私が留学生として、ブリティッシュ・コロンビア州大学(UBC)に来てから1年1ヵ月経った。この1年1ヵ月間に、留学して良かったと何度感じただろう。たくさん笑って、充実感を得た日々。また、何度胃に穴が開く思いをしただろう。これもまた数え切れない。すごく苦しくて、辛かった日々。私が海を渡り、初めて親元を離れて暮らしてみて、楽しかったことと、辛かったことは、半々だと感じている。 私は色々な壁にぶつかった、人間関係、言葉、文化。しかし、今振り返ると、そのなかでも、一番大きな「壁」は、言語でも、他文化でもなく、「自分」だったと感じる。そしてそれが私にとって今後を左右する貴重な経験となった。 留学は私の幼いころからの夢だった。中学、高校、そして大学に進学してからもその夢を追い続けて必死で英語の勉強をした。他の科目も、GPA(学業平均値)を上げるために、手を抜くことは一切しなかった。留学資金を作るため、アルバイトも3つ掛け持ちして働いた。私は、留学の夢をかなえるためだけに、生きてきたようなものだった。しかし、それゆえに、留学の先にある自分の将来を考えたことがなかった。
夢だった長期留学がかない、UBCで2年生後期から5ヵ月通学した後、私の前に、初めての壁が立ちはだかった。そのころになっても、留学の先にある「道」が決められず、焦燥感と自己嫌悪の気持ちが募ったのだ。立命館大学に3年生として復帰するか、留学期間をもう1年延長するかの選択を迫られ、私は後者を選んだ。その理由は、新たな学問やインターンシップ、そして自分の可能性に向かって挑戦したかったからだ。そして、その挑戦を通して自分の興味や関心を広げて、最終的に、自分の将来への新たな「道」を作りたかった。 特に、海外でのインターンシップの経験は、自分の将来にとって貴重な経験になるに違いないと思った。しかし、インターンシップは過去の立命館の学生がだれもやり遂げたことがないため、私自身にとってはもちろん、立命館・UBCジョイント・プログラムにとっても新たな挑戦となることだった。 UBC2年目派遣プログラム生としてもう1年在籍するためには、指定された科目以外に、正規開講2科目の受講と合格が必要とされた。正規開講科目とは、UBC生達と共に受講する科目である。もちろん授業、レポート、試験ではUBC生と同様に評価されるため、私のような、英語のままならない学生にとっては大変厳しいものである。しかし、合格しなければ、UBCの在籍が取り消しになってしまう。そのため、1月から4月にかけて、信じられないほどの勉強量をこなした。 授業にはレコーダーを持ち込み、講義を録音する。家に帰って聞き取れなかったところを聞き直す。予習・復習を怠らない。特に、授業の前に予習としてテキストを読み込み、提出物があれば、それも並行して行うことは当たり前のことだった。 やらなければならないことが多すぎて、1日24時間では足りないくらいだった。週末も私にはなかった。平日は、夕食の後、図書館で閉館時間の11時まで勉強。その後、場所を変えて、寮の自習室で夜中の2時、3時まで勉強。週末は、朝8時に起床。9時から図書館で勉強。1時に昼食をとり、また夕方6時まで図書館。夕食後も、図書館。そして夜中は自習室。
こんなことは私一人では4ヵ月も続けられなかったが、同じ目標をもち、一緒に頑張ってくれる友達がいてくれたから、やり遂げられたのだと思う。 UBCでの留学、自分の将来について考える、最高の機会を私に与えてくれている。実際、日本とは違う世界を見たことで、自分がまだまだ「井の中の蛙」だと実感したし、UBCで学び、また異国で様々な人と出会うという経験が、もっと世界に羽ばたきたいと願う私に、大切なきっかけを与えてくれた。
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