私のお気に入りの通りはバンクーバーのダウンタウンから少し南に下った所にある、4thアヴェニュー。 ここは、キツラノ地区と呼ばれ、よく略してKITS(キッツ)とも呼ばれている。
アメリカ前大統領、クリントンも訪れた事があるという有名レストランBishopsや、可愛い小物のお店からおしゃれなカフェ、服のショップなどが軒を連ねる活気がある通りだ。 そんな中、私のお気に入りの、新感覚なアジアンレストランを紹介したい。
その名は、The Noodle Box、バンクーバーに1軒、ビクトリアに2軒店舗を構えるこのお店は、前から気になっていた。
バンクーバーからビクトリアに旅行した時に、ビクトリアの大通りダグラスストリート沿いに初めてこのお店を知った。 外装はおしゃれで、お店から出てくるお客がそろってテイクアウト用の紙の小箱を片手に出てくる。白地に『The Noodle Box』と書かれていて、ちゃんと針金の取っ手がついていて可愛らしい。まるで、「可愛いケーキを一個持って帰ってこれからお茶します」、といった風情。中身はベトナムやタイの麺なのに!
バスから見かけただけなのでビクトリアでは試せなかったThe Noodle Box。バンクーバーでばったり出会えたときは本当にラッキーだと思った。
そして、さてさてそのお味は・・・。
私が食べたのはTom Yum Soup &チキン($9)。ライスヌードルともやし、ピーマン等の野菜がたっぷり入った一品だ。辛さはなんと、10段階から選べる。Very Mildから始まり、Mediumを通過しそしてもっとも辛いのはなんとその名はSuicide Hot(自殺ホット) ! 私が選んだのは、Medium。ちょうど真ん中のランクだ。キャッシャーのカナダ人がしきりに、『ミディアムでもすごく辛いわよ、本当に大丈夫?』としきりに心配してくるので少々不安が募ってきたが、辛いものには韓国人の友達が驚くほど自信がある。でも、さすがにSuicide Hotは控えさせていただいたが・・・。 中身は、チキン、ポーク、豆腐、えびから選べる。注文すると、名前を聞かれる。
日本人からすると面白いなぁと思うのが、キャッシャーのすぐ後ろに見えるオープンキッチンで、豪快に鍋をふっているキッチンスタッフがすべてカナダ人。
アジア系のスタッフがいないのである。そして、店内を見渡すとほとんどのお客はカナダ人。談笑しながらごく自然に箸を使いこなして麺を食べている・・・・。
フランスに滞在していたときは、やはりパリには日本食レストランがあったが、フランス人で箸を使いこなせる人は少なかったし、いたとしてもぎこちなかった。 だが、カナダ人たちは器用に箸を使い、その姿はしっくりきている。 そこが、カナダの多民族国家のなせる業だろう。様々な文化に対応できているのだ。
そして、カナダ人スタッフの威勢の良い声で、『Tom Yum Soup, Yuko〜!!』と声がかかるのでカウンターにとりにいく。
そして、ついにご対面、Tom Yum Soup with rice noodles。
辛さは、想像通り。私の中では、もう2、3ランク上でも良かったかもしれない。
やはりそこはカナダなので、辛い物が苦手なカナダ人向けの辛さにはなっている。
でも、油断していると後で少し辛くなってくるのでご注意を。
味は、本場タイのトムヤムスープと比べると少々クセが無い。
程よい酸味が効いて、あっさりさっぱりしている。パクチーの量は少々少なく、そこもやはりカナダ人向け。
少々物足りなさを感じるならば、別添えのFish sauce(魚醤)を加えるとコクが出てさらにおいしくなる。しつこくないので、食べた後味がさわやか。
日本人の感覚で言うならば、飲んだ後のラーメン感覚で食べると良いかもしれない。 そして、特筆すべきがお店の雰囲気の面白さ。 高い天井に、壁にかけられたアジアの写真、アジアンレストランにミスマッチな陽気なカナダ人スタッフ達。天気の良い日に窓側で食べると、気分が高まってくる。 ある意味、この小さなお店の中に、『カナダ』が凝縮されているのではないか、と思う。 チャイナタウンの中華中華した味にもし飽きたら、是非こちらで気分転換はいかがだろうか?唯一の心残りは、イートインしてしまったのでテイクアウトの可愛いBOXをゲットできなかった事!今度は、ぜひテイクアウトしてみよう。