ライフ−連載コラム記事
  カナダに住む ことばと ワーホリ追跡日記 Hello, Canada

小林久美子さん
学習院大学法学部政治学科卒業。
特許関係の事務所で1年半勤務。
ワーキング・ホリデー・ビザで
2003年9月に渡加。


追跡レポーター:
山本英徳(やまもとひでのり) departure@cside.com

深く印象に残った3つのイベント

カナダに来てからすでに10ヵ月を過ぎた今、小林さんはすっかりカナダの生活に慣れ、毎日の行動範囲もかなり広くなった。人気のある店の話題やイベントなどに関する情報もよく耳に入るようになり、暇をみつけては足を伸ばしてこうした店やイベントを訪れ、積極的にカナディアン・ライフに参加している。

この夏、小林さんが見に行ったなかで深く印象に残ったイベントが3つある。
バンクーバーのダウンタウンに近い海岸で行われた花火大会、バンクーバーの日系社会の中心的なお祭りともいえるパウエル祭り、そしてゲイ・パレードだ。

今年の花火大会はスウェーデンが優勝

花火大会は、セレブレーション・オブ・ライツ(光の祝典)と呼ばれ、毎年世界から異なった国が参加してその技を競うものだ。海上に作られた特設ステージの上からシンフォニーに合わせて花火が打ち上げられる。会場のイングリッシュベイは砂浜が数百メートル続く海岸で、海辺に沿ってカラフルな木造アパートや高層アパートが並び、周辺の通りにはトレンディーなレストランやカフェが集まっている。花火大会は日を置いて1週間行われるが、開催日は一帯が交通止めとなり、海岸はびっしりと人で埋まってしまう。普段はどこに行っても混雑がないバンクーバーだが、どこにこれほどの人がいたのかと思うほどの人出だ。周辺のアパートのベランダにも、花火を鑑賞する人の姿が並んでいた。
今年参加したのは、スウェーデン、中国、スペインの3ヵ国。
バンクーバーの夏は日が長いため、花火が開始されるのは夜の10時だ。やっと暗くなった空に鮮やかな花火が打ち上げられると、あちこちから歓声があがる。日本の花火と比べて打ち上げる数は少なく、時間も短く、規模も小さかったが、今まで自分が知っていた花火とは一味違った花火で心から楽しめた。そして、周りのカナダ人と一緒に歓声を上げているうちに、日本の夏の風物詩である花火がとても懐かしくなった。

たこやきの露店は人気がある

パウエル祭は、カナダ日系移住100周年を記念して1977年に始まったもので、日本の縁日と文化イベントを合わせたようなお祭りだ。会場は、昔、日系人が集まって住んでいたバンクーバーのパウエル・ストリートにある公園が中心で、周辺にある小劇場や日系施設でも各種のイベントが行われる。
公園のなかには舞台が作られ、太鼓の演奏、舞踊、落語などが行われる。公園の芝生の上では空手のデモンストレーションや相撲大会が行われ、露天が並ぶ。露天で売られている食べ物はたこ焼き、焼きそば、かき氷、今川焼き、いか焼きなど、まるで日本の縁日と変わらない。
小林さんは、このお祭りを見に来る人はすべて日系人だと思っていたが、意外に一般のカナダ人や国籍の違う人たちが多く来ていたのに驚いた。そして、こうした人たちが、露天の前で長い列を作っているの見て、とてもうれしくなった。海外で暮らして日本を外側から見られるようになり、日本の文化を見直す機会が多くなったと同時に、外国の人たちに、もっと日本のことを知ってほしいと思うようになった。

企業PRも盛んなゲイパレード

ゲイ・パレードは、同性愛の解放を訴えるデモとして政治的な色合いが強いイベントととられがちだが、バンクーバーのゲイ・パレードは地元の警察官、政治家、企業なども参加する楽しい行列になっている。見物人も同性愛とは関係なく、家族連れや赤ちゃんをベビーカーに乗せたお母さんまで、様々だ。行列の中には際どい衣装を身につけた人もいたが、趣向を凝らした企業の行列などもあり、見ていて飽きなかった。同性愛者であろうとなかろうと、それぞれの垣根を越えて人間開放を楽しく祝うパレードは、カナダのイメージにふさわしく爽やかだった。

旅立ち

小林さんは、1年間のワーキング・ホリデーを終える前に旅に出る。 今まで、仕事を二つもって頑張って来たのも、この旅行のためだった。この旅行は1年間カナダで暮らした集大成なのだ。旅に出る前に、バンクーバーの街を心行くまで歩いて、風景を目に焼き付けたいと、小林さんは笑顔で語った。

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