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多文化主義って何?


京都精華大学の学生
 

カナダは、移民を中心に近代国家を形成してきた国である。イギリス、フランスを始めとし、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、南米からの移民、そして先住民によって構成されている。カナダは国家として初めて「多文化主義」を宣言し、異なる文化を尊重しあう姿勢を国の政策として掲げており、無数の異文化や人種が調和して存在する様を「MOSAIC(モザイク)」と形容されている。

私たちは、京都精華大学の海外研修ショートプログラムの1つとして、カナダ第3位の都市バンクーバーに1ヵ月間滞在し、カナダジャーナル紙のアシストを得て、そこに住む代表的な人種をリサーチして、世界で最も進んでいると言われているカナダの「多文化主義」を調査した。

4週間にわたり8つの団体を取材

今回のプログラムでは、中国系の大手新聞社「星島日報」、日系のTV番組制作会社「Nikkei TV」、「日系ミュージアム&ヘリテージセンター」、多言語で様々な国のTV番組を放送する「channel m」、新移民や難民を支援するNPO団体「MOSAIC」、フィリピン系移民の支援団体、ブリティッシュ・コロンビア大学人類博物館、小学校などを訪問し、様々な質問をした。カナダに移住したきっかけや、カナダでの暮らしについて、そして移民一世からその子孫へ、「多文化主義」の地でいかに自らのルーツを継承し、アイデンティティーを形成するか。これらの問題は、日本で生まれ育った私たちの視点で計り知ることは難しい。しかし、私たちは1ヵ月間バンクーバーで生活し、カナダの「多文化主義」を肌で体感することで、出来る限りの理解を深めるべく取材に臨んだ。こうして取材・調査した結果を、私たちは新聞の形にまとめ、「W. Pender 07」と名付けた。West Penderは、カナダジャーナルのオフィスがあるストリート名である。

W. Pender 07pdf
カナダは巨大な団地だった!pdf

研修プロジェクト参加者の声

井上 梓
井上 梓
(いのうえあずさ)
社会メディア学科3回生

バンクーバーの第一印象は多文化共存である。アジア人とすし屋の多さに驚き、中国の旧正月で盛り上がっているのを目撃してはっとした。「多文化主義」という観念があまりない私にとって新鮮な世界であった。自由時間にはダンススタジオに行き、言語を越えたコミュニケーションを楽しんだ。 1ヵ月という限られた短い時間だったが、旅行や語学研修では得ることの出来ないものをたくさん吸収することが出来た。今回多くの素敵な人と出会えたことに感謝したい。

勝木 美波
勝木 美波
(かつきみなみ)
社会メディア学科2回生

日本という島国で育った私には、カナダの「多文化主義」がとても美しく見え、これが国際社会における理想の姿だと思った。しかし、それは何の努力もなしに出来たものではない。そして、それは未だに完成しておらず、様々なデリケートな問題を抱えながら発展途上にあるという現実に気づいた。しかし、私はこの国なら「多文化主義」を上手く発展させていくだろうと確信している。それは私自身が肌で感じ思ったことである。外見で人間を判断しないバンクーバーでは、くしゃみをすれば、すれ違った人に「Bless you!」と声をかけられた。スカイトレインやバスに乗ると全く知らない人同士でも挨拶をし、世間話をしたりしていた。このような人々の人種を越えた気さくさ、親切さが、実は「多文化主義」を根っこから支えているのではないだろうか。

小林 美穂
小林 美穂
(こばやしみほ)
文化表現学科3回生

カナダが「多文化主義」を打ち出してからまだそう長く経ってはいないが、その思想はカナダ人の生活に根付いている。カナダの人々にとって、色々な民族と一緒に生活することはあたりまえの光景であり、必然でもある。いつか日本も多文化を尊重し合い、生活をしていかなければならない時が来るかもしれない。その時、カナダのように互いを尊重し合える社会が出来るように、私たちは努力しなければならない。


酒井 春奈
酒井 春奈
(さかいはるな)
環境社会学科2回生

カナダの「多文化主義」に関しては、カナダに来る前に少し話を聞いただけで、実際にどのようなものなのか良くわかっていなかった。けれど、ホームステイして、街を歩いて、取材を行なうなかで様々な人と接し、一つの国にたくさんの民族の人々が住んでいる状態を実感した。そして、そのような状態が当たり前になっているからこそ、様々な人々を互いに認め合うことが出来るのではないかと思った。それが「多文化主義」の国、カナダにおけるカナダ人のアイデンティティーなのだと私は思う。

中橋 佑菜
中橋 佑菜
(なかはしゆうな)
文化表現学科2回生

「多文化主義」を主題とした取材活動は、「多文化主義」についてあまりにも無知だった私にとって、その実態は予想出来ないものであり、とても興味深いものでもあった。この1ヵ月を通して、私はカナダのことだけではなく、カナダに移住した様々な国の人々との交流で、一回り大きな世界観を手にすることが出来たように思う。今後は、日本を含め世界各国がもっと柔軟に多文化を受け入れなければならない時代が来るだろう。私も日本人としてのアイデンティティーをしっかりともち、様々な民族とのより良い関係を築いていきたい。

針谷 扶希
針谷 扶希
(はりたにふき)
文化表現学科3回生

私はカナダの「多文化主義」を通じ、現代社会、特に日本が抱える様々な問題を目の当たりにした。それらは日本にいては決して体験することの出来なかったものばかりだ。日本は、世界に誇れるすばらしい文化をもつ国だからこそ、多文化を学ぶべきだ。しかし私たちは忘れてはならない。カナダは日本と違い、「多文化主義」を国のポリシーとして提示せざるを得ない状況だったということを。私たちは、カナダの「多文化主義」を模倣するのではなく、日本独自の多文化尊重の意識を確立してゆかなければならないのだ。この1ヵ月で、私はどれほど成長出来たのだろうか。

福島 真也
福島 真也
(ふくしましんや)
社会メディア学科3回生

「カナダ人」のイメージは白人でしかなかったが、それは全くの間違いだった。「誰もがカナダ人であることができる」。それがバンクーバーで最も強く感じたことである。しかし同時に個々の民族が組織を作りお祭りやイベントを通し文化を維持し、また新移民のサポートも行っている。カナダには色々な扉がある。どの扉に入るのも、出るのも自由だ。しかし、未だに差別の残る地域や9・11テロ事件以降のイスラム教徒に対する偏見、カナダに対する愛国感情の温度差など問題も山積みである。異文化共存が上手くいっている感があるものの、さらなる変化が求められている。

私たちの結論

今回の取材で、私たちの中に一つの考えが生まれた。それは「カナダは一つの大きな団地のような国ではないか」ということである。一つの敷地の中にたくさんの棟(地域)があり、「多文化主義」の下で、棟ごとにたくさんの民族が隣り合わせに住んで共存している。住民の多くが移民で構成されるなかで、移民たちは生活様式をカナダの文化に順応させると同時に、自国の文化や伝統を維持しながら生活している。
バンクーバーに住む人のルーツは一人ひとり異なり、一人で複数のルーツをもつことは、カナダでは当然のことだ。こうして異なる文化と人々が交じり合っていることを認識することが、「カナダ人」としてのアイデンティティーなのではないだろうか。

カナダは「多文化主義」を掲げた国であるが、都心部から離れた中央部では白人社会の性質が強い。また、近年では移民の申請が困難になってきたり、移民のもつ専門技術がカナダで認められないような問題もある。しかし、この国は発展途上なのだ。カナダ団地では住民がより良い暮らしが出来るよう、今日も様々な人々が活動している。

今回のプロジェクトでカナダに来るまで、私たちはカナダの「多文化主義」が何なのかもよく知らなかったため、手探り状態で取材を始めた。カナダ団地のBC棟(BC州)に住む人々の声を直に聞き、どのような人々が生きているのかを知ること、アイデンティティーについて考える機会が出来たことはとても良い経験だった。

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