっとして「おかえり」だって。本当に心配の種は尽きない。早く大きくなってちょうだい。

次号へ続く

Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

おもに翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、カナダ在住6年目。
最近、カレッジに通い始め、次の目標に向けて勉強中。



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