チャンスをものにするかしないかは、実力だけではなく、運でもある。でもそのチャンスに気付かない場合すら多々ある。
4度目の学期が既にスタートして中盤に差し掛かる中、僕は大きなチャンスを手にした。バレーボール。そう、小学校の頃からずっと本気でやってきたスポーツの1つである。去年の学内トーナメントに台湾人チームの助っ人として声が掛かり、見事校内準優勝したこともあってか、今学期から僕はアーカンソー州選抜チームの一員にスカウトされた。
今思えば、すべての始まりは実力でもなんでもなかった。ただの運。もし僕があの時間、あの場所をたまたま通りかからず、台湾人の友達に会っていなかったら、助っ人として呼ばれることもなく、もちろん、バレーと無縁の学生生活を送っていたことは確かである。
アメリカでチャンスが回ってくる機会は、非常に稀、自分から行動しない限り0に近い。アメリカ生活に置いて。そんな稀なチャンスが大きくなり、今となっては選抜チームのレギュラーの一角を張らせてもらえるほど、自分を必要としてくれている居場所ができた。
留学1年半で、こんな大きなチャンスを得られたのも、どこかうまくいきすぎているような気がしなくもないが、今を一生懸命頑張っている、それは紛れもない事実である。
留学した人が、口を揃えて言うこと、「一時は引きこもりになりそうになる。」その通りだ。思い出せば僕の最初の学期など、友達の誘いをもあっさり断ったこともあった。それは、留学に慣れてきてもたまに起こることである。そういう、自分の気分が乗らない時に限ってチャンスは落ちているものだ。たいていの人は、チャンスにすら気付かない。むしろ僕の場合、いい機会と分かっていながら、見て見ぬふりをしたことも多々あった。
世の中にはチャンスに強い人間と呼ばれる人がいる。有名人で言うと、イチローや阪神の金本、それにサッカーの高原。彼らの凄さは、チャンスをしっかりものにする強靭な精神力とセンス、そしてチャンスが自分に回ってくるように前もって動くこと。それが一番凄いのではないかと思う。陰で動き、ものにする。逆にいうと、めんどくさがって自分に回ってくるまで行動しようとしないと、チャンスなどなかなか回ってこないわけである。
異国で先を読んで動ける、チャンスをものにできるようになることは、とんでもない実力へと繋がることは間違いない。少なくとも僕は、英語ができるより、勉強ができるより、運動ができるよりも、そういう人がすごい人だと感じている。