新しい年が明けました。こ のときだけ「年が明ける」という字を使います。この「明ける」という字には、年が明ける、夜が明ける、というように、一定の時間 や期間が変わることを表します。
夜が明けるが如く、次の年は明るい未来であって欲しいと誰もが願うことでしょう。
争いの続く国 も、貧しさに苦しむ国も、まだこの世界にはたくさんたくさんあります。むしろ衣食住に満ち足りている人間の数のほうが、そうでな い人々より少ないのです。
いまもなお、世界中あちこちの地域で衣食住の不足が悲劇を生み続けています。貧しい国に住む人々、争い の中に常に命の危険に怯え暮らす人々、そんな人々も新しい年を迎えるとき、来るべき未来に平和を、安全を、健康を、満ちた食を祈 ります。年越しのとき、世界中の人々が祈る思いの根底は同じだとおもいます。
そうして毎年、その祈りが叶えられますようにと心から願います。
争いの地に終息と平安を、貧しき国に満ちる食料と衣類、生活の安定を、医療や教育のない地に適切な医療と学校を、災害の地に励ま しと癒しと復興を。
この願いを実現するには何が必要でしょう。神の奇跡でしょうか? いいえ、人の手が必要なだけです。満ちた人は足りない人に、そ の手を差し伸べ、分け与えてゆけば良いのです。国がやってくれるのを待つのもひとつかもしれませんが、国は誰が動かしています か? 私達と同じ、人です。大きな力を望むのではなく、小さな人の小さな力が集まれば、自然に大きな力になり、国を動かします。 国を変えてゆきます。
カナダや日本に住む私たちは決して貧しい国に住んでいるのではありません。衣食住は満たされた国です。そこに生まれ、そこに暮ら してゆける私たちの立場に感謝をして、私たちにできることを考えて見ませんか? 最初から人を集めるとか、大きな活動にしようと か、は難しいことです。普通なら簡単にはできません。できないから、私には無理、って思っていませんか? そうじゃない。私にで きること、私だけでできること、それを見つけてほしい。そうして見つけたら続けてほしい。続けてゆくことで、いつか大きな力につ ながるかもしれません。
今できないから、と諦める前に、今しかできないと思いませんか?
時間は容赦なく流れてゆきます。私たちの時間の長さは誰にもわからない。未来を待つのではなく、今を生き重ねてゆく。それが大き な未来へとつながる。わたしはそう考えます。 立派な人間になるより、真摯になれ。素直であれ。謙虚であれ。そしてただひたむき に生きたい。
2012年の一日一日が多 くの人の喜びに満ちますように。