カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その18  By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

耳ピアス


耳ピアス

    日本で耳にピアスをするのが珍しくなくなったのは、いつ頃からだろう?私が学生の頃、ピアスをしている友達はいたっけ?スカート丈や靴下の色に始まって、髪の長さや鞄の厚さに至るまで細かい校則があった中学時代は、ピアスなんてした日には、目立ちすぎて確実に親が呼び出されただろう。公立で私服だった高校時代は、パーマをかけてもお化粧をしても、何も言われなかった。だから、ピアスをしている子がいてもおかしくはなかったはずが、ピアスがそれほど一般的ではなかったんだろう。友達にしている子がいた記憶がない。大学時代も、何人かいたなあ、というくらいの記憶があるくらいだ。

耳ピアス    私がピアスにしたのは、もう20年以上前になる。イギリスのロンドンで学校に通っていた頃だった。シルバーのイヤリングに凝っていた私は、買い物に出掛けると、必ず貴金属のアクセサリー店ものぞいた。日本にはないようなデザインのものがたくさんある。それに安い。けれど悲しいことに、それは全部ピアスだった。イヤリングをするには、耳に穴を開けるしかない!一大決心をした私は、友達に聞いたやり方で、自分で開けてしまった。何と無謀な。まさに若気の至りである。でも、化膿しないようにきちんと手入れしたおかげで、何事もなく半年程でピアスの穴が完全に開いた。

    時は流れて2010年。わが家のトゥイーンズたちは、かなり前からピアスをしたいと言い続けてきた。耳に穴を開けるのは簡単だが、その後の手入れは根気がいる。自分の責任で手入れができるようになるまで待つという約束をし、それをとりあえず12歳と決めた。今年上の娘が12歳になるのを機会に、家族で話し合った末、ピアスをすることを許可した。

    ピアスにすることが決まってから、穴を開けてくれる所を本格的に探し始めた。カナダでは、モールによくあるアクセサリー店でも開けてくれる。ただし、アルバイトの女の子が、簡単な講習を受けただけで、医療行為と変わらないことをする。衛生面から見てかなり疑問がある。だから、この選択肢は最初からパス。普通のクリニックでも開けてもらえるらしいが、私たちが選んだのは、ボディー・ピアスやタトゥーを専門にするクリニック。近所にあり、娘の友達もそこで開けてもらった。その子のお母さんにいろいろ聞いてみた結果、やっぱりそこに連れて行くことにした。

耳ピアス    結論から言うと、そこを選んで大正解だった。普通のタトゥー・スタジオにありがちな、「暗くて怖い」イメージがなかったのも良かったし、開けてくれたのも、子供と話すのに慣れた感じのいいお姉さんだった。下手なクリニックで開けてもらうより、ずっと清潔で丁寧だったと思う。要は簡単な「処置」と同じで、使ったものは、消毒して使える用具以外すべて使い捨て。日本では人気があるピアサーやピアシング・ガンも使わない。お姉さんに聞いてみたが、こういう器具を使った開け方は、細い針で無理矢理穴を開けるので、細胞が破壊され、傷が治るまで、つまり穴が完全に開くまで時間がかかるそうだ。自然治癒を妨げるので、無闇に消毒液を使わないほうがいいということも聞いた。アクセサリー店のような所で開けるのは、安全上・衛生上に問題があり、許可されなくなる方向にあるとも言っていた。

    実際の手順は、まず使い捨ての医療用の手袋をする。耳たぶを消毒してから、麻酔作用のある液体を塗り、穴を開ける場所を決めて印をつける。そして、耳たぶを鉗子のようなもので挟み、注射針のお化けのような鋭い針(思ったより太くてビックリ)を耳たぶの裏から刺す。表に出た針の空洞の部分にピアスを差し込み、そのまま裏に引き抜くと、穴にピアスが入る。針が刺さる時に少し血が出るが、すぐに止まる。医療用ステンレス製のファースト・ピアスは、スタッドの代わりに、ねじ式の留め金が付いている。ダンベル型といって、両端に玉のある太くて短いまち針のような形だ。耳たぶを通る部分が長めにできているので、手入れがし易い。スタッドが耳たぶに埋まってしまうこともない。

耳ピアス    日本では、親からもらった身体に傷をつけるとは何事、という考え方がまだあるようだが、諸外国では、赤ん坊の時からピアスをしている。これはもちろん親の意思だが、小さい頃からではなくても、開けない人のほうが少ないようだ。次は下の娘である。とりあえず、二人とも今のところは耳ピアスにしか興味がないが、そのうち、耳たぶ以外の部分やへそ、眉など、ボディー・ピアスをしたいと言うようになるんだろうか。とんでもない部分でなければ、大人になってからならいいかなあ…。

Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

主に翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、現在カナダ在住7年目。
只今、何か新しいビジネスを始めようと模索中。。



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