はじめてのオーロラ
刻々と色が変化するオーロラ、
焚き火をしながら眺める。 |
翌朝三時ごろに起きて、外の様子を見ると、薄い夜の中に白いかすかなゆらめきが空の上で起きていた。はじめて見るオーロラだ。
テントの天幕の入り口を開け、寝袋に入ったまま青白い揺らめきを見つめ続けた。
海ともつかぬ湖の波の音が、白夜の中に、風にのって運ばれていく。
そのうちに、朝日がまたすぐにあがってきた。テントをたたむと、すぐにまた歩き出した。僕の足は、確実にマイルを刻み、看板を通りすぎる。朝8時に、インディアンの町カークロスの駅に着くことができた。ザックを投げ出し、ベンチに座りこんで、ほっと一息ついたころ、あることに気がついた。
「そういえば、パスポートにカナダの入国スタンプを押してもらってなかったなあ…。でも、またユーコン川下れば、アラスカに戻れるからそれで問題ないかな。」
そう考ながら、ブルーベリーマフィンを食べるために九時にオープンする店が開くのを待つことにした。
その日は、本当に抜けるような青空の気持ちのよい朝だった。
杉田えいすけ さん
福岡出身。九州産業大学で写真を専攻。自転車、登山、ロック・クライミング、カヤックが大好き。現在、税理士の資格取得に力を注ぐ福岡の自転車メッセンジャー。“九州のへそ”人吉で税理士事務所の設立とマイ・ログハウスづくりを夢見る。
www.e-adventurous.com
連載 ユーコン川、カヌーひとり旅 バックナンバー