スタディ - 留学・英会話
Ritsumeikan at UBC.

立命館・ブリティッシュ・コロンビア大学
ジョイントプログラム・レポート:9

 

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アジア太平洋大学
アジア太平洋学部3年生

藤原良子(京都出身21歳)

クラスの半分が留学生という特殊な環境に惹(ひ)かれて入学。大学では沖縄伝統芸能エイサーサークルと岩手県小本伝統芸能七頭舞サークルに所属し、伝統とアイデンティーについて学ぶ。同時に教育にも興味をもち、ゼミでは芸能と子供の感情への影響について
研究。趣味は映画鑑賞、読書、三線(沖縄の三味線)。

言語を通して見えてくるもの。

私は日本語や日本の伝統、また、日本語教育に大変興味をもっていた。そこで、日本独特の言い回しや日本語の美しさを人に伝えると同時に、自分自身が日本の文化の外に出て客観的な視点を学ぶ事によって、日本語と日本の魅力を再確認したいと思い、留学を決めた。

 

カナダを選んだ理由は、カナダが多国籍な国であるからだ。特にバンクーバーは多様な人達が暮らすため、お互いの文化やアイデンティティーを認め合う環境がとても発展している。多くの価値観や文化が入り混じる中で、新しい価値観が生み出されているのもこの地ならではとも言える。私にとって、日本は最も魅力的な国で特別であることはもちろんだが、他の国もそれぞれ美しい文化や言葉を誇っていて、それぞれが特別なのだと感じた。こうした環境の中で、日本語を学びたいと思う人達に手助け出来ればと、私は、日本語学習をアシストするボランティアを選んだ。

 

バンクーバーで日本語を学ぶ人は大変多く、UBCにも日本語クラスがある。UBCの日本語クラスでは、基本的な会話から学術的な内容までを教え、西洋とは違う日本の価値観を知るツールとしても学ばれている。私は、大学外の日本語クラスで、自分の趣味として日本語を学びたい人に興味をもった。日本語を教えるだけではなく、教える事を通じて、自分が学ぶことにも大変興味をもっているからだ。

そこで、キャンパス外でボランティアで働ける日本語クラスを探し、日活センターを見つけた。ここを選んだ理由は、生徒の年齢や国籍が幅広く、自由に会話する学び方が魅力だったからだ。

 

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日活センターでのボランティア経験を通して最も印象深かったのは、日本語を学ぶ動機が各生徒によりひじょうにまちまちなことだった。動機が多様なだけでなく、生徒それぞれの学び方も多様だった。授業料を払って日本語を学んでいる点では大学の日本語クラスと同じなのだが、各人が、日本語を学ぶだけでなくその先に目標をもち、学ぶ姿勢も大変前向きなものであった。積極的に単語を覚えてくる人や、歴史について多く知りながらも、さらに自分で調べてきて質問する人もいる。単語の学び方を例にとっても、一つの言葉に対して反意語や同義語まで多くを学ぶ姿勢には大変感動した。

 

生徒の一人であるカナダ人の神父さんは、「何か困った事があれば連絡ください」、「英語を教えましょうか?」など、人を救うための言葉を多く学び、知ろうと勉強していた。日本文学に大変興味をもっているある男性は、とても丁寧な日本語を話し、尊敬語、丁寧語、謙譲語、さらには歴史、文学、建造物に及ぶまで幅広い知識をもち、「謙虚」と言う言葉に興味をもっていた。

 

私は、日本語を教えるという行為を通じて、日本語の美しさ、その言葉を使う文化の美しさ、その言葉を使う人の美しさまでを実感した。そして、日本人以外の視点から日本語を見直すことができたことは、非常に良い経験となった。日本では感じ得なかった日本語の難しさ、日本語独特の遠まわしな表現を訳すことの難しさなどを経験し、言葉を学ぶ私自身の姿勢にも大きく影響を与えた。

 

言葉を学ぶには、その国の文化、人々、歴史までを知る必要すら生まれてくる。逆に、その国の文化や人々、歴史を知ろうとすることが、その国の言葉を学ぶことに繋がるのだとひしひしと感じた。また、日本語を熱心に学ぶ人たちにとって、いかに日本語が魅力的な言語であるかを知ったことで、自分の母語のすばらしさを実感させられた。

 

言語を効果的に学ぶには、本を読むことも、人と話すことも、文章を書くことも必要だろう。けれど、その言葉に関係したモノや人に興味があった時、人それぞれに、最も効果的な学習方法が自然に身に付くのだと思う。

私も英語を身に付けるには、知りたい事や知りたい人に対して積極的にアプローチして、言葉の背景にあるカナダの文化や歴史までを知る必要があると思った。

 

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