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幼稚園児の留学も始まった
留学生を歓迎する公立学校と州政府

カナダの公立小・中・高等学校に留学する生徒数が増え、カナダの公立初等中等教育が10億ドル(約900億円)産業に成長している。
2003年にカナダ政府が18歳以下の留学生に発行した就学ビザ(学生ビザ)数は1万4321にのぼり、2004年の数字はさらに増えたとみられている。このなかには5歳の幼稚園児も含まれており、留学生の年齢層が広がっている。

カナダの公立小・中・高等学校は州政府の管轄下にあり、カナダ人とカナダの永住権をもつ生徒の授業料は無料となっている。しかし、留学生の場合は、年間1万1千ドル(約100万円)から1万5000ドル前後(約130万円)の授業料を払わなければならないため、カナダの公立学校にとり留学生は大切な収入源となっている。
留学生はバンクーバーやトロントなどの大都市に集中しているが、バンクーバー地域で最も早くから留学生を受け入れてきたウエスト・バンクーバー地域では全生徒数の約10%が留学生で、昨年度は、年間予算の17%にあたる700万ドル(約6億2600万円)の収入を上げた。これは、この地域内の公立校に通う生徒1人に対し、1130ドルの補助金を得たことと同様の効果をもち、経営上大きく役立っている。
ブリティッシュ・コロンビア州政府はこうした状況を歓迎し、各教育委員会に留学生受入れを奨励していることもあり、州内にある60の教育委員会のうち40までが、留学生受入れに力を入れている。

公立小・中・高等学校への留学生の大半は留学斡旋会社を通じて入学しているが、カナダの公立初等中等教育を代表するマーケティング会社として世界各国に20の拠点をもつCECネットワーク(www.studyincanada.com)は、カナダが留学先として選ばれる理由として、受け入れ先の学校が公立で教育レベルの高さが世界的に評価されていることや、世界的に見てカナダ人生徒の成績が良いことを挙げている。現在カナダの初等中等学校に留学する生徒の国籍は韓国が最も多く、中国、日本、メキシコがそれに続いている。

まだまだ安いカナダの生活費
トロントは89位、バンクーバーは96位、世界で最も高い東京。

生活費の高さトップ15
( )内は昨年の順位。

1. 東京(1)

2. ロンドン(7)

3. モスクワ(2)

4. 大阪(3)

5. 香港(4)

6. ジュネーブ(6)

7. ソウル(8)

8. コペンハーゲン(15)

9. チュールッヒ(9)

10. サンクトペテルブルグ(10)

11. 北京(5)

12. ニューヨーク(10)

13. ミラノ(17)

14. ダブリン(21)

15. オスロ(13)

生活水準の高さを誇る一方で、カナダの生活費は安い。
世界144の都市の生活費を調査した結果、カナダで最も生活費が高いトロントが89位となり、以下、バンクーバー(96位)、モントリオール(113位)、カルガリー(114位)と続いている。カナダで生活費が最も安い都市はオタワ(124位)だった。

この調査は、人材コンサルティング会社、マーサー・ヒューマンリソース・コンサルティング(ニューヨーク)が毎年行うもので、調査の対象となった都市の異なった地域で住宅、食品、家財、衣類、交通費、娯楽費など300以上の項目を調べている。

今年の調査の結果で最も目立ったことは、ヨーロッパとアジアの都市がトップテンを占めたことで、最高位に東京が入り、以下、ロンドン、モスクワ、大阪、香港、ジュネーブが続いている。
一方、ドルが弱くなったおかげで、アメリカで最も生活費が高いニューヨークが12位となり、以下、ロサンジェルス(27位)、シカゴ(35位)、サンフランシスコ(38位)が続いている。アメリカで最も安い都市はピッツバーグ(112位)だった。また、オーストラリアのシドニーが、昨年の67位から20位に、ニュージーランドのアックランドが昨年の85位から35位に上がったことも目立った。

旅行者用に開発される
本当に質の高いおすすめレストランガイド

宣伝目的ではない、本当の「おすすめレストランガイド」が、今年からブリティッシュ・コロンビア州に登場する。
これは、旅行産業のなかで重要な部分を占める<食文化>に焦点を当て、ブリティッシュ・コロンビア州の旅行産業をプロモートするBCカリナリー・ツーリズム協会が作成するもので、部門別にレストランの質を点数で評価する方法が3年間にわたり開発されてきた。
おすすめレストランを選出するのは、食品批評家、ワイン専門家、シェフ、ツーリズム専門家、食品専門家、レストラン専門家、カリナリー・ツーリズム専門家、マーケティング専門家などから構成される委員会で、BC州産の食材使用率、スタッフの知識量、総合的なサービスの質、料理の質、値段、ユニーク度、環境保護度、清廉度、真正性などの10部門で判断し、100点満点で70点以上を獲得したレストランを、バンクーバー地域から60軒、ブリティッシュ・コロンビア州内陸地から20軒、バンクーバー・アイランドから20軒選ぶことになっている。

カリナリー・ツーリズムは、レストラン、バー、ワイナリー、料理教室などを対象に、ユニークで印象に残る食文化を追求するものだが、BCレストラン・フード・サービス協会のジェフリー・ハウ会長は、BCカリナリー・ツーリズム協会の「おすすめレストランガイド」について、「カナダ初の試みで、現在ある多くのレストランガイドとは異なり、選択に際して外部からの圧力や影響を受けることはまったくない」、「地元の人には人気があっても、宣伝されていないため外国人には見逃されれているようなレストランも紹介し、旅行者の役に立ちたい」と語った。

なお、当おすすめガイドに掲載されるレストランは、料理の平均が50ドル以上の高級レストランが半分を占め、30ドルから50ドルまでのレストランが30%、30ドル以下のレストランが20%で、選ばれたレストランには、BCカリナリー・ツーリズム協会が開発するロゴマークが送られる。

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