カナダ移住講座

技術労働者として移住を希望する人に朗報
カナダの各州が独自に導入した新しい移民プログラム（その2）
-より短期間で永住権の取得が実現-

カナダ移民弁護士　ブライアン･エドワード辻･忠義さんに聞く

カナダ連邦政府は、技術をもった人材（技術労働者：スキルド・ワーカー）やカナダで起業する資産家（ビジネス移民）を世界から募集している。一方、カナダの各州政府も、技術労働者を受け入れるために、プロビンシャル・ ノミニー・プログラム（PNP）と呼ばれる独自の移民プログラムを開始した。州政府のプログラムは、連邦政府のものより申請所要時間が短く、連邦政府のプログラムでは合格できなかった人でも、州によっては合格する場合があることが利点だ。
前回はブリティッシュ・コロンビア、アルバータ、サスカチュワンの3州が行っているPNPを紹介したが、今回は、ノバ・スコシア州、ニュー・ブランズウィック州、プリンス・エドワード・アイランド（PEI）州、ニューファンドランド＆ラブラドール州のPNPを紹介する。

注：ケベック州には連邦政府のプログラムやPNPとは異なる独自のプログラムがある。オンタリオ州にはPNPプログラムはない。

マニトバ州

マニトバ州のPNPに合格するためには、以下のうちの1つに該当している必要がある。

1. マニトバ州在住で勤労している親戚がいる、あるいは市民権または永住権をもっている人で、申請者を支援するサポート宣誓供述書 (Affidavit) にサインをしてくれる人が最低5人いること。
2. マニトバ州の雇用主より雇用のオファー（申し出）を得ている。
3. カナダ人材開発省：Human Resources Development Canada (HRDC) より専門技術者として就労ビザを取得している。
4. セミ・スキルドの職種において6ヵ月以上有効な就労ビザをもっている。または、
5. 学位免許、免状などを取得できる高卒以上の教育を修了、もしくは専攻に関連した分野において就労ビザをもつ留学生。

マニトバ州のPNPプログラム審査期間は、5ヵ月から6ヵ月といわれている。州政府のPNP審査に合格した場合、続いて連邦政府が健康上の問題や犯罪歴をチェックするために申請書の見直しを行う。この審査は6ヵ月から8ヵ月かかるので、最終的な審査期間は、11ヵ月から14ヵ月となる。なおマニトバ州では、PNPに申請中の人たちに対して、短期的な就労ビザを与えている。
またマニトバ州では、PNPの合格者に就労ビザ取得の際の推薦も行っている。就労ビザは、カナダ国内及び国外でカナダ連邦政府より発行される。

ノバ・スコシア州

アルバータ州に似て、申請者が、人材が不足している分野で正規従業員を募集している雇用主から、雇用のオファーをもらっていることが基本的な条件となる。対象となる職種は決められていないが、一般に、ある程度の学歴が必要なものとされており、熟練技術者に対する考慮もされている。
ノバ・スコシアのPNPに興味のある人は、まずノバ・スコシア州でPNPの担当者と面会する必要がある。ノバ・スコシアのPNPにはポイント制が採用されているが、連邦政府の移民プログラムに比べると柔軟的だ。現在のところノバ・スコシア州が重点をおいている分野は、宇宙科学、オフショアーの石油やガスの開発、ハイテクおよびその他の専門技術を要する分野となっている。
ノバ・スコシアのPNPは新しいプログラムで、審査の所要期間ははっきりしていない。

ニュー・ブランズウィック州

このプログラムも新しいもので、合格点数は83点満点の50点。合格するためには雇用のオファーも必要だが、必ずしも需要の高い職種における技術をもっている必要はない。しかしニュー・ブランズウィック州に申請者をサポートする人がいる場合には合格する可能性が高いようだ。
審査期間は6週間から8週間程度と短い。その後、連邦政府のチェックがあるが、申請から永住権取得までわずか6ヵ月から8ヵ月だ。

プリンス・エドワード・アイランド

申請費用が必要でこの費用は返却されない。プリンス・エドワード・アイランドの雇用主からの雇用オファーも必要となる。職種に関しては専門技術を要するもので、申請者が、求められている職種に該当することが好ましい。奨励されている専門技術のリストもあり、合格には50点が必要とされる。
審査期間は2週間から4週間とひじょうに短い。

ニューファンランド＆ラブラドール州

PNPプログラムはあるが、現在のところこの募集は行われていない。

ブライアン・エドワード・忠義・辻（移民弁護士）
E:mail: bett@istar.ca
TEL:(604)688-2286