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  カナダで島を買おう カナダのテレビ

島で暮らす夢をもっている人は多いだろう。しかし、島を買う夢をもっている人がどれほどいるだろうか。あまりにも現実離れした夢だ。しかし、カナダのブリティッシュ・コロンビア(BC)州沿岸には、人家のない小島や数家族が住む島までが多くあり、一般の不動産を買う手軽さで買うことができる。きれいな水と空気、変化に富んだ山並、緑豊かな渓谷、壮大な眺めの入り江、うっそうと茂った森林、野生の動植物など、世界有数の美しい自然に囲まれた島での生活が夢ではないのだ。

こうした小島が散在するカナダ太平洋岸地域は、アメリカ、ワシントン州のサン・ホワン諸島とも連なる群島の一部である。大きなバンクーバー島が太平洋からの強風や荒波をさえぎるので、この地域の海は常に穏やかだ。気候も1年を通じて温暖で、本土の山岳部から遠ざかるほど、暖かく日照時間も多くなる。バンクーバー島南部の年間降水量は37から50センチで、本土の約半分しかない。海水温度は内海ほど暖かく、太平洋に近くなるほど冷たくなる。バンクーバー島南部の海岸には100以上の島があると言われ、そのうち8つの島には公共のフェリーが運航している。北部海岸より南部海岸の方が人口が多いのは、ビクトリア、ナナイモ、バンクーバーなどの町に近いからで、別荘地や引退後の移住先として常に人気のある地域である。

長い海岸線には何百もの入り江や船着き場があり、多様な海洋性動植物が生息している。BC州の州土の私有地は約6%で、不動産取得の可能性は限られている。西海岸の自然環境が破壊されず保存状況が良いのは、公有地が多いためでもあるが、それでも、海沿いの不動産物件は価格的に入手しやすく、今後この美しい楽園の不動産価値は上昇することが見込まれている。

カナダには他国に比べて個人所有の島の売り物件が多い。さらに、島の価格は世界の他のどの地域よりも安い。その理由の1つにはカナダに100万近い湖沼や数千キロの海岸線があり、他の国々よりも島の数が遥かに多いことが挙げられる。 カリブ海や南太平洋の小島のほとんどが100万米ドル以上であるのに対し、北へ行くほど島の値段は安くなり、カナダではアメリカの3分の1、カリブ海地方の10分の1の値段で買えることも珍しくない。

観光業の発達によりリゾートとしての島々は身近な存在になり、孤島を所有することに対する人々の関心もより高くなった。BC州では島の個人所有は「大いなる所有の象徴」として人気を呼んでいる。土地所有に関する法規は緩やかで、インターネットの発達により、物件の情報収集も簡単だ。専門知識をもったブローカーは地元に数多く存在し、その助けで購入手続きは分かりやすい。島の価格は14万ドルから数100万ドルに達し、人気の高い島は6000坪から12万坪。海抜は少なくとも4.5メートルで波止場といくつかの係留地のあるものが好まれる。

島の選び方

島がどれだけ開発されているかが、選択する際の重要な条件だ。本格的な住居や別荘を建てるなら、本土の場合より1.5倍ほど建設費用が余計にかかることを覚悟しなくてはならない。未開発の島は安価だが、設備の整っている島を買う方が時間と資金の節約になることが多い。
どのようなタイプの島を買うかを決断する前には、数日間、島をレンタルすることもできる。島の所有者の多くは、通年もしくは特定の季節に自分の「持ち島」を貸し出しており、賃貸価格はホテル代とそれほど変わらない。体験を通じて、島を所有することのイメージや目的をより明確にすることができるだろう。

買いたい島のタイプが決まったら、できるだけ時間をかけて、市場に出ている島の情報を集める。島の所有者かその代理人の不動産業者に連絡をとり、質問をしても良い。年間を通じての島へのアクセスの良さ、食糧その他物資の供給の容易さ、周囲の海や湖の航行の容易さなどを調べることが必要だ。

島選びの10のポイント:

  1. 立地:補給のしやすい町や村が近くにあるかどうか。島の孤立性は同時にインフラ設備への投資の必要も意味する。

  2. アクセスの良さ:カナダでは本土から水上飛行機で島へ飛ぶこともでき、ボートよりも便利で安全と言われている。

  3. 島の開発度:本土と変わらない快適さを追求するか、素朴な暮らしを選ぶかは本人次第だ。

  4. 係留地:船を止められる場所を確保することは大切だ。水深、凍結の有無、干満の影響などを調べる。

  5. 地形:大きい島ほど地形の変化に富む。切り立った崖や高い岸などは船での接近が難しい。島の高台に住居を設けるのが嵐や水害を防ぐ上では良いが、人気が高いのは海抜が低く、島の奥から海岸へすぐ行ける島ほど人気が高い。

  6. 水辺の様子:岸辺が変化に富んでいるか、砂浜や砂利の浜、自然の入り江、見晴らしの良い岩場などがあるかどうかは島の魅力を決める重要なポイントになる。

  7. 植物相と動物相:島に生息している野生の動植物を調べる。

  8. :小さい島ほど水の供給が困難になる。飲み水は、ボトル・ウォーターや井戸水。そのほか、雨水を貯めて煮沸したり、海水を脱塩するなどして確保することができる。海水を淡水に変える半浸透脱塩性植物は2万から5万ドルで導入できる。下水処理の方法、水の保管場所も重要だ。

  9. 電気、電話、その他のサービス:電気が引いてある島は少なく、多くの場合は太陽発電かプロパンガスを使う。ディーゼル・エンジンの発電機は6千ドル、空調設備、温水ヒーターは6万ドル程度で設置できる。最近は電話のケーブルが通じている島も多いが、携帯電話で事足りる場合もある。

  10. 管理人:島のセキュリティ管理は重要である。人気のない島は無断侵入者を招きやすい。個人の別荘として、またはサブレット(又貸し)に利用する場合でも、常に島を利用できる状態に保っておくため、管理者に防犯と施設の手入れ、ゲストの迎え入れなどを依頼すべきだ。高額物件の所有者のほとんどは、常勤の管理人を雇っている。その他、近隣で漁業をしている人に管理を頼む場合も多い。

物件例:

  1. 3300エーカー(約1万300平方キロ)、1500万カナダドル(約12億円)。 島内に湖があり、ワイナリー、個人別荘、または観光地として開発できる可能性大。フェリーの連絡があり、交通の便もよい。

  2. 200エーカー(約800平方キロ)、95万5千カナダドル(約7千600万円) バンクーバー島ポート・ハーディから北西9.6キロの沖合いにある。近隣の海域は、サーモン、タラ、キンメダイの漁場として知られている。深く入り込んだ湾があり、係留に適している。

  3. 54エーカー(約216平方キロ)、49万カナダドル(約3920万円) バンクーバー島の北部とBC州本土に挟まれた海峡に浮かぶ島。島の西端には深く入り込んだ安全な湾があり、水深も充分。湾近くの眺めの良い場所には古いキャビンがあり、ここから見る夕陽は絶景。

  4. 27エーカー(約108平方キロ)、92万5000カナダドル(約7400万円) 絶景で名高い、本土北岸のデソレーション・サウンド州立海洋公園のすぐ近くにある。モミの古木が茂り、水深の深い奥まった静かな入り江や、珍しい塩水湖などがある。人手の全く入っていない、まさに秘密の島。

  5. 14.4エーカー(約60平方キロ)、47万5000カナダドル(約3800万円) 絵のように美しい湾に抱かれた島。全土が木に覆われ、自然が保存された未開発の島。静かな入り江や岩場に富み、船を着けやすい。

  6. 5エーカー(約20平方キロ)、17万4000カナダドル(約1400万円) パウエル湖に浮かぶ島。BC州本土の沿岸部、広大なパウエル湖に浮かぶ小さな楽園。広々とした2ベッドルームのキャビン、作業場、屋根つきのドックヤードが備わっている。湖水浴と釣りに最適の環境。

初めて島を買う際は、専門知識の豊富な不動産業者に相談するのが最も安全だが、島の所有者と直接交渉することも不可能ではない。インターネット上のオークションサイト「e-bay」では、個人所有の島が競売に出されていることがある。ネットを通じて最も高値をつけて落札した人が、現所有者との交渉権を獲得できるという仕組みだ。ギャンブル性は高いが、思わぬ掘り出し物件を、業者を通した場合より安価で入手できる可能性もある。すでに知識のある、島暮らしの経験者にはお薦めの方法かもしれない。

取材協力・Mr.Neil Wark RE/MAX Wark Realty
www.bcprivateislands.com

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