自然と一緒に生きるということ
比較的雪が少なくて穏やかな冬だったオンタリオ州に春が来て、雪解け水が滝のようになって流れ出し、たくさんの動物達が活動し始めた。ビーバーは木を切り倒し、モグラは地面に穴を掘り続けるのであまり歓迎されないけどこれも春になって一番先に見られる光景だ。
去年の夏、買物をしていた時に一人の女性に話しかけられた。日本への義援金を稼ぐ為に売っていた“がんばれニッポン!”と書かれたTシャツを着ていた私に日本の家族は大丈夫かとか日本にとても興味を持っているように思えた。その女性の娘が交換留学生としてシンガポールに行った際の飛行機の中で一人の日本人と出会いそれ以来メールで親しくしているらしく、日本についてはとても良いイメージを持っているという。
冬に使う台所
夫婦と子供5人のその家族は子供達は皆学校に行かないで家で勉強するシステムで育っているという。カナダでは学校には行かずに家庭で教育を受ける子供が日本と比べてたくさんいるらしい。
私がびっくりしたのはその家族は良い意味で自然を思い切り利用していること。ある日私が勤めるタウンシップオフィスに固定資産税を払いに来た家族にメープルシロップを作っているから見学においでと言われて翌週の仕事帰りにお邪魔をした。
牛の乳搾り体験
毎日牛からミルクを絞り、自分達で飲むための牛乳、バター、ヨーグルトは全て手作り、全粒粉も自分達で挽き、タマゴも毎朝ニワトリが産んだものを食べている。鶏肉と牛肉は自前、自分達で食べるために作っているメープルシロップも昔ながらのやり方だし、今でも馬で町まで行くこともあるという。冬は暖房費を節約できる昔の台所を使っていて中に薪を入れて鉄の鍋で料理をすると家中が暖かくなるらしい。だから夏には普通の人が使う台所を使えば家の中が暖かくなることもない。
自分達で挽く全粒粉
家の周りには鳥や馬、牛、犬、猫がたくさん居て畑に植え始めた野菜やニンニク、何だか別の国に居るようだった。牛の父絞りも体験させてもらった。簡単に見えて以外にコツがいる。
昔ながらのやり方のメープルシロップ作り
時間が遅くなって夕食に招待された。その日はパンケーキの夕食だった。パンケーキの粉、ミルク、メープルシロップ、ホイップクリーム、バター、ラズベリーやブルーベリー、ヨーグルトと全て自分達で作った物でどんな豪華な食事よりも暖かく、ありがたいと思った。