特集−一面記事
  モザイク社会と異文化ミックス カナダ・モザイク社会メモ

日本人のミックス婚率が高いことの理由の一つとして、カナダ統計局は、日系人が非常に長い時間を「カナダ人化」に費やした事を指摘している。2001年の時点で、カナダに住む日系人の65%はカナダ生まれで、異文化間カップル成立の確率が高いのは、カナダを母国として認識して、自分をまず「カナダ人」と考える日系人が多いためではないかということだ。
日系人のミックス婚率は高いものの、 人口が少ないために絶対数そのものは少ない。絶対数のうえではアフリカ系が最も多く、夫婦どちらかがアフリカ系であるカップルの数は5万件に達する。
異文化結婚のほとんどはビジブル・マイノリティ と白人の間で起きている。異なるビジブル・マイノリティ出身者間の結びつきはミックス婚全体の0.4%でしかない。

カナダのビジブル・マイノリティの就職事情は?

カナダのビジブル・マイノリティ人口は1981年の時点では全人口の5%(110万人)だったが、2001年には全人口の13%(400万人)にまで増加している。カナダ統計局は1981、1986、1991、1996、2001の各年に行われた国勢調査の結果を基に、25歳から54歳のビジブル・マイノリティとノンビジブル・マイノリティの男女を対象とする雇用の状況をまとめた。

その結果によると、就業年齢に達している女性の中で、国外生まれのビジブル・マイノリティ女性が、1981年から2001年の20年間で、雇用率が下がっている唯一の集団であることが明らかになった。これは、移住者の出身者が、ヨーロッパ系からアジア、南米、アフリカ、中近東へと推移し、これらの地域出身の女性は実労働人口に組み込まれていない傾向が強いからだ。
このような傾向の理由として、移住前にカナダ国外で受けた職業訓練が認知されにくいこと、公用語(英語またはフランス語)の能力が不十分であること、カナダにおける関連職業での経験がないことなどを専門家は指摘している。
また、現行の移民制度では独立移民(技術移民)の申請者に対し、政府が支援と訓練を提供しているが、一緒に移民してきた配偶者(妻である場合が多い)は家族の世話のため家庭に留まることが多く、雇用訓練の機会を逃すことがありがちだという。

カナダ生まれのビジブル・マイノリティ女性は、カナダ生まれのノンビジブル・マイノリティ女性よりも高い就職率を示している。この理由の一つとして、ビジブル・マイノリティ女性の大学卒業率が、ノンビジブル・マイノリティ女性に比べて約2倍も高いことが指摘されている。
男性の場合、1981年の時点では、国外生まれのビジブル・マイノリティ男性はカナダ生まれのノンビジブル・マイノリティ男性よりも雇用率が高かった。しかし1980年代から1990年代にかけて全国的に失業率が増加するにつれ状況が逆転し、国外生まれのビジブル・マイノリティ男性よりも低くなった。この差は1996年に最大となり、2001年には差が縮まり始めている。

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