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留学で人生が180度転換
金田史能

Eric Hamber Secondary School 在学中。大阪府出身18歳


金田史能(かねだふみたか)君は世間の常識通りに高校へ進学した。だが、開放的な性格の史能君には、細かい規律にしばられる日本の高校の雰囲気が合わなかった。そんな折に知人の話から、留学という選択肢があることを知った。留学先には、英語を公用語とする国を選び、オーストラリアとカナダを候補に挙げて2001年の春に下見に訪れた。

オーストラリアからは日本に似た印象を受けた史能君だったが、カナダでは建物の雰囲気に異国を感じさせるものがあり、自然のなかで近代的な都市が調和しているところも気に入った。下見から帰った直後に、親から留学先をどちらにするかと問われ、史能君は迷わず「カナダ」と答えた。

留学手続きの準備は斡旋業者を通さず自分たちで行ったため、入学するまでにバンクーバーと日本を3回も往復した。学校選びには、バンクーバー教育区の学校紹介の資料を見て、そのなかの数校を訪ね歩いた。資料から受ける印象と実際の感じが違ったり、申し込もうとした高校が希望者でいっぱいになっていたこともあって、学校の決定には時間がかかった。最終的にはバンクーバー教育区の日本人職員のアドバイスも参考にして、校風の落ち着いた現在の高校に決めた。知人から紹介を受けた家にホームステイを引き受けてもらい、準備から半年経った2002年9月から、史能君のエリック・ハンバー・セカンダリー・スクールでの留学生活が始まった。

史能君は小学校1年生の頃から、会話主体の英語塾に通っていたため、英語の発音では苦労がなかった。だが、日本では馴染(なじ)みのなかった単語に次々と直面し、語彙(ごい)の不足を痛感した。そのため、学校のESLの授業で先生が説明する言葉をノートに書き取って復習を繰り返し、徐々に使える単語を増やしていった。授業ではクイズと呼ばれる小テストが頻繁にある。そのテストの準備や宿題のために、史能君は毎日2時間は自室で勉強する日々を送っている。

カナダの高校はコンピューター・グラフィックスから法律まで多彩な選択科目を備え、個人の興味や関心を生かせる学習環境が整っている。しかし史能君は、選択科目の内容を充分に把握できないうちに科目を決めなければならなかったために、カウンセラーのアドバイスに従って、どんな生徒にとっても無難な科目を選択した。もし留学前に科目内容を良く理解していれば、自分の取りたい科目をもっと吟味しておいただろうと史能君は思っている。

地元の高校生と席を並べて履修単位を獲得するのは並大抵のことではない。だが、せっかく海外に来たのだから、活動を学習に限らず、その土地にしかないものをしっかりと見たい史能君は、度々自転車に乗って外へ飛び出す。ホームステイ先の辺りは、樹齢の長い大きな木々が立ち並び、趣のある住宅が連なっている。街道を抜け、川にかかる大きな橋を渡れば、高層ビルの立ち並ぶダウンタウンへ一息で着く。さらに雪を頂いた山々と渓谷のある自然豊かな地域へも史能君は足を伸ばす。一人でバスやフェリーを乗り継ぎ、バンクーバー・アイランドのビクトリアへ出かけたこともあった。

夏はバンクーバーが最高に輝く時だ。ダウンタウンにはジョギングやローラー・ブレードを楽しむ人が多く見かけられ、海にはたくさんのヨットが浮かぶ。海岸でサーフボードや水泳を楽しんだり、思い思いに時を過ごす人達に混じって、史能君は友人とビーチ・バレーボールを楽しむ。また、浜辺に横になってくつろぎ、通りすぎる人々に目をやるだけでもまるで洋画を見ているようで、うれしく充実した気持ちになる。

日本では遠出をしなければできなかったマリンスポーツや、スキー、スノーボードも、バンクーバーでは身近に楽しめる。日本で暮らしていた時は、無味乾燥な灰色の建築物に囲まれていて、公園に行こうという気もおきなかった史能君だが、バンクーバーでは緑の多さと陽気に誘われて、戸外でのんびりと時を過ごすことが多くなった。バスケット・ボールからバドミントン、サッカー、アメリカン・フットボール、アルティメットと呼ばれるフリスビーを使ったスポーツなども、史能君は友達と一緒に楽しんでいる。

留学してから自分が変わったと思うことはたくさんあるが、親への感謝の思いが湧き出したことが最も大きな変化だ。一人で解決しなければいけないことに数多く直面するなかで、それまであらゆる面で親任せだった自分に気づいた。そして見えないところで助けてくれていた親のありがたみが身にしみて感じられるようになった。史能君にとってそれは、人生が180度転換したと思えるほどの変化で、留学で得られた大きな成果であると感じている。

カナダから日本に帰省するたびに、周りの人に精神的に大人になったと言われるようになった史能君。今後はさらに広い世界を見てみたいと、高校卒業後にヨーロッパに行くことも考えている。
これから留学を考えようとする人には「我が道を行け」と伝えたいという史能君は、カナダでの留学について、「環境は整っているから、自分の意志さえあれば進んでいける。前に進み始めれば、不安に思っていたことなど忘れてしまう」と話す。「自分は貴重な体験をさせてもらっている。その時間を無駄にしたくない」。今に気持ちを集中し、体当たりで道を切り開いてきた史能君だ。