「友達みんな持ってるから、携帯欲しい。」
「みんなって誰?」
「○○と××と△△。」
「みんなじゃないじゃない。」
「………。」
去年のクリスマスの頃、携帯電話のことをエッセーにした記憶がある。ちょうど、それまで使っていたペイ・アズ・ユー・ゴーの携帯電話から、スマートフォンに替えた頃だ。携帯会社も変え、無契約、無制限のプランを、月払いでなく年払いにして、更に割り引きがついた。その後すぐに、夫も携帯の契約が切れるのを機に、ケーブルテレビもある制限だらけの会社から、私と同じ会社に乗り換え、家族プランで更に割り引き。ついでに、ほとんどファックス送受信の役目しか果たしていなかった地上電話も携帯に変え、家の電話はすべて携帯電話になった。
それから、約9ヶ月後。上の娘が8年生になり、友達の中には、進学を機に携帯を買ってもらった子もいた。事ある毎に、携帯が欲しいと言い続け、その度に、誰が通話料を払うのかという質問になる。そんなに欲しいなら、自分でお金を貯めて買えばと言うと、そこでいつも会話が終わる。携帯電話がそれほど安いものではないため、すぐに買うのは無理だとわかり、しばらくは諦めていたようだった。
とは言うものの、いろいろな所へ子どもだけで行けるようになると、連絡手段がないのはやはり心配である。これまでは、家用の携帯を持たせていたが、この電話には家族全員、特に携帯を持っていない妹に電話がかかってくる。仕事の電話がかかってくることもある。いずれは、彼女にも携帯が必要になるとは思っていた。
そして、またクリスマスの時期がやってきた。いずれは携帯を購入することを前提に、 夫が娘のために格安の電話をずっと探していた。時期よく、同じ携帯会社のプランで、ネット接続なしの無制限プランが半額で出た。娘にとって一番大事なテキストメッセージと電話ならいくらでもOK。もちろん契約なし。家族プランだと更に安くなり、月に10ドルそこそこ。下手にペイ・アズ・ユー・ゴーの携帯を使うよりもずっと安上がりだ。ちょうど、夫がオークション・サイトで見つけた、新品同様の「キイチゴの名前」の携帯を入手し、12月から使えるように手続きをした。ただし条件はある。携帯をこちらで買う代わりに、通話料は娘が払うことになっている。(払えない場合は、そこで電話が使えなくなる。)
さて、我が家は毎年、クリスマスをバンクーバー島で過ごすため、出かける前に家族だけのミニクリスマスをする。そうすれば、結局持って帰ってくるプレゼントを持って行かずにすむ。今年も例年通り、早めのクリスマス。歳の若い順にプレゼントを開けていく。開けてからの娘の反応は、面白いくらいこちらの予想的中。携帯を一番先に開けたので、他のプレゼントは開けるのも上の空。開けてもほとんどそっちのけで、「後は勝手にやってちょうだい」状態。同じく「キイチゴの名前」の携帯を使っている私に、使い方をいろいろ尋ねてくる。そして早速、友達にテキストメッセージを送り始めた。上の娘だけにいいものをあげて、妹が焼き餅を焼くと困るので、携帯ではないが本人が喜びそうなものを用意した。逆に姉のほうが欲しがらないかなあ、という心配はこちらの取り越し苦労。
とりあえず、これでしばらくは静かにしているだろう。しかし、妹のほうが「携帯欲しい」と言い出すのは時間の問題。それまで我が家の「携帯欲しい病」は小康状態。そのうち、「新しい携帯欲しい病」が流行り出すのだろうか。お父さんにもうつったりして…。