カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その11   By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

終わったあ〜


終わったあ〜

    去年の10月から始まったプログラムがやっと終わった。週2〜3日、多い時は4日の夜間のクラスにもう行かなくてもいいのだ。先日、最後のレポートを提出したといころなので、本当に終わったばかり。一度もサボりたいとは思わなかったが、とにかくもう少しと頑張ってきた。(高い学費を払ったんだから勿体ない、という気持ちも強かったけれど…。)特に、最後の1ヶ月は、一番難しい科目だったので、終わってホッとしたが、何だか気が抜けてしまった。 まず、このプログラムを取る前に、取らなくてはならないコースがある。週1回8週間のコースで、その後に試験がある。これは、翻訳と通訳の「さわり」を勉強するコースだ。翻訳については、一応仕事にしているのでさほど心配していなかったが、通訳については経験はあるが、生業として頻繁にやってきたわけではない。だから翻訳ほど自信がない。けれど、このプログラムに進むには、試験に受かることが必要条件なのだ。

    プログラムが始まると、「概論」、「医学用語」、「言語学」、「法律」などの科目をこなして行く。その間、視聴覚室での「実技」が同時進行する。途中で、選択分野により科目が分かれ、「医療」分野を選択したクラスメートたちが、先にプログラムを終える。「法廷」分野を選択していると、疑似公判を行ったり、現地調査として法廷見学もする。最後の「同時通訳」の試験でプログラムが終わる。

終わったあ〜    授業についていくには、英語が理解できることが前提である。聞いた内容を理解するのは、重要な部分をしっかり聞いていればそれほど難しくはない。それを繰り返すのもまだ大丈夫。ところが、他の言語に「変換」するとなると、いきなり難しくなる。二つの言語が別々に話せるだけでもダメなのだ。それでも、「逐次」でいく場合はそうでもない。それが「同時」になると、聞いたそばから変換していかなくてはならないから厄介だ。日本語は、英語に比べると長さが1.5倍になるらしいから、余計に途中で躓いている暇はない。私の場合、越えなければならないハードルがあった。講師の先生にも指摘されたが、ずっと翻訳をしてきたからか、どうしても、「あれっ?」と思う言葉があると、そこで流れが止まってしまう。どんどん次に進まないと追いつかなくなるのに、ついこだわってしまう。慣れてくるまでどうなることかと思ったが、とりあえず、「あれっ?」が出てきても先に進めるようになったのは、かなり大きな成果である。

    クラスメートにはいろんな人がいた。まず、普通の学校のクラスと違って、年齢に幅がある。一番多いのは、20代半ばから30代前半だが、上は(尋ねたことはないが)60近いと思う。職業もいろいろだし、家族がある人がほとんどだ。私を含めて、子供の手がまだ離れていない人も多い。みんなやりくりして授業に出てくる。仕事の都合で出席できない時もある。特に、午前中に実習が入ると、普通の仕事をしている人は出席できない。

    私の場合、夫もフリーランスと言えば聞こえはいいが、要は自営業なので、授業のある日は夫に子供たちをみてもらっていた。多い時は,週に4日授業があったので、夫の協力なしには続かなかった。午前中からチューターの仕事が入っていれば、一度家に戻る時間はないから、ほとんど一日家にいないことになる。そういう日は、晩ご飯は夫が作る。私はと言えば、子供たちと同じ昼ご飯と、もう一食夜の分も作って、二食分のお弁当を持って行く。学校にカフェテリアはあるが、晩ご飯の時間帯は混むし、並んで待ってからだと食べる時間がほどんとない時もある。実は、カフェテリアの料理、私には少々塩味が濃すぎたというのも理由のひとつ。でも、調理プログラムを取っているシェフの卵たちが作っているから、これも仕方がない。

終わったあ〜    家にいる時間が少ないので、必然的に子供たちと過ごす時間も少なくなった。宿題も夫が見ていたが、日本語学校の宿題はどうしても見れない。いろいろなことが週末に集中するので、折角の休みが休めない。それに自分の宿題もある。通勤・通学はバスだったが、バスで移動する時間は貴重な勉強時間だった。宿題をしたり、MP3にダウンロードしたオーディオ教材を聞く時もあった。新しくもらったプリントを読むこともあった。そうでもしないと勉強時間が取れない。もしかしたら、受験生時代よりも勉強したかもしれない。久しぶりに単語帳も使った。もちろんいろんな辞書も使った。デジタル・レコーダーも使った。図書館で勉強もした。本当に、自分でもよく勉強したと思う。でも、私の勉強はまだまだ続く。
さて、打ち上げパーティーは終わったが、まだ11月に卒業式がある。来年の同じ時期に、また集まろうという話もある。国に帰る人もいる。それぞれが、これまでと何か違った道を進む。私の生活は、来年の今頃どう変わっているのだろう。

Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

おもに翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、カナダ在住6年目。
最近、カレッジに通い始め、次の目標に向けて勉強中。



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