特集 - 一面記事
 

デイビッド・スズキ氏がカナダ勲章受章

カナダを代表する科学者であり環境保護論者としても広く知られているデイビッド・スズキ氏が、去る2月11日、国内最高の名誉とされているカナダ勲章でも最も高位なCompanion of the Orderを受章した。カナダ勲章は各界で顕著な功績をあげた人物に授与されるもので、芸術・文化での偉業や社会奉仕活動への貢献度が評価の対象となっている。スズキ氏は、過去に国連の環境勲章も受章している。

スズキ氏は、日系二世の両親をもつ日系三世として1936年にブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーで生まれた。しかし、1941年に第二次世界大戦が勃発、日本がカナダの敵国となったため、バンクーバーに集中していた日系カナダ人は財産を没収され、ブリティッシュ・コロンビア州内陸部の収容所に強制移動させられた。収容所生活のなかで小学校に入学したスズキ氏は、その頃から学年を飛び級するほど成績が優秀だった。

終戦後、スズキ氏一家はオンタリオ州に移った。当時、同州に日系人はほとんど住んでおらず、日系人を見たことのない人も多かったが、そのオンタリオ州の高校でも鈴木氏は成績優秀で、生徒会の会長に選ばれるほど人望も厚かった。 高校卒業後、奨学金を得てアメリカ・マサチューセッツのカレッジに入学したスズキ氏は遺伝学を専攻し、1958年に優等で卒業。その後、シカゴ大学大学院に進み、動物学の博士号を取得して同大教授に就任、巧みな話術と情熱あふれる教え方で学生の心を捉え、スズキ氏のクラスは人気を集めた。一方、アメリカで最も権威のある科学誌「ナショナルアカデミー・オブ・サイエンスジャーナル」でも遺伝子研究の成果を発表して注目を集め、バークレー大学やマサチューセッツ工科大学から教授として迎えられるなど、1060年代には遺伝子学者として全米にその名を馳せた。

こうしてスズキ氏はアメリカでの地位を築き上げたが、アメリカにおける人種差別に異を唱えてバンクーバーに帰郷、ブリティッシュ・コロンビア大学の教壇に立った。 1971年からCBC(カナダ国営放送)がスズキ氏をホストにした科学番組「ネイチャー・オブ・シングズ」を開始。これを機に、スズキ氏の名はカナダ全土にも知れ渡り、国を代表する顔の一人となった。その後、CBCやアメリカの放送局がスズキ氏をホストとして制作したテレビやラジオ番組は18本にのぼり、1979年から始まり、現在も続いている「Nature of Things with David Suzuki」は、CBCが制作する番組のなかで最も人気がある番組の一つで、カナダの文化を代表する番組にもなっている。

1980年代からは、環境保護運動の先駆者ともなり、社会・経済・生態のバランスを保つ手段を開発して広報することを目的に「デイビッド・スズキ基金」を設立した。環境破壊を阻止するうえで何が一番大切か、という問いに対してスズキ氏は、「全ての生態が相互にサポートし合ってあるので、全てが大切で、何が最も急を要するかはわからない。環境破壊が何を引き起こす最悪の事態も予想できない。最大の問題は、環境破壊のもとに成り立っている経済を作り、自然がなくなっても生きていけると思っている人間の考え方だ。自然が破壊されれば生態が破壊され、動植物は生きていけない。人間は、自分たちが他の生物と違っていると思っているが、人間を作っている原子は草木や鳥、昆虫のそれと変わりはない。これを理解するまでは環境破壊はなくならない」と語った。

 

2011年からカナダの高齢化が急進

カナダ人の中央年齢値は、2005年の時点では39歳で、G8の中で最も若い国の一つだが、今後は団塊の世代が急増する一方で出生率が継続的に低下することから、2015年には65歳以上の人口が15歳以下の人口よりも多くなる見込みだ。

カナダの高齢化が顕著になるのは、現在58歳の人が65歳になる2011年で、その後2031年までは高齢化が急速に進み、この時点で中央年齢値は43から46歳となり、65歳以上の人口の割合は全人口の23%〜25%を占めることになる(2005年度では13%)。高齢化はその後も続くが数値の伸びは緩み、2056年に中央年齢値は45歳から50歳となり、65歳以上が占める割合は25%から30%となる。また、2056年には、カナダ人10人のうち1人は80歳以上となると予測される(2005年の時点で80歳以上は31人に1人)。

高齢化と並行して生産年齢層(15歳から64歳)も2010年代から2020年代にかけて継続的に減少する。現時点での生産年齢層は全人口の70%を占めているが、2030年台には62%から60%になると見られる。(カナダ統計局)


複数の仕事をもつライフスタイルが定着

カナダ人労働者の10人に1人は仕事を一つ以上もっている。仕事を一つ以上もつのは女性の方が男性よりも多く、男性の場合は全労働者の4・4%、女性の場合は5・6%が一つ以上の仕事をもっている。仕事を一つ以上もつ理由には、借金を返すため、収入を増やすため、仕事を楽しむため、の3点が挙げられている。借金を返すためと収入を増やすために働くケースは35歳以下に多く、仕事を楽しむためと答えた人には45歳以上が多い。また仕事を一つ以上もつ期間は6ヵ月以内が35%、7ヵ月から3年半弱が38%、3年またはそれ以上が27%となっていて、一つ以上の仕事をもつ傾向が短期的なものでなくライフスタイルとして定着していることがうかがえる。

 

お金があるほど長生きする!

カナダではお金持ちほど長生きする。所得の多い人が心臓病にかかる率やけがで入院する率も所得の低い人に比べて著しく低い。所得と寿命の関係は男性の場合に顕著だ。

高額所得者層に属する人は、定額所得者層に属する人より、男性で5年間、女性で1・6年間長生きする。女性の場合、最高所得者の寿命より中間所得者の寿命の方がわずかに長く、最高所得者と最低所得者の寿命の差は1・6年しかない。これに比べて男性は、所得が低くなるにつれて寿命が短くなっている。 1990年代にカナダ人の所得は大きく上がり、これに並行してカナダ人の寿命が伸びた。しかし、同時期に貧富の差は縮まっておらず、所得による健康と寿命のギャップも変わっていない。所得の差が健康と寿命の差を生む理由は複雑だが、一般的に言えばお金持ちほどライフスタイルを選択する余裕があり、生活をコントロールすることが可能であると考えられている。

 

出会い系利用のカナダ人46%がデートに成功、結果に満足。

グローバルマーケット・インサイトインク(バンクーバー)が、18カ国1万7502人を対象に出会い系サイトに関する調査を行った結果、カナダ人利用者の約半数が出会い系サイトを通じてパートナーを見つけ、サイトの効果について「ひじょうに満足」または「ほぼ満足」していることがわかった。 同社の調査によると、出会い系サイトを利用するカナダ人の21%は「長期的でまじめな付き合い」を希望しているが、結婚相手を探している人は6%しかいなく、また、セックス相手を探すことだけが目的の利用者は18%で、実際に肉体関係をもたずにサイバーセックス(メールによるバーチャルセックス)する人も多いという。

サイバーセックスについては、実際に浮気をするわけではないものの、「恋人や配偶者に対する裏切り行為である」と感じているカナダ人が39%となっている。アメリカ人の場合も、カナダ人とほほ同数の40%が裏切り行為だと感じているが、ロシア人の場合は10%に留まっていた。 また、カナダでは、毎年600万通以上のサイバーセックスEメールが送られているが、若い世代の25%はこれが問題であるとは感じていない。

 



Top of page