ようやく正規留学一年目の最初のセメスター(学期)が終わった。
このセメスターを振り返ると、何をしていたのかわからないまま時が流れてしまったように思う。母国語を使わずにすべてをこなさなければならないうえに、今までやったことがない教科について勉強しているために、自分のなかでなかなか消化できないでいた。きっと、今でも半分も分かっていないのではないかと思っている。まったくもって、正規留学生であると自慢できるほど偉いものではない。しかし、やりがいがあることは自覚している。留学を苦痛に感じてしまったら終わりである。 カナダの大学は日本の大学と違って、勉強量が山ほど多い。勉強以外のことはできないくらい時間がない。体調を崩そうものならクラスに遅れ、追いつくまでに時間がかかる。だれも支えてくれる人はいない。だれも自分の身代わりになれない。綱渡りのようにバランスを崩したら落ちるところまで落ちてしまう。いつも成績を気にしながら学業に取り組まないといけない。授業料が高いことも負担になる。プレッシャーに弱い私は何回も投げ出したくなった。日本に帰りたいとさえ思った。 就労ビザをもたない私たちは働くことはできない。私は、幸いにして親のサポートを受けてこちらに来ているが、自分の不甲斐なさに一旦帰国して働こうかとも思った。学費に見合った成果を上げられないことが辛い。他のカレッジに転校することも考えた。しかし、学校を変え、新しい環境に慣れるまでの精神的不安を考えるとなかなか決心はつかない。
私のもう一つの問題点は、私生活だった。 ボーイフレンドと別れてから、私はすべてが、ふっきれた。クラスメイトとも積極的に話すようになった。友達から、「変わったね」と言われるほど明るくなった。それくらい、ボーイフレンドとの生活は苦痛だったようだ。私はあまり気が付かなかったが、毎日ため息ばかりついていたらしい。今思うと本当に自分らしくない。言葉がうまく通じないことだけが問題ではなかったのだけれど、違う国の人と付き合うことは、とても大変なことである。もちろん、違う国の人と付き合うことは、すばらしいことだと思う。違う文化をもちながら、お互いを愛し合い、一緒に時間を共にする。今では国際結婚も頻繁に行われるようになったし、国籍を超えて付き合う人たちはどんどん増えていくと思う。けれども、乗り越えなければならない壁も大きい。 「英語を習得するには、恋人を作ることが手っ取り早いと」という話を聞いたことがある。だからと言って、相手を見定めないでだれとでも付き合ったのでは、自分を傷つけることにもなりかねない。
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