世界から受け入れる移住者数の増加により、カナダの過去十年間の人口増加率がG-8の中でアメリカに次いで二番目に高くなっている。カナダの人口は一九九四年から二〇〇四年までに二百九十八万人増加した。人口増加率が一番高いアメリカは、移民の受け入れではなく、出生率の高さが要因となっている。 カナダが受け入れている移民者のうち、六十一%(百三十三万七千四百三十七人)はアジア人で、十九%(四十万二千九百三十五人)がヨーロッパ人となっている。従来カナダが受け入れてきた移住者はヨーロッパ人が一番多かったが、過去三十年間に、アジア、中東、カリブ海諸国、アフリカからの移住者がヨーロッパ人よりも増加している。 なお、カナダでは人口の高齢化に伴い、労働人口が減少しているが、この解決策として、カナダ移民省は今後五年間に、移民の受入数を現在より四十%増加することを発表した。 カナダの人口は今年七月の時点で三千二百二十七万五百人で、前年比で二十九万六千百人増加している。カナダに移民する人の大半はオンタリオ、ブリティッシュ・コロンビア、ケベックの三州に居住し、特にトロント、バンクーバー、モントリオールに集中している。
G-8人口比較(出展:カナダ統計局)
世界の人口概況
世界の出生率
移住者の就職状況実態調査カナダに移住してきた人のなかで、二十五歳から四十四歳の就職状況を調査した結果、大多数が就職活動に成功していることがわかった。なかでも、技術労働者として移住した人の就職率は高く、学歴、職場経験、語学力をもった人ほどカナダでの新生活に成功しているようだ。一方、自分が希望する分野で就職できた人は少なく、カナダでの就職経験がないことが大きな障害になっていることも浮き彫りになった。 Longitudinal Survey of Immigrants to Canada (LSIC)は、新移住者がカナダでの生活にどのように順応しているかを調べるため、移住者の生活を移住六ヵ月後と二年後に調査した。 この結果、雇用の対象になる新移住者(二十五歳から四十四歳)約一万二千人のうち、五十六%がカナダに移住してから六ヵ月以内に就職活動に成功しており、二年後には八十%までが就職していることがわかった。 しかし、自分の専門職や希望する分野で就職できた人は、最初の二年間で四十一%(一年目三十三%、二年目九%)と半数には達していない。 新移住者が、就職活動をするうえで最も大きな障害になっているのは、カナダでの就労経験がないことだ。また、希望する職に就けない理由として、母国での職場体験や学歴が正当に評価されていないことを挙げる移住者も多い。こうした不満はあるものの、調査の対象となった新移住者の大半は現在の職に満足しているという結果が出ている。
新移住者の就職率とカナダ人の就職率比較カナダに移住して二十六週間経った、二十五歳から四十四歳の新移住者の就職率は五十%で、同じ年齢層のカナダ人と比較した場合、三十%低くなっている。しかし、時とともに就職率は上がり、五十二週間後では五十八%、二年後には六十三%となり、カナダ人の就職率と比べて十八%しか差異がない(カナダ人の就職率は調査を開始した時点では八十%だったか、最終調査を行った時点で八十一%だった)。 この比較を、技術労働者として移住した人を対象に行った場合、二十六週間後のカナダ人との就職率の差は二十%、五十二週間後では十二%、二年後にはわずか八%で、技術能力をもった人の就職成功率は、格段に高いことがわかった。技術労働者は、カナダで就職することを前提として永住権を申請した人たちで、学歴、語学力(英語またはフランス語)、職務経歴などが審査の対象となっている。技術労働者として移住した人の九十%は最初の二年間で就職し、そのうちの四十八%が希望する職を手に入れている。これらの技術労働者の就職先の約半数は自然科学、または応用科学部門となっている。
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