スタンレーパークは、バンクーバーっ子の憩いの地となっている一大自然公園だ。公園を一周するにあたり必要になるのが、自転車とヘルメット。公園の近くに幾つも自転車レンタルのお店が並び、学生だとディスカウントしてもらえるお店があったり、様々な自転車を揃えているお店もあるので、自分の目的に合うお店を選ぼう。

今回は一番賑わっているSpokesというお店で７段切り替えの自転車をレンタルした。値段は1時間8ドル前後。半日だと20ドル前後だ。なぜ７段切り替えにしたかというと、スピードが出ることと、坂道などで上りやすくするためだ。

お店に入り、メモに名前、住所など書き、サインする。そして必要なのがクレジットカード。これはチャージされないが、保証として番号を預けることになる。帰りに無事全て返せば、問題ない。ヘルメットを渡され、いざ自転車に乗って出発！

スタート地点となるのが、コールハーバー（Coal Harbour）だ。ここは海に浮かぶヨットや船と、後ろに広がるバンクーバーのビル街がマッチして美しい場所だ。暖かい陽の中で、木々が揺れ、かすかに海から潮の香りがする。平坦な道が続くので、思いっきりスピードを出して風を切って前へ進む。自転車とインラインスケート専用の道があるので、歩行者を気にせず楽しめる。

素晴らしい気候に恵まれ、さんさんと太陽が降り注ぐ中、ハレルヤポイント（Hallelujah Point）へ到着した。ここは花のじゅうたんが広がり、背景に海が広がっていた。人々は休憩して、ただ美しい景色と気候を心から楽しんでいるように見えた。多少坂道なので、ゆっくり進む。

その後、森の中へと突入した。木々が作る陰のおかげで涼しい。太陽の光が、木々の間から柔らかく差し込み、さっきとは違う風景だ。海の音が聞こえてくる。森と海が混ざり合った感覚を得ながら進むと、白と赤の灯台が見えてきた。青い海とのコントラストが美しい。

さらに進むと、海が近くなってきて波音が聞こえる。そして岩が転がった海岸が見えてきた。海岸沿いを心地よく進む。その向こうに見えるのはライオンズゲートブリッジ（Lions Gate Bridge）だ。橋と空のコントラストが美しい。急カーブが続き、道も細くなりゆっくり進んでいく。橋がどんどん大きくなっていき、真下を通る。

橋が消えると今度は、本当に真っ青な海が広がった。遠くでヨットが3隻浮かんでいた。道は大きな岩の隣を通るようになり、迫力満点だ。その先に、小さな孤島を発見した。その名もシワッシュロック（Siwash Rock）。孤島だと思ったら、大きな岩が独立しており、上に木が生えていて神秘的な雰囲気を醸し出していた。その隣を通り、いよいよ10km地点だ。

ここで不思議な風景に出会った。岩の上に小さな岩が連なり、それが無数に置かれているのだ。どうやら地元のアーティストの作品らしい。人々はその美しさに思わず立ち止まり、眺めていた。夕日にはまた違う顔を見せるのだろう。

いよいよファイナル地点。ロストラグーン（Lost Lagoon）の横を通り、見えてきたのはそう、あのCoal Harbour。Spokesのお店まであと少し。時間を見ると１時間以上たっていたが、あっという間の時間だった。街の中にいながら、こんなにも自然を感じられて充実した時間はないだろう。バンクーバーは世界一住みやすい街だと言われている。それが納得出来る小さな旅だった。

自然と光で溢れるスタンレーパーク。多くの野鳥も住み、隠れ家的なビーチも広がる。半日レンタルして、ビーチ巡りも楽しいかもしれない。