ライフ−連載コラム記事
  カナダに住む ことばと ワーホリ追跡日記

小林久美子さん
学習院大学法学部政治学科卒業。
特許関係の事務所で1年半勤務。
ワーキング・ホリデー・ビザで
2003年9月に渡加。


追跡レポーター:
山本英徳(やまもとひでのり) departure@cside.com

仕事場を変える

小林さんは、今まで働いていた日本食レストランを辞めて、他の日本食レストランに移ることにした。カナダで働くことの目的の1つが実際に英語を使う場に身を置くことだったが、これまでの職場の従業員には日本人が多かったため、どうしても仕事中に日本語を使うことが多かったからだ。仕事に慣れて自信もついたことで、職場を変える決心がついた。
今回の就職活動は、前回より余裕をもって取り組めた。初めて就職活動をした時とは雲泥の差だ。最初の時は英語にもほとんど自信がなかったため、ひじょうに弱気な就職活動だった。募集広告を見ても、「英語力要」という記載がある場合は応募をあきらめていた。また、募集広告を出していない所には、最初から近づかなかった。しかし今回は、たくさんレジュメを用意して、募集広告を出していないところでも働ける可能性のあるところには、全てレジュメを置いていった。また、「英語力要」と書かれた募集広告を見ても恐れずに応募した。それほど英語力が伸びたと実感しているわけではないが、経験を通じて自分が外国で働けるという確信をもったからだ。

就職活動で店を訪ねるのは、忙しいお昼時を避け、午後の2時ごろから夜の準備が始まる5時ごろまでの間を選んだ。事前の約束なしに店長に会えることは少ないので、店員にレジュメを言付け、後から店に連絡を入れて面接してくれるよう頼んだ。レジュメには、すでにレストランで働いた経験があることや、職場で任された役割などを具体的に記載した。面接も以前は何も分からず緊張しただけで終わったが、今回は北米の習慣通りに自分を売り込むこともできた。こうした経験を重ねたことで、現在は「少し位のハードルなら乗り越えられる」と感じられるようになってきた。
自信があることが相手にも通じるのか、今回は、前回ほど時間をかけずに仕事を手にすることができた。移った先のレストランはスタッフが全員中国人で、英語だけでコミュニケーションをとっている。

レストランにハマる

レストランで働いたことで、小林さんはバンクーバーにある様々なレストランにも興味をもつようになった。バンクーバーには、シーフードやバーベキューなどの地元料理を始め、イタリア、フランス、ギリシャなどのヨーロッパ料理、中国、日本、韓国、ベトナム、タイなどのアジア料理など、世界各国のレストランがあり、手軽な値段で楽しむ事ができる。
いろいろな国の文化に興味がある小林さんにとって、「食文化」も大いに興味がある。小林さんのお気に入りはギリシャ、ベトナム、マレーシア料理だ。日本の食文化は世界に冠たるものだが、カナダのレストランは、高級レストランでもスタッフがひじょうにフレンドリーで、堅苦しく感じることなく食事を楽しめるのが気に入った。

現在勤めているレストランは夜だけの仕事なので、日中は覚えたばかりのローラー・ブレードで街を駆け抜けたり、カフェに座って英語を自習したりして、小林さんは1日を気ままに過ごしている。英語の自習には、以前通った語学学校の教材や日本からもってきた英語の本を読み、日常会話で使えそうなフレーズをメモしている。今まで何回も読み直した教材なのに、実際に日常よく耳にする言い回しや単語が載っているのを発見した時は、今までになく新鮮な教材として目に映った。

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