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実習のクラスがおもしろい。
自由な校風には戸惑ったことも。

柘植 絢子(つげあやこ)さん
宮城県出身 17歳
Elgin Park Secondary School 11学年在学中

学校の友達と

絢子さんが日本で在籍する宮城県仙台市の育英高校は国際教育に力を入れている学校だ。育英高校には交換留学プログラムがあるが、絢子さんはあえて個人留学の道を選び、昨年9月に、ブリティッシュ・コロンビア州ホワイトロックのエルジンパーク高校に編入した。
ホワイトロックはバンクーバーの近郊にある閑静な地域だ。育英高校では外国語コースに在籍しており、オーラル・コミュニケーションなどの授業が徹底して行われていたが、英語が苦手で、同級生に、「本当に留学するの?大丈夫?」と心配されました(笑)」という絢子さん。しかし、周囲の心配をよそに、おおらかな性格が功を奏して、現在はのびのびと留学生活を楽しんでいる。

兄の留学が夢の後押しに

絢子さんの実家はお寺という純日本的な環境だが、家族は留学に積極的で、外国人留学生を受け入れたこともある。そんなこともあり、5歳上の兄がカナダに一年間語学留学した。たくさんの思い出と流暢な英語力を身につけて帰国した兄を見て、絢子さんも留学したいと思った。「幅広く友達を作りたい」 「映画を字幕無しで見たい」 「大好きな洋楽の歌詞の意味を知りたい」という以前からの夢も膨らんでいった。留学手続きは、母の知人のつてを頼り、自分で行った。

絢子さんは現在ESLクラスのほかに、料理、美術、キャリアプランなどの授業を選択している。「難しい一般科目を取っていないので勉強に関しては問題ないです。料理クラスは材料のパスタを打つところから始めるなど、かなり本格的。実習が多くておもしろい」と絢子さんは語る。
学校生活ではあまりにも自由な校風に戸惑ったこともある。特に学校主催のダンスパーティーでは、「先生がいるのにスローな曲になるとみんな抱き合ってキスしたり(笑)」。

個人留学による孤独も体験

留学先の地域にホワイトロックを選んだのは、昨年10日間の短期留学でこの地を訪れて環境が気に入ったことと、ダウンタウンの学校へ留学した兄から、「学校には日本人が多かった」という話を聞いていたからだ。絢子さんは、日本人生徒の少ない学校への留学を希望していた。
しかし、日本人が少ない地域に個人で留学することには、意外な問題もあった。日本人生徒が少ないどころか皆無なこの学校には、留学生を多く受け入れている学校にあるような留学生プログラムが敷かれていなかったのだ。学校生活のなかでわからないことがたくさんあって困ってもだれにも聞けず、先輩留学生もいない。学校を通して教育委員会にも問い合わせてみたが、こうした問題に対応するサポートは皆無だった。また、地域的に裕福なカナダ人子弟が多く通うこの高校は独特の雰囲気で、慣れるまでは、必ずしも居心地の良いところとはいえなかった。

経験を生かし後輩を助けたい

英語力に限界があり、自分が知っている単語だけで毎日の生活を送るため、「本当の私はもっといろいろなことを話せるのに」というフラストレーションも溜まった。しかし、逆境に強い絢子さんは、学校生活にも慣れていくうちに、新しい目標を見出した。自分自身の経験を通じて、日本人留学生の世話をする人材が必要であることを知り、自分がその役目を果たしたいと思ったのだ。絢子さんは、留学生の受け入れ態勢が整っていない学校に個人で留学することの盲点を感じると同時に、自分自身が後輩たちの手助けができたらと思い始めた。

まるで一卵性姉妹のホストシスター

仲良しのホストシスター、ステファニーと。ハロウィンにもおそろいで仮装した。

ホストファミリーにはひじょうに恵まれた。国際線パイロットのホストファザーと元スチュワーデスのホストマザー。そして3人の子どもたち。実は絢子さんの昔からの1番の夢はスチュワーデスになることだったのだ。偶然にもその道の大先輩がカナダでの家族となったのである。ホストマザーからは華やかに映るスチュワーデスの苦労面などについても教わった。

すっかり家族の一員となっている絢子さんだが、特に長女・ステファニーさんとは同い年ということもあり、双子姉妹のように仲が良い。学校は違うのだが、放課後は一緒にテレビを見て、それに飽きたらどちらかの部屋でおしゃべり。宿題も一緒にやり、週末は一緒に買い物へ行く。
こんなこともあった。ビクトリアでエジプト展が開催された時のこと。エジプト文明に関心の高いステファニーさんに「どうしても行きたいから絢子も一緒に行って」と懇願された。その熱意に折れ、二人で学校をさぼって日帰り旅行を決行。「エジプト展はつまらなかったけど、すごく楽しい思い出になりました」。

ホームシックは全然ないという絢子さん。「このままではまだ日本に帰ってはいけない気がする。私の英語はまだまだだから」と、自己に厳しい。この留学の終わる夏には、きっとまた新たな目標を見つけて、絢子さんは羽ばたくだろう。