
旅行者の目的やニーズが多岐にわたるように、宿泊施設の機能と特色もその種類により異なっている。旅のプランを立てる際には、料金や施設を比較するだけでなく、その特徴やサービスも考慮して選びたいものだ。
カナダの宿泊施設にはホテル、モーテル、 B&B(Bed and Breakfast)と呼ばれる民宿、ユース・ホステル、YMCAとYWCAなどがあり、ホテルにはコマーシャル・ホテル、リゾート・ホテル、レジデンシャル・ホテル、ブティック・ホテル、エコノミー・ホテルなどがある。
コマーシャル・ホテルには5スター・ホテルから3スター・ホテルまであり、大多数のコマーシャル・ホテルは市内の中心地に位置している。ビジネスから旅行用に短期間利用するホテルで、ビジネス・ホテル、シティー・ホテル、コンファンス・ホテルと呼ばれる場合もある。レストラン、喫茶室、ライブ・エンターテイメントのあるカクテル・ラウンジ、各種のストアー、ギフト・ショップ、会議場、宴会場、展示場、劇場やエアライン・カウンター、プール、フィットネス・センター、スパなどを備えている。コンファレンス・ホテルは、最新のオーディオ・ビジュアル設備を備え、コンベンションやビジネス・ミーティングを最大の収入源としている。
リゾート・ホテルは、ゴルフ、テニス、乗馬、キャンプ、スキー、スケート、遊園地、エンターテイメントなどのレジャーが楽しめ、同時に会議やコンベンションも行えるホテルで、都市から近いアーバン・リゾート・ホテルと、山や海に近い観光地に位置しているものがある。カナダには、歴史が古くコマーシャル・ホテル同様の施設を備えたリゾート・ホテルが多く、それ自体が観光名所になっているホテルもある。観光地のリゾート・ホテルはシーズンにより宿泊費が大きく上下し、旅行会社を通じなければピーク時の予約が難しいホテルもある。
レジデンシャル・ホテルはホテルの快適性とアパートのい使い勝手の良さを合わせたもので、コンドミニアム・ホテルやスィート・ホテルと呼ばれるものもあり、その用途は旅行、出張、短期滞在、長期滞在まで幅広い。すべてキッチン付きで、スィート・ホテルには、キッチン、ダイニング・ルーム、リビング・ルームが付いている。コマーシャル・ホテルと比べて規模は小さく、コンフェレンスやイベントは行えない。従業員の数も少なく、フィットネス・ルームやプールがあってもレストランや喫茶室がないところもある。市内の交通の便がよい場所にあり、一般のホテルの客室よりも広いが宿泊費はホテルよりも安い。1ヵ月から数ヵ月に及ぶ滞在に適しているが、1泊からでも泊まれる。
ブティック・ホテルは、経営者の個性を活かした凝った内装が特徴のホテルで、 アンティーク・ビルや特徴のある建物を改造したものもあり、宿泊費は高いが一般のホテルにはないパーソナルなサービスが得られる。ショッピング、エンターテイメント、ナイトライフに近いトレンディーな地域にあり、従来の5スター・ホテルに飽きた人にはお勧めだ。有名人や実業家に人気のあるホテルもある。
エコノミー・ホテルは、1スターから2スター・ホテルにあたり、個人が経営するものから全国組織のチェーン・ホテルまである。市内にあるため交通の便はよく、市の中心地や有名ホテルの近くにあるものもある。内装や設備はコマーシャル・ホテルに劣るが、安い宿泊費でコマーシャル・ホテルに匹敵するサービスを提供することが売り物で、広々としたスィート・ルームを備えたところもあり家族旅行に向いている。
モーター・ホテルを略したモーテルは、その名の通り車で旅行する人が泊まる宿泊施設で、市内から離れた幹線道路に沿って建っている。通常一階建てまたは2階建ての木造で規模は小さい。普通はレストランがなく設備も限られているが、コイン・ランドリーなど一般のホテルにはない設備を備えたところもある。レンタカーを利用した旅には最適で、宿泊費は一般のホテルよりも安い。ピーク時にも予約をいれずに泊まれることが多く、空き部屋がある場合は「Vacancy」、空き部屋がない場合は「No
Vacancy」のサインが出ている。
B&Bは宿泊料金に朝食が含まれている民宿のことで、一般の家庭が客室を提供しているアット・ホーム的なシンプルな宿から、リゾートのウォーター・フロントに建つホテル風のものまである。料金は普通一部屋2人分でチャージされるので、小グループの旅行者に向いている。室内装飾をはじめ、アンティークなどの芸術品コレクション、庭園まで、オーナーが趣向を凝らしたB&B
が多い。一般のホテルにない宿主との交流があり、他の宿泊客にも親密感を感じる。宿主から地元の情報を入手するなど、手作りの旅を楽しむのに最適だ。英語が苦手な人には日本人経営のB&Bもある。
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1スターから5スターまで、ホテルの各付けガイド
★ 1スター
個人や小さな会社が経営する2階から4階建てのホテルで、パーソナルな雰囲気とサービスが期待できる。ホテル内にレストランがないことが多いが、通常は交通の便が良い場所にあるため不便はない。受付が24時間営業していない場合もある。
料金例:49ドル〜79ドル
★★ 2スター
全国組織または一定地域にネットワークをもつチェーン・ホテルで、郊外に建つモーテル風のものから有名ホテルに隣接するものまである。
料金例:69ドルから129ドル
★★★ 3スター
市内の中心地にあり、大きなロビーとレストランを備え、プール、フィットネス・センター、ルーム・サービスがあるところもある。
料金例:99ドルから199ドル
★★★★ 4スター
市内中心地に建ち、ベルボーイ・サービスや深夜を除きルーム・サービスがある。サービスの質は高く、内装や家具も良い。レストランが一つ以上あるところも多く、他の設備も整っている。
料金例:159ドルから329ドル
★★★★★ 5スター
最も質の高いサービスと快適性を提供するホテルで、市内中心地から市外や高級リゾート地までロケーションはさまざまだ。ビーや客室も贅沢でレストランは3軒以上あり、ルーム・サービスは24時間可能。
料金例:300ドル以上
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カナダジャーナルのおすすめホテル
The Hotels of the Year
ナイアガラの滝を目の前にみる快適ホテル
Niagara Falls Marriott Fallsview
1分間に1億5500万リットルの水が落下するナイアガラの瀑布を、快適な部屋から眺める贅沢なホテル、それがナイアガラ・フォールス・マリオット(www.niagarafallsmarriott.com)だ。マリオットは北米や日本を始め世界中にネットワークをもつホテルで、2000以上のホテルとタイム・シェアのリゾート施設を直接またはフランチャイズ契約で運営している。またアメリカで6700軒以上の企業向け家具付き社宅と26のゴルフ施設を運営する他、149の高年齢者向けリビング・コミュニティーを運営し、高年齢者が独自に生活できる環境や必要な介護、医療ケアなどの様々なサービスを提供している。
ナイアガラの目の前に立つマリオットは、どの部屋からも滝が見えるように滝の形にそって半円形にカーブしている。 部屋の種類はクィーン・ベッドのツイン・ルーム、暖炉付きクィーン・ベッドのツイン・ルーム、キングベッドと2人用ジャクジ付きツイン・ルーム、暖炉付きキングベッドと2人用ジャクジ付きツイン・ルーム、7人までが快適に泊まれるスィート、最上階のプレジデント・スィートまでの5種類で、料金は階が上になるほど高くなる。
クィーン・ベッドのツイン・ルームが冬季は130ドルで夏季が300ドル。プレジデント・スィートは冬季が500ドルで夏季が850ドル。 施設にはエクササイズ・ルーム、室内プール、サウナ、ジェット・プール、屋外サンデッキなどがある。
お得なのは、ジャクジと暖炉付き2部屋スィートの2ナイト特別料金パッケージ(二人用)で、朝食2日分、夕食一晩分、カジノへの送迎、1時間スパなどが含まれている。
社員にも愛されるNo.1リゾート・ホテル
Delta Whistler Village Suites
北米ナンバーワンのスキー場として、また夏は大自然のなかであらゆるアウトドア・アクティビティーが楽しめるリゾートとして高く評価されているブリティッシュ・コロンビア州のウィスラー。そのウィスラー・リゾートの中心にあるシャレー・スタイルのスィート・ホテルがデルタ・ウィスラー・ビレッジ・スィート(www.deltawhistlervillage.com)だ。キッチン、暖炉、バルコニーが付いた広々としたレイアウトで、高級チェーン・ホテルらしくサービスも行き届いている。
デルタ・ホテルズは1軒のモーテルとして1962年にブリティッシュ・コロンビア州で誕生したが、現在はカナダの主要都市の市内中心地やリゾート、空港に37のネットワークをもつ一大チェーン・ホテルとなっている。従業員の勤続年数がホテル業界で最も長く、「グローブ・アンド・メイル」(カナダの代表紙)も、"社員にとって最高の企業"と評価している。また、カナダ企業の質を評価する「ナショナル・クォリティー・インスティチュート」から、ホテルとして初めて最優秀賞を受賞している。
新婚旅行に最適なスィート・ホテル
Jasper Inn Alpine Resort
カナディアン・ロッキーがある地域は国立公園に指定されている地域で、宿泊施設の営業が許可されている地域は限られている。ロッキーの観光地として最も有名なのはバンフだが、観光客が少ない場所を希望する場合はジャスパーがよい。山並みもバンフと並んで壮大で、自然にも迫力がある。そのジャスパーを代表する優良なホテルがジャスパー・イン・アルパイン・リゾート(www.jasperinn.com)だ。日程にゆとりをもたせ、ここを拠点にロッキーの名所を回ればよいだろう。部屋にはキッチンと暖炉が付き、自分専用のコンドミニアムで休暇を楽しむような贅沢な気分にさせてくれるので、新婚旅行にももってこいだ。料金は冬季が79ドルから230ドルまで、ピーク時が213ドルから423ドルまで。
カナダで最も忙しいホテル
Fantasyland Hotel
カナダで最も占室率が高いホテルがアルバータ州エドモントンのファンタジーランド・ホテル(www.fantasylandhotel.com)だ。世界最大のショッピング・モールとして知られるウエスト・エドモントン・モール内にあり、エドモントン商工会議所によれば平均で94%の占室率を誇っている。355室のうち119室がアフリカ、アラビア、ハリウッド、エスキモー、ポリネシア、ローマ、ビクトリアなどのテーマ・ルームになっていて、モール内にあるウォーターパークの入場券を含んだパッケージがある。料金は175ドルからで曜日と時期により特別料金やパッケージ料金がある。
氷でできたユニーク・ホテル
Hotel De Glace Ice Hotel
ケベック州ケベックシティ近郊のホテル・デュ・グラス・アイス・ホテル(www.icehotel-canada.com)は1万トンの雪と350トンの氷でできたホテルだ。玄関を入ったところの天井の高さが4.8メートルもあり、氷のシャンデリアがさげられ神秘的な氷と雪の聖堂といった感じだ。家具からベッドまですべて氷でできていて、ベッドの上に鹿皮を敷き寝袋に入って寝る。室内の気温は零下3度で外は零下10度から30度まで下がる。寒さに挑戦したい人向けのユニークなアイス・ホテルだ。部屋数はスィートが10、個室21で、2つの美術館、映画館、結婚式場、"アイス・バー"がある。営業期間は1月から3月末頃までで、料金は259ドルから400ドルまで。
著名人ファンも多いプライベートなカントリー・イン
Hotel La Sapiniere
見事な紅葉で知られるケベック州ローレンシャン地区の湖畔にたたずむホテル・ラ・サピニエ(www.sapiniere.com)は、多忙な生活を離れて静かな休日を満喫するには最適なホテルだ。この地域はモントリオールから車で1時間の距離にありながら、都会の雑踏がまるで別世界のように感じられる環境で、四季を通じて景色が美しい。ホテル・ラ・サピニエは、地元政治にも貢献したフランス系のデュフレン家が60年前に開業したホテルで、一家の友人たちの避暑や保養地として使われていた。デュフレン家のモットーは、「プライベート・ホームとして利用してもらうこと」で、サービスはきめが細かく対応が温かい。このため現在も古くからの利用客が多く、政治家、実業家、芸術家、プロのスポーツ選手まで多くの著名人にも利用されている。
料理が優れ370種類以上の上等なワインを置いていることでも知られており、夏はゴルフや水上スポーツが楽しめ、冬はスキーも楽しめる。客室は70と少ないので早い時期に予約を入れる必要がある。
劇場、コンサート、ゴルフ、ハイキングなどが含まれた2泊3日のパッケージがあり料金は255ドル。
粋なリゾートのスィート・ホテル
Le Suites Tremblant by Intrawest
カナダにはスキー・リゾートとして開発され、その後、年間を通じたリゾートとして世界的に有名になった地域が二つある。一つは前述のウィスラーで、もう一つがケベック州のトレンブランだ。トレンブランはウィスラー同様に夏はゴルフとハイキングが楽しめ、特にアリゾナ・スタイルの18ホール・ゴルフコースは、北米でも高く評価されているコースの一つで、ゴルフ・レッスンもビジターに人気がある。1999年にはゴルフ・インターナショナル誌が"ベスト・ニュー・ゴルフに選び、クリントン元アメリカ大統領や、カナダのクレチェン首相がプレーすることでも知られている。
このトレンブランで、家族やグループ用に最適なのが、900のスィートを備えたル・スィート・トレンブラン(www.tremblant.ca)だ。スキーやゴルフを合わせたパッケージ料金は69ドルから1035ドルまで、グレードにより選択の幅が広い。
トレンブランのもう一つのシンボル・ホテル
Gray Rocks
トレンブランの4つ星リゾート・ホテル、グレイ・ロックス(www.grayrocks.com)は90年前に開業し、1920年にスキー・ゲレンデとゴルフ・コースを開設し、1938年にスキー・レッスン・プログラムを開始。1973年にテニス・レッスン・プログラムを始めてカナダとアメリカのエリートに愛されてきた。現在は2つのゴルフ・コース、22面のテニス・コート、専用ビーチとマリーナ、ハイキングとサイクリングのトレイル、22コースのスキー場を備えたリゾートになっている。400人以上が収容可能なファンクション・ルームもあり、家族旅行から企業のコンベンションやインセンティブ・ツアーにも適している。料金は102ドルから175ドルまでとお得だ。
セミ・フォーマルで格式高く
Hotel du lac Carling
ケベック州の落ち着いた伝統的なリゾートで、格式高く休暇を過ごすなら、ローレンシャン地域の612万坪の広大な自然に囲まれた5スターホテル、ホテル・デュ・ラック・カーリング(www.laccarling.com)がよい。部屋はクラシック、デラックス、スィートの3種類あり、どの部屋も最高の調度品で装飾され、部屋が1階と2階に分かれたスィートもある。
食事も最高級で、自家製のハーブや食用花も料理に色を添えている。レストランのアンティーク暖炉は有名で、服装はセミ・フォーマルがルールになっている。伝統的なホテルらしく、スカッシュ、バドミントン、バスケット・ボールのコートがあり、ハイキング、乗馬、サイクリング、スキー、犬ゾリ、ゴルフも楽しめる。特にゴルフはゴルフ・マガジンから「プラチナ」にランクされた名門コースだ。料金はシーズンにより、クラシックが129ドルから209ドル、デラックスが154ドルから234ドル、スィートが179ドルから259ドル。
フランス系のエスプリ・ホテル
Hotel Le Cantlie Suites
モントリオールの市内観光や出張をエレガントに行うならホテル・カントリー・スイーツ(www.hotelcantlie.com)がおすすめだ。市内中心地にあり、有名な画廊やショッピング街にも近いスィート・ホテルで、フランス語圏の高級ホテルらしく、ヨーロッパ・スタイルのキッチンが付き内装も洒落ている。シティ・ホテルに要求される施設は全てそろい、24時間のコンシェルジュ・サービスもあり、ビジネス用に専用ファックス、AV機材、高速インターネット、ビジネス・センターがある。部屋は4種類あり、料金は145ドルから300ドルまで。
モントリオールのお得なホテル
Holiday Inn Montreal-Midtown
ホテルチェーンの代名詞のようなおなじみのホリデー・イン。市内の中心地にありサービスも良く値段も手ごろで心配なく泊まれる。486の近代的な部屋とスィートを備え、600人まで収容可能なホールもある。室内プール、ジェットプール、サウナ、マッサージ・サービス、ドライクリーニング、エクササイズ・ルームなどもあり、宿泊料金は126ドルから230ドルまで。各種の割引料金もある。
Hotel Group of the Year
出張から観光まで信頼のおけるチェーン・ホテル
Gouverneur Hotels |
ケベック州への出張と旅行に便利なのが、州内の14ヵ所にあり日本の旅行会社からも信頼されているガバナー・ホテル(www.gouverneur.com)だ。ロケーションのなかで日本人ビジターによく利用されるのがモントリオール、サンタフォイ、ローレンシャンの3地区で、モントリオールとサンタフォイは週末2泊の特別料金があり、子供が二人まで無料になる。
出張用のビジネス・クラスには、デスク、高速インターネット、2本のラインが同時に使える電話、キングサイズのベッド、コーポレート料金、朝食、14泊ごとに1泊無料、チェックアウト時間の延長などのサービスが含まれている。料金は週末2泊のパッケージが81ドルから135ドルまで。2004年には、観光地として人気のあるモントリオールのオリンピック・スタジアムの隣に、外国からの出張と観光用としてグランド・ホテルを建設する予定となっている。
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