カナディアンライフ
カナディアンライフアイウエオな毎日 その18 By Michelle Igarashi

重ね生くるのも人償うも人」


この世で生きてゆくということは、どうしても大小の罪を重ねて生きてゆくことだと思います。「罪」をおおきくかんがえれば戦争、殺人や強盗、窃盗などの犯罪を思い浮かべ、「そんなことしないわ」、とおもうかもしれませんが、たとえばゴミをポイ捨てしたり、他人の土地に勝手に入ったり、赤信号を無視したり、小さな嘘やごまかしを言ったり、なんて、こんなことは日常茶飯事、一度たりとも経験ない、なんて大人はいないでしょう。
罪重ね生くるのも人償うも人生まれたばかりの幼子や幼児ならそのような意識は何も無いですが、損得計算や社会性を身につけてゆく中で、人は小さな嘘やごまかしを経験してゆきます。それもまた広い意味で罪と言えるでしょう。大きな罪は多くの命を奪うこともあり、小さな罪もまた誰かの心を傷つけているかもしれません。
人間以外の動物には罪、というのはないのかな、とおもいます。己が生きるための戦い、生きるための殺生しかないからでしょう。それゆえ、反省や後悔、謝罪の気持ちなどはありませんね。人間はわかっていて罪を犯します。その多くは、決して自然界のような種が生きるためのものではありません。考えれば他の方法はたくさんあるのに、生きるためではなく、欲が支配して罪を犯します。自然界から見れば、人はなんと愚かしい生き物に見えるでしょうか。しかし、人はまた反省する心を持ち、自分の行動を思い直したり、後悔したりできます。罪を認め償おうとする心を持っています。これもまた人ゆえ。
己のことだけではなく、他者のことを思いやる心、いたわる心も持っています。人は罪深きものではありますが、同時に償える素晴らしい心を持った生き物でもあるのです。

罪重ね生くるのも人償うも人 失敗や無意識の間違いは誰でも犯します。なんどでも繰り返してしまいます。でも、自分の行動にちょっとでもためらいがあったなら、振り返って考え直しましょう。

起こしたことは戻らないけれど、新しくやり直し、立てなおしてゆくことが人にはできます。他人の目をみたとき、子供の目を見たとき、親の目を見たとき、あなたはまっすぐみつめられるでしょうか?ふと目をそらしたい気持ちになるときはないでしょうか?
時間は待ったなしで流れてゆきます。どんなときでも、その流れは止まりません。それならばあわてなくてもいい。勝手に流れる時間の中にゆっくりと立って、まわりを見つめ、自分を見つめ、常に何かをより良くしてゆくために、自分を思い直し、考え直し、いたわり、償い、助けあって生きてゆけば、この世の中もっと良くなってゆくかもしれません。
いいえ、わたしはどうか良くなってほしいと、己を反省しつつ祈りながら生きてゆきたいと思います。


Michelle Igarashi Michelle Igarashi
カナダ在住の日系人の皆様のための医療アドバイス、妊娠、出産のサポート、産後のケア、母乳マッサージ、授乳指導、ベビー検診、育児指導、離乳食指導、応急処置クラスなどを随時開催しております。

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