カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その16  By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

日加お風呂事情


日加お風呂事情

    ご存知じかと思うが、子供たちの夏休みを利用して、2年振りに日本に帰った。日本に行く前に、子供たちに一番したいことは何かと尋ねると、可愛い物や洋服を買って、美味しいお菓子を食べ、おばあちゃん家のお風呂に入ること、という答えが返ってきた。私にも、日本でしたいことはたくさんあったが、何よりも真っ先に思いついたのは、やっぱりお風呂に入ること。機会があれば、温泉にも行きたいと考えていた。

    さて、今回、伯母を尋ねて山口県に行った。山口県は、亡くなった父の田舎だ。前回尋ねたのは3年前だから、ちょっと久しぶりである。ただし山口県と言っても、瀬戸内海に浮かぶ大島という島で、新幹線、在来線と路線バスを乗り継いで行く。内海の向こうは愛媛県である。伯母曰く、知り合いには、橋を渡って本州本土の病院には行かず、フェリーで往復して日帰りで松山市内の病院に通院している人もいるという。そのほうがずっと近いのだ。はっきり言って、島にあるのは海と山だけ。海産物加工とみかんの栽培・加工が主な産業だ。過疎化が進んで、島民の多くが高齢者だ。空き家も目立つ。若い人たちは、県内でも岩国や山口市内などに職を求めて出て行ってしまい、Uターンする人もそれほどいないらしい。バスの路線も縮小化され、公的交通機関は便利とは言い兼ねる。島に入ってからは、路線バスで行けるところまで行って、そこからは伯母の車で山間いの細い道をくねくねと走って行く。場所によっては、車が一台通るのがやっとという道もある。ひとつ間違うと、崖から転げ落ちてしまいそうだ。

日加お風呂事情    海と山だけとは言ったが、温泉も湧く。島にあるクアハウスのような施設に行く機会があったので、折角だから温泉にも入ろうと思っていた。ところが、お風呂が大好きな子供たちが入らないと言う。前に来た時は入ったのに、どうしてかと尋ねてみると、裸で入るのが嫌だと言う。どうせ昼間はおばちゃん達ばかりなんだから、恥ずかしくもないと思うのだか、やっぱりダメ。そういう年頃なんだろう。裸で入りたくないならどうしようもない。結局、同じ施設内の強塩泉の温水プールで遊んでから、食事をして帰った。ほとんど貸し切り状態のプールは楽しかったし、ご飯もおいしかったけれど、私としては、何だか物足りなかった。もう一度温泉に入れるかという機会があったが、ああ残念。束の間の糠喜びに終わってしまった。

    ところで、普段シャワーは浴びても、バスタブにお湯を溜めて「入浴」することはほとんどない。肩までつかることができないし、一番お風呂が恋しい冬場などは、お湯がすぐに冷めてしまう。大体、洗い場がないから困る。まずシャワーで身体を洗ってから、バスタブにお湯を溜めて入ることになる。バブルバスのように、溜めたお湯につかりながら身体を洗う人もいるようだが、その後、シャワーで身体についた石鹸分を洗い流さないと、さっぱりしないだろう。ただバブルバスの場合、そのまま出るのが正統派のようだが…。(何だか、洗った食器についた洗剤を濯ぐかどうかの議論にかなり似ている。これにも賛否両論があり、何か一筆書けそうだ。)

日加お風呂事情    よく考えたら、カナダにも温泉はある。でも「温泉」というより「ホットスプリング」である。雰囲気自体も、お風呂というより、温水プールやジャクージという感じの、似て非なるもの。入る時も水着を着て入るし、身体を洗ったりもしない。プールのように泳ぐ人もいる。まあ、お風呂の入り方はいろいろあると思うが、私には、やっぱり日本のお風呂が一番。肩まで浸かると、身体の疲れが溶け出ていくような感じがいい。内風呂もいいが、広いお風呂でのんびりお湯にも浸かりたい。ああ、温泉入りた〜い。

よし、今度日本に行く時は、絶対温泉に入る!
実家から近いところに、どこかいいとこないかしら…。

Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

おもに翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、カナダ在住6年目。
最近、カレッジに通い始め、次の目標に向けて勉強中。



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