カナディアンライフ

カナディアンライフ働く母さん、カナダ子育て奮戦記 その35 By Yasuko Garlick(ガーリック康子)

ラフター・ヨガ



ラフター・ヨガ

    つい最近、「ラフター・ヨガ・リーダー」というものになった。日本では「笑いヨガ」とも呼ばれるこのラフター・ヨガは、簡単に言うと「ヨガの呼吸法を取り入れた笑う運動法」である。冗談やコメディー、ユーモアを用いずに、ただ笑う。おもに、手拍子、深呼吸、笑いの体操、リラクセーションで構成された、とてもシンプルな有酸素運動である。特に健康上に問題がなければ、年齢や体力に関係なく誰にでもできる。この運動法を、ラフター・ヨガ・リーダーが進めて行く。リーダーになると、自分でラフター・ヨガ・クラブを始めたり、ビジネスとして、地域社会でラフター・ヨガのセッションを行うことができる。

    ラフター・ヨガの始まりは、1995年、インドのムンバイ。地元の医師であるカタリア先生が始めた活動である。最初は、5人だけでムンバイの公園に集まり、面白い話をして一緒に笑っていたが、10日もするとネタが尽きてしまった。そこで、ヨガ講師の奥様の協力を得て、ヨガの呼吸法を取り入れた笑いのエクササイズとして、ラフター・ヨガが誕生した。その後、改良が重ねられ、今のラフター・ヨガに至った。毎朝人が集まって、一緒に笑う。それがインド国内であっという間に広まり、今では、世界65カ国以上で、6,000以上のラフター・ヨガクラブがある。

ラフター・ヨガ    私が、このラフター・ヨガに出会ったのは、3年近く前。それは、学校のPAC(日本のPTAにあたる)のメンバーを対象にしたセミナーだった。「上手な会議の進め方」とか、「会計110番」というような、PAC運営に関係のあるワークショップの中で、ひとつだけ毛色の違うものがあった。それが、ラフター・ヨガだった。このワークショップに、これは一体何だろう、という興味だけで参加したことがきっかけである。

    リーダーの指示に従って、いろいろな笑いのエクササイズをするのだが、最初は何だか照れくさい。おかしくもないのに笑えと言われても、どうすればいいのか困ってしまう。ところが、始めてすぐに、ほっぺたの筋肉が痛くなってくる。いかに普段笑っていないかという証拠。(ちなみに、ある研究によると、一日のうちに、子どもが300回から400回笑うのに対し、大人はたった15回から20回しか笑わないという。)しばらくすると、今度は腹筋。笑いすぎた時の「お腹がよじれる」あの感覚である。同時に、身体がポカポカして、何となく汗ばんでくる。途中で深呼吸を促す笑い方もするので、呼吸が深く、長くなってくる。終わる頃には、心も身体もすっきり。それは、適度に運動した後の気持ちよさそのものだった。運動量にすると、ラフター・ヨガは、10分間で30分間のローイングマシンの運動量に匹敵するらしいので、実は、思ったより体力を消耗するのだ。

ラフター・ヨガ    それ以来、気にはなっていたものの、特にクラブに定期的に参加していたわけではなかった。だが、たまたま知り合った人が、ラフター・ヨガ・リーダーだったということがきっかけで、実際にクラブに行き始めた。そこで私はラフター・ヨガにはまってしまったのだ。

    ラフター・ヨガ・リーダーのワークショップの講習を受けている時に、気がついたことがある。自分の笑いが変化していたのだ。笑いのトーンが明るくなり、自分の笑いが自分にもよく聞こえる。この変化は一体何だろう?今まで、本当に笑ってはいなかったんだろうか?とても不思議である。

    本当におかしくて笑っても、作って笑っても、人間の脳には区別がつかないという。つまり、作り笑いでもその効果は同じ。最初は、体操として笑うのだが、みんなで笑っているうちに笑いが伝染し、自然に笑いが止まらなくなる。恥ずかしいとか、馬鹿みたいとか言っていられなくなるのだ。

    「笑いは百薬の長」、「一笑一若」、「笑う顔に矢立たず」など、「笑い」に関する諺は探すと結構ある。「笑う門には福来たる」をモットーに、ラフター・ヨガを広めていいたいなあ、と思う今日この頃である。


Yasuko GarlickYasuko Garlick(ガーリック康子)

主に翻訳、通訳、チューターを生業とする2児の母。夫はカナダ人。
数カ国に滞在後、現在カナダ在住7年目。
只今、何か新しいビジネスを始めようと模索中。。



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