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軸丸優子 立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学科専攻。2 年生。 趣味はスポーツと音楽鑑賞。大学2 年次にバスケット・ボールサークルの主将を務めた。将来は国際機関で働きたいと考えている。

カナダへやって来てから早7ヵ月。
私は去年の4月から、立命館大学を休学し、英語を学ぶためにカナダへやって来た。留学は幼い頃からの私の夢だった。物心ついた頃から「国際」という言葉に憧れ、高校・大学と「国際」にかかわるクラス・学部を選んできた。しかし大学入学後、具体的に「国際」に関する事柄を勉強していくうちに、「国際」とはいったい何なのか、なぜ自分が「国際」に固執するのかが分からなくなってしまい、すっかり目標を見失ってしまった。

「このまま大学を卒業して就職することが本当に自分がやりたかったことなのか・・・」
何度も自分に問いかけた結果、今が行動の時だと感じ留学を決意した。もちろん不安はあった。復学後のこと、友達のこと、サークルのこと。いろいろ考えすぎて臆病になってしまうこともあったが、それでは今までと変わらない。勇気のない自分を変えたいという強い思いが私を動かした。

「自分にとって特別と言えるものを見つけること」
これが留学に対する私の目標だった。

カナダに来てからは、とりあえず3ヵ月、ブリティッシュ・コロンビア大学の語学教育部門で英語を学んだ。
英語を学ぶうちに、インターンシップに参加するという新たな目標が私のなかに浮かび上がってきた。
インターンシップをするにはビジネス英語を学ばなければならない。
そこで、3ヵ月間、バンクーバーにあるビジネス・スクールに通いビジネス英語を学んだ。その後、運良くインターンシップの受け入れ先も決まり、昨年11月からインターンシップをしている。
最初の職場は精神障害者の人権侵害を扱う非営利団体で、翌月には別の人権擁護団体に移った。これらの団体の目標は、見えないところで行われている暴力を公にすることで人々の意識を高め、世の中を変えようというものである。

「悪」と呼ばれる行為は、たいてい見えないところで行われている。だれも気が付いていないからこそ、何が起こっているのか、何が問題であるのかを見極めることは本当に難しい。
インターシップ先のオフィスには、人権侵害に対する訴えの手紙が多く送られてくる。私の同僚がその手紙を読んで説明してくれるのだが、内容があまりに生々しいため、毎回冷や汗が出る思いだ。

莫大な情報のなかから何が正しく、何が誤りであるかを見分けることの難しさも学んだ。
何に対しても、肯定的な情報と否定的な情報があるが、この両方に目を向けなければならない。どちらかに偏りすぎてしまうと、全体像が見えなくなってしまう。どちらが正しいのかを判断する際に、私は混乱に陥ってしまうことばかりだ。

人権擁護を目的とした団体の現場で実際に働いてみて、自分でイメージしていた仕事が、現実に担当することになった仕事の内容とは大きく違うことに戸惑うと同時に、一つの団体における業務の多様さを認識した。
私がイメージしていた仕事は、プロジェクト作りや展示会に関わるなど、もっと華やかなものだった。しかし、私が実際やっていることといえば、データ入力、ファイリング、リサーチのほか、苦情の電話に対応したり、ボランティアの人々に手紙を送ったりと地味なことばかりだ。
「新聞では派手に取り上げられているけれど、実際にやっていることはこんなに地味なんだよ」と同僚が言っていた。そのとおりだと思う。しかし、たとえどれだけ地味であっても、この仕事をする人がいるから世界が変わるのだと身をもって感じている。

大きなものを動かすには、多くの人の声と、一人ひとりの小さな努力がいる。
例えば1円の募金、署名、教育、何でも良い。一人ひとりの小さな努力と力が集まって世界を動かす。地味ではあるが自分のやっていることが無駄ではないと感じたとき、私は失ってしまった目標と情熱を取り戻すことができた。

私にできる「国際協力」は何だろうと考えた。
私は、まず世界と日本を知ることから始めることにした。
知ることは全てにおける出発点となるだろう。知ることで初めて「何かをしなければ」という感情が湧き上がり、その感情が人を行動へと導く。そしてさらに深く知ることで何をすべきかが分かってくる。私の留学も残すところ2ヵ月となり、正直時間不足であると感じている。日々学んだことをノートにまとめ、暇さえあれば仕事に関する雑誌などを読む毎日だが、全ての経験が私にとって新しく、消化しなければならない情報も未経験な分野であるため、頭のなかを整理しきれずにいる。
実際、最初の職場での数ヵ月は明らかに短かった。これからの2ヵ月も短いだろう。だからこそなるべく多くの時間を「知ること」に費やすつもりだ。自分がこの留学で何を得たか明確になるまで日本には帰れない。何事にも積極的に取り組み勇気をもって行動して、この留学経験を、ただの良い思い出ではなく、次のステップにつながる経験にしたいと思う。

立命館・UBCジョイント・プログラム

立命館大学とUBCが共同で開発したカリキュラムに基づき、学力と語学力の向上とともに、カナダでの生活体験を通して国際人として成長することを目指したプログラム。立命館大学と立命館アジア太平洋大学の学生100名が、毎年UBCに1年間留学し、言語教育科目や環太平洋研究、異文化間コミュニケーション等を受講している。

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