ライフ - 連載コラム記事
カナダに住む(Live in Canada)

国外退去の試練を乗り越え、夢に向かう



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瀧 卓也さん
(たきたくや)

建築デザイン専門学校在学中 
神奈川県横浜市出身30歳

勤務先倒産を機に
デザインを勉強

 瀧さんは、高校を卒業後、大手カメラメーカーの販売部を経て、ソフトウェアを取扱うベンチャー企業に転職した。その会社では営業職を担当した後、広報出版部に配属され、グラフィックデザインを学ぶ機会に恵まれた。もともと創作全般が得意で、デザインの仕事に興味があったため、仕事は楽しかった。しかし、突如会社が倒産、人生の岐路に立たされた瀧さんは、職を失ったこの機会に、空間演出デザインを学ぶことにした。1年間専門学校に通い、さらに「もっと本格的にデザインの勉強がしたい」「同時に英語のスキルも得られたら仕事の幅も広がるのでは」と、構想が膨らんでいった。



「もっと勉強がしたい」と留学を決意


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学校でField Trip(遠足)に行った時のバスの中で

  失職したことが呼び水となり、デザインと英語を学ぶために、瀧さんは留学を決意した。 留学先はカナダを選んだ。現地で働くこともでき、半年間は学校へ通うこともできるワーキングホリデー制度を利用して、2005年4月に来加した。

留学エージェントと学校に相談、半年したら学生ビザに切り替える手はずにして、瀧さんは夢だった建築関係の専門学校に2年間の予定で入学した。しかし、そのことが後々波乱を呼ぶことになるのだ。


楽しい旅行が暗転した事件


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ホームステイしていた時に、ホストファミリーと

  カナダでは韓国人、日本人とのシェアルーム住まいも快適で、理想の学校も見つけ、順風満帆の留学生活がスタートした。2005年の8月、間もなく帰国する日本人ルームメートとの思い出作りのため、1ヵ月のアメリカ旅行を計画した。寝泊り可能な大きい車を手に入れ、キャンプ用品を購入し、準備万端で出発した。ところが、アメリカとの国境で事件は起きた。瀧さんのビザは違法であると宣言され、アメリカ側からカナダ側入国管理部署に回された。何時間にもわたる取調べの末、1週間以内の国外退去が瀧さんに言い渡された。理由は、「ワーキングホリデーでの2年間の就学は不可」。「学生ビザに切り替える予定だ」と訴えたが、カナダの入国管理署員は「ビザの切り替えは母国へ帰国して正規の手続きを踏まなければできない」と言い、情状酌量は一切なかった。


七転び八起き!再起復活戦


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友人たちとアラビア料理を食べに行き、飲んで踊って騒いだ楽しい思い出

  楽しい旅行のはずが一転した。留学エージェントや学校側は、最初は落ち度を認めたものの最終的には「自己責任」という結果になり、泣き寝入りするしかなかった。学校を休学し、友人に荷物を預け、不安な気持ちのまま、瀧さんは日本へ戻って学生ビザを申請した。くじけそうになる気持ちと戦いながら、学生ビザが下りるまでの間、広告デザインのアルバイトに精を出した。そして今年の4月、無事復学を果たした。辛い日々だったが、「災い転じて福となる」という経験にもなった。荷物を預けたカナダ人とは、この事件を機に親友となった。多くの友情も得た。他人任せではいけない、情報収集は自分でしなければいけないということも学んだ 。


手作りペンションのオーナーに


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家具製作授業で

  その後も、いろいろな困難にぶつかることはあるが「打たれ強くなった(笑)」と、少々のことで動じることはなくなった。現在は心新たに、デザインの勉強中である。将来の夢は、日本かカナダでのペンション経営。経営だけでなく、建物もインテリアも自分で設計した手作りのペンションを考えている。「工房も作って、そこで好きな家具を制作できたら」と、瀧さんは夢を描く。卒業制作には家具を作る予定だ。




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