カナディアンライフ
カナディアンライフアイウエオな毎日 その35 By Michelle Igarashi

う一度、生まれ変われるものなら ば、一年(ひととせ)で散る花になりたい」


もう一度、生まれ変われるものなら ば、一年(ひととせ)で散る花になりたい人の一生は長くて80年以上、私はもうその半分以上を越えてしまいました。江戸時代の頃の平均寿命は30~40歳、なれば私はもうとっくに死んでいます。長く生きることにどれだけ価値があるのかわかりません。
この世には、生まれて1日も待たないで終わる命もあります。短くとも生の義務を全うするなら、そこに後悔は残らないでしょう。長く生きても己の持っているものを生かせず、また育てられず、ただダラダラと生きているのは生の義務を全うしていると言えるのか、私にはわかりません。どんな生き物にも、何か生の義務があります。その生命に託されたなにか、です。多くの生き物は「なにか」を知らずとも、「なにか」を全うします。

もう一度、生まれ変われるものなら ば、一年(ひととせ)で散る花になりたい決して抗うこともなく、ただひたすらに生きて死にます。人はどうでしょう。「な にか」を見つけて、必死に生きてゆく人もたくさんありますが、多くはみつけられず、悩みつつ、抗いつつ、一生を終える事のほうが 多いかもしれません。それでも、自分の選んだ道を後悔せず振り返ることができるなら、人は幸せな一生をおくれたことになるのかも しれません。昔、寿命の記事かかった時代、いまよりもっと必死に生きてきたヒトが多かった気がします。だからこそ、今の時代があ るのだと思うのです。
私にも、もう少し若い頃はいろいろな夢がありました。こうなりたい、こういうこ とをしたい、いつも自分なりに一生懸命模索してやって来ましたが、残念ながら思うように形になったものはほとんどなかったです。 だからといって、後悔はしていません。後悔しても過去に戻れるわけではないので、諦めた、といったほうがいいかもしれません。こ れでは、幸せだったか、と言われると、ちょっと自信はありませんけど。

もう一度、生まれ変われるものなら ば、一年(ひととせ)で散る花になりたい私は、自分の過去を振り返ってみて、時間の使い方も、状況の判断も、なにもかも 下手だったな、と思います。それ故、失敗が山のようにありました。長いのに無駄にした時間がたくさんありすぎました。ヒトという 特殊な命に生まれたのに、自分の今までのウン十年は、短い寿命しかない多くの生き物たちに劣っていると思います。自然界の生き物 たちは、その生命を目一杯生き、その時間1秒1秒に至るまで無駄がありません。ただ生きる、死の瞬間までただひたすらに生きて います。何十年も寿命があるヒトで、そんな生き方が出来る人はいったいどれだけいるのでしょう。ただ生きる、ひたすら生きる、と いうことは、欲や感情に支配されてしまう人間には一番むすかしいことだと思います。
「潔し(いさぎよし)」私の大好きな言葉、そして生き方です。潔く生き、潔く死 にたい。なかなかそう生きてきていませんけれど。でもそうありたい、と私の最後の理想です。
もし、次に生まれかわれることができるなら、長い時間はいらない。ただ一度の四 季を目一杯生きて、潔く散る、1年(ひととせ)きりの花に生まれたい、と 願っています。



Michelle IgarashiMichelle Igarashi
カナダ在住の日系人の皆様のための医療アドバイス、妊娠、出産のサポート、産後のケア、母乳マッサージ、授乳指導、ベビー検診、育児指導、離乳食指導、応急処置クラスなどを随時開催しております。

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