枯葉のじゅうたん

９月の始め頃からだんだんと木々がその色を変えていって毎日景色が違っていくのが分かるようになった。 日本にいた時はほとんどの友達がカナダの紅葉を見に行くツアーに参加していたけど、私は紅葉なら日本でも見られるからと思って特に興味を持っていなかった。 カナダの西側ではエバーグリーンと言って、紅葉しない木が大半だったのでバンクーバーに住んでいた時は秋なのに何か一つ物足りないなと思っていた。

日本人が私だけのこのオンタリオの小さな町、クロインに引っ越して来て、友達がなぜカナダの紅葉を見に来たかったのかその理由がやっと分かるようになった。 なんと表現したら言いのだろうか？美しいという言葉では十分ではない気がする。カナダはメープル（カエデ）の木が有名だが、そのメープルは紅葉する代表的な木で日本のモミジの葉を大きくした、まさにカナダの国旗の真ん中の赤い葉っぱをいたるところで見ることができる。 赤、黄色、オレンジ、緑、そこらじゅうに絵の具を巻いたかのように壮大で人間の手では作ることのできない風景。

熊のような犬と黄色いベスト

ハントシーズン

秋になると鹿狩りや熊狩りのシーズンに入るらしい。ハンターはカモフラージュのために草木と似た模様や色の服を付けて森の中で目立たないようにする。 反対に間違ってハンターに打たれたくない人は目立つオレンジや黄色の帽子や服を身につける。 このあたりは森がたくさんあるので散歩の時に間違って打たれないようにさっそく私もどぎついオレンジ色のベストを買った。でもこの服はファッション感覚もなにも無いので田舎でしか着れないなあ。 ペットの犬も例外ではなく、写真の一つは犬が間違って打たれてしまわないようにと飼い主が黄色いベストを特別注文したらしい。この犬はベストを着ていなければ間違いなく熊に見えるので大正解。
夏の間はこの辺りにコテージを持っている人たちが毎年帰って来るので夏だけの友達ができる。大抵は会社をリタイヤした御夫婦が多い。 お料理教室をしたり、編み物を教わったりと本当に楽しいが、秋が終わって冬を迎える前には皆大都市に帰ってしまうので冬とのギャップが本当に激しい。

暖炉の薪にするために運ばれた大木

カナダの木こり

小学生の時に友達の女の子が将来何になりたいかという先生の質問に「カナダのキコリのお嫁さんになりたい」と言ったのを覚えている。その事がずっと頭にあったのでカナダと言えば＝木こりのおじさん　というイメージをずっと持っていた。 日本で着物を着てチョンマゲを普通に付けている人がいないのと同様にカナダも木を切っている人ばかりではない。 でも実際には私はカナダで木を切っている。正確に言うと切られた大木を小さく切って暖炉の薪を作っている。あの女の子の夢は叶ったのだろうか？ でもあの女の子の発言がいつも私の頭の中にあったので、自然にカナダと私はつながったと思うとその子に無性に会いたくなった。

記事提供：ウェスト トレック ツアーズ
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