ビクトリア大学のESLコースを修了して、今年1月からいよいよ念願のカレッジ準備コースに進んだ。先生に言われた通り教材を事前に購入して、いざ授業に挑んだ。カレッジ準備コースで4つのコースをパスするとカレッジに入学できる仕組みになっている。
カレッジ準備コースはESLコースと違い、本格的に留学している感覚がある。こちらの高校生の英語と同じレベルの英語力を養うもので、読む量も書く量も格段に増えた。のんびり構えていられたのは最初の一週間だけで、その後は授業の進度についていくのに必死だった。私の場合は、カレッジ準備コースに加えて数学も受けていたので、さらに忙しさは倍増した。帰宅後は次々と出される宿題との戦いとなり、時間があれば何よりも寝ていたい気分だった。 ESLコースを受講していた時と同様、最も苦労したのはリーディングで、毎回テストでは、合格ぎりぎりの点数しか取れなかった。自分でもなぜ上達しないのかがさっぱり分からなかった。先生からアドバイスをもらっても一向に変化がなく、苦痛に満ちた日々が過ぎていった。 会話とプレゼンテーションを中心に教えるコースでは、主にノート・テイキング(話を聞きながら、メモを取る技術)と、効果的なプレゼンテーションの方法や話し方を習った。このコースは、カレッジの授業に先立つ心構えみたいなもので、さほど難しくなかった。先生も分かりやすく教えてくれたので、とても役に立った。
私は、それでもあきらめずに、毎回課題やテストを返却された後は、先生のオフィスに行き、弱点を聞くようにしていた。先生もその努力を買ってくれ、親身になって教えてくれた。そんなかいもあり、精神的に不安な状態でありながらも、リーディングとライティングのクラスは、ぎりぎりでパスすることができた。そして、会話、プレゼンテーション、数学のクラスは、納得行く結果でパスした。 こうして、いよいよカレッジ準備コース最後のコースを、2004年5月から受けることになった。 最後のコースは再度リーディングとライティングで、週3日間だけで授業時間は短い。しかし、時間が短いからといって、たかをくくると大間違い。その分宿題が今まで以上に出る。また、授業時間が短いために、先生が授業の構成をしっかりしていないと時間が足りなくなり、内容が充分解説されぬまま授業が終わってしまう。この結果、授業でできなかった分が宿題になり、課題を提出しなくてはならなかったりした。 リーディングのコースでは、文学を中心に学んだ。題材には詩や短編小説が出てきたが、驚いたことに先生が、短編小説の一つに川端康成の作品を選んできた。私は、その作品を読んでいなかったが、英語で読む日本の文学は、難しいニュアンスの日本語が省かれているので、すっきりとして分かりやすかった。このことから、今まで文学に興味がなかった私は、日本の文学に少しばかり興味をもち始めた。 ライティングのコースは、主に前回のコースでやった内容のおさらいと、カレッジで必要な筆記力を学ぶ。メインは、リサーチ・ペーパー(論文)を仕上げる技術だ。
こうして私は、一年半という長いようで短い期間で、何とかESLコースとカレッジ準備コースを修了することができた。これもすべては、家族の支援と、こちらで出会ったたくさんの友達の支えがあったからこそだと思っている。このような支援がなかったら、きっと日本に帰ってしまっていただろう。 |
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