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連載 ユーコン川、カヌーひとり旅


杉田えいすけ さん

ユーコン川上流にある支流、テスリン川を下る川旅の始まり アラスカ・北極圏とカナダの略図~旅行日程表

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 天と地のオーロラ

舵取りを試みる僕(写真:松本さん提供)
舵取りを試みる僕(写真:松本さん提供)

ドーソンから先はまた川幅が狭くなり、ユーコン川の流速がさらに速くなる。数10kmにわたり浅瀬は無く、今まであちらこちらにあった中州すら見当たらない。
自分の甘い予測では、仮に流木丸が制御不能でも中洲や浅瀬に流れ着きやがて停止するだろうと思っていた。ところが、停止できるような場所が見当たらず、最も流れが早くて水流の激しい瀬の部分へと流されていく。瀬の岩場に激突するたびに流木丸は飛ばされるようにくるくると回転しながら次の瀬へと吸い込まれるように流されていく。3重構造で丈夫なことだけが取り得の流木丸なので、ちょっとやそっとのクラッシュでは破壊されたりはしない

パドルを伝って滴が落ちる。
パドルを伝って滴が落ちる。

どのくらい寝たのだろうか、ハッと気づいた目の前に、空一面オーロラで覆われていた。緑や赤が連続的に変化していく巨大な光のうねりを僕は初めて見た。これまで見たオーロラの中で一番激しくゆれ動き、光を強く放っては放射状に広がりつづけた。あまりの光の強さに、川面にオーロラが映し出され、あたりのカットバンクや木々を照らし出していた。

 目覚めると、空一面にオーロラが広がる。
目覚めると、空一面にオーロラが広がる。

睡眠から覚めるや、すごい場所に自分がいることに驚愕してしまう。一瞬そこが、どこなのかわからないくらいの状況だった。僕が思うに、ちょっと勇気がいる大胆な旅は、素敵なご褒美がどこかで必ず待ち受けている気がする。夜にユーコン川を漂流していないと上空のみならず川面に写りこんだ、天地にあるオーロラは、ちょっと味わえない光景だと思う。強い光を放ちながらうねるオーロラは、「シュー」っというような音が聞こえたような気がしたが、酔っていたので気のせいだろう。

オーロラの照り返しのおかげで、瀬の方向が確認でき何とか切り抜けた。空が太陽で明るくなるころに、やっと流れが遅くなってきて浅瀬に流れ着く。ユーコン周辺の地図で、現在地を確認すると80kmも流されているではないか!肉体的にも精神的にも疲労困憊し、テントを張って爆睡。

杉田えいすけ さん杉田えいすけ さん
福岡出身。九州産業大学で写真を専攻。自転車、登山、ロック・クライミング、カヤックが大好き。現在、税理士の資格取得に力を注ぐ福岡の自転車メッセンジャー。“九州のへそ”人吉で税理士事務所の設立とマイ・ログハウスづくりを夢見る。
www.e-adventurous.com


 

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