ライフ - 連載コラム記事
Working Holiday Report

ワーキングホリデー体験レポート

小林清華(コバヤシ サヤカ)

東京国際大学経済学部国際経済学科卒業 静岡県出身

カナダに行きます
社会に出て8年。30歳という年齢制限ギリギリでワーキングホリデーにチャレンジすることにした。日々錯綜する期待と不安。何が何だかわからないまま、新たな冒険の幕が開けた。

 

小林さん

Crater Lakeの前で

高校2年の夏、初めての海外旅行。すべてはそこから始まった。
アメリカに住む親戚のところで1ヵ月過ごし、私はその魅力にとりつかれた。初めての海外ということもあり、見るもの全てが新鮮で、そのスケールの大きさにただ言葉を失った。とにかく、今までの常識を超えたモノがそこにはあった。壮麗な自然を目の当たりにし、初めて"生きていること"を感じた。夢のような1ヵ月間だった。「この国で暮らしてみたい」そう思った。

 

虹

アメリカ留学で泊まった学生寮にかかる虹

再びアメリカへ

それから2年後、大学の留学プログラムに参加して再びアメリカへ。
オレゴン州のセーラムという小さな町で、私は10ヵ月間過ごした。
2年次の学生を対象とした留学プログラムで、毎年100名ほどの学生が、東京国際大学のアメリカ校に留学するというものだ。ここで取得した単位がそのまま大学の単位に置換できるため、休学することなく、4年間で卒業できるというのが、このプログラムの魅力。隣接する姉妹校、ウィラメット大学と授業やキャンパスライフの交流も活発に行われている。ここで、楽しいことも辛いこともいっぱい経験した。いい意味でも悪い意味でも、本当に勉強になった。アメリカで暮らしてみたいという夢は叶った。でも、まだ満足感はない。「もっといろいろな世界を見たい」・・・。そんな自分がいた。

 

自分探し

あれから10年という月日が流れてしまった。社会に出てからの生活は、学生時代とは全く違う。テストも課題もない。最低限のことをしていれば、誰にも何も言われない。どう過ごすかは、自分次第なのだ。自分で目標を決めてがんばっている人とそうでない人との差が、学生時代とは比べものにならないほど広がっていく。もちろん、目指すものは、人それぞれ。仕事で成功したい人もいれば、趣味を楽しみたい人もいる。私はどうだろう。

 

30歳というボーダーを超えるにあたって、これまでの自分、そして、これからの自分について考えるようになった。自分が何をし、これからどうしたいのか、何度も何度も自分に問いかけた。自分のことなのに、なかなか答えはみつからない。不安と焦りばかりが募っていく。今の生活にそれほど不満があるわけではない。でも、特別楽しんでいるわけでもない。なんとなく、過ごしているだけ。いつの間にか、夢や希望を持つことを忘れている自分がそこにいた。社会人になる時、お金を貯めてまた留学しようって思っていたのに・・・。その私はどこにいってしまったのだろう。

 

自問自答を繰り返すうちに、海外への想いが蘇ってきた。海外での生活を想像するだけで、ワクワクする。「これだ!」と思った。学生時代の私にとって、海外に住むことは学校に通うことを意味したが、今の私は、働きながら生活することを考えている。もちろん、現実が厳しいことはわかっている。この歳での転職は、日本でも難しいだろう。だからといって、ここで諦めたら何も始まらない。何もしないということは、わずかな可能性すら自分で奪っていることになる。足りないものは補っていけば良いのだ。とにかく一歩踏み出してみよう。

 

ネット漬けの生活が始まった。海外に行こうと決めたのはいいが、具体的なことは全く見えていない。とにかく、情報収集の日々が続いた。「インターネットって、素晴らしい!」。改めてそう感じた。自分の部屋から一歩も出ることなく、いろいろな情報を手にすることができるのだ。ただ、あまりにも情報が多すぎて、逆に頭が混乱することもしばしば。全てを鵜呑みにすることが危険なのはわかっている。でも、何が良くて、何が良くないのか…判断が難しい。その判断の手助けをしてくれたのが、ブログの存在。ブログでは、実際にその国で生活をしている方々の生の声を聞くことができる。また、同じように計画を立てている人たちとも出会える。多くのことをそこから学び、どれだけ多くの励みになったことか。出発の前に、こんな出会いがあるとは思っていなかった。もし、この出会いがなければ、私はカナダには行かなかったかもしれない。それほど、ブログは、私にとって大きな存在となった。不思議な世界だ。

 

こうしてブログを読み漁るようになり、ぼやけていた視界に、一本の道が見え始めた。
(続く)

 

Top of page