ライフ - 連載コラム記事


西田 優希さん 

西田 優希

(にしだゆうき)
大阪府岸和田市生まれ。関西大学文学部卒業。OL生活に物足りなさを感じて1999年にニューヨークへダンス留学。現在は、英会話講師。趣味は映画鑑賞。 http://yewkiny.blog66.fc2.com

私は失敗よりも後悔を恐れた

 現在、英会話講師をしている私は、時々生徒から留学の相談を受ける。「今の仕事を辞めてまで留学をする価値があるのだろうか」、「20代後半で新しい環境に飛び込む勇気がもてない」と。私も同じような悩みを抱えて決断し、留学、そして今に至っている。でも、私のケースをそのまま他の人に当てはめることはできない。その人にとってどちらが良いかなんて、誰にもわからない。

 私が20代半ばで仕事を辞め留学を決めた時、それが正しい選択なのかどうかわからなかった。ダンサーを目指しニューヨークへ行ったものの、結局は英会話講師になったのだから、ダンス留学という選択は正解でなかったと言う人がいるかもしれない。しかし、私は「正しい選択」だったと思う。残念ながらダンサーにはなれなかったが、それでも後悔は全くない。それよりも、あの時、失敗を恐れ、留学という挑戦を避けていたら、今頃きっと後悔していただろう。私は、失敗よりも後悔を恐れていたのだ。

 留学するかどうかを悩んでいた私にあった強い想いは「後悔はしたくない」だった。もちろん留学することによって手放したものもあった。でも、留学を終えて後悔が全くないのは、何かを手放した代わりに手に入れたものの方が、はるかに大きいと思えるからだ。何もしなくて後悔することはあっても、何かをして後悔することはないのではないだろうか。これが、留学を終えて思うことだ。

 そして、もう一つ。
全ては自分次第だということ。
ある出来事自体は、感情をもたない、ただの事実。プラスでもマイナスでもない。ただ、そのことを「良い経験」にするか、それとも「悪い経験」にするか。それは全て自分次第。留学することは「正しい決断」にも「間違った決断」にもなり得る。大切なのは「正しい決断」をすることではなく、「決断した後」の自分。その、自分自身の行動で決断が正しいものになっていくのではないだろうか。
過去は変えられないけれど、未来は自分で作れる。
私は「留学」という一つの目標を終えたが、やってみたいことはまだまだある。試す価値はある。未来は自分自身に委ねられているのだから。


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