ライフ - 連載コラム記事

 

 

留学の種類と方法について

 

留学といっても、さまざまな学習分野やコースの種類がある。また留学の目的  や期間、条件、予算などによっても留学の仕方が違う。今回はその分野と種類 を@中学・高校留学、A語学留学、B専門学校留学、C大学・大学院の順に 見ていこう。

留学する年代にしても、10代から70歳代までと広がりを見せ、若年層とともに年々、中高年層の留学組が増えている。学生のとき果せなかった夢を子育て終了後に、あるいは退職後の第二の人生の門出にということなのだろう。いずれにしろ喜ぶべき状況だ。

 

中学・高校留学

海外の中学、高校への留学希望者が年々増えている。

  • 本格的な外国語や国際感覚を身に付けるには、中学生からの方が良いという考え方に基いて、小学校を出るとすぐ海外の中学校に留学させるケース。

  • 感受性の豊かな高校生のときこそ留学には最適で、外国語のほかに、これからのグローバル化時代に生きる人間形成のために高校留学をさせるケース。

  • また受験一辺倒の日本の学校教育に嫌気がさし、あるいは偏狭な教育環境に居場所を無くした子のために海外の個性教育や国際化教育を選ぶケース。 留学はこうしたさまざまな考え方で行われるが、これからの時代や社会を見据えた上で、また子どもの性格や能力、生活態度に照らし合わせながら将来の道を選ばなければならない。

さて、学校の選択や入学手続き、ビザの手続きなどは専門のエージェントにまかせるとしても、留学がうまくいくかどうかは、単に学校の成績が良いということではなく、


@ 心身ともに健全であること
A 本人がなぜ留学したいのか目的意識をきちんともっていること
B 家族と離れて自立した生活ができること
C 親の子離れができていること などが問われる。


親が子に期待する夢や願望だけで留学させるべきではない。 まずこれらの条件を確認した上で、親と子が伴って、専門の留学カウンセラーとよく相談することを勧めたい。留学するということは、家族と離れること、親しい友人とも離れること、見知らぬ国へ独りで旅立つこと、聞きなれない外国語の世界に入ること、日本の生活習慣と異なる環境で生活するということであるので、目的意識と自覚のない生徒には留学はムリな話。 具体的には、学校の調査や入学手続き、現地保護者依頼、学生ビザの手続きなど複雑なプロセスがあり、また個々によって条件も異なるので、できるだけ経験豊富なカウンセラーとよく相談することが望まれる。 クラスについては、一般的に日本人生徒の場合は言葉に障壁があるので、いきなり現地の生徒と同じ授業を受けることはできない。まずESLまたはERICOSの英語コースから始めることになる。

 

語学留学−集中英語研修

16歳以上の学生および社会人を対象にした主に1ヶ月から1年くらいの集中英語研修プログラムで、民間の語学学校と大学付属の英語コースがある。  
語学学校には、「聴く」「話す」「読む」「書く」の総合英語力の向上ならびに異文化理解を目的とする「一般集中英語コース」と、大学進学準備のための「アカデミック英語コース」がある。また、選択として、TOEFLや TOEIC、IELTS、ケンブリッジ試験など、資格や試験対策のコースも併設されている。国によって資格試験の呼び方や内容は異なるが、アメリカ、カナダの北米ではTOEFL,イギリスやニュージーランド、オーストラリアのオセアニア地域はIELTSとケンブリッジ試験が通常行われる。TOEICは日本の企業のほとんどが採用基準の一つに設けているので、日本で就職する人はできれば取っておきたい。800以上のハイスコアーを取得しておくと幅が利く。
語学留学の場合も学生ビザを取得して留学することになるが、アメリカへ留学する場合は、同時多発テロ以降、ビザ取得が非常に難しくなっているので、取得申請には十分注意を払わなければならない。 本来、日本人の場合90日以内の滞在には学生ビザの取得は必要ないが、米国に限って、週当たりの授業時間が18時間以上の場合は、90日以内でもビザ取得が義務付けられている。  
また、語学学校を選ぶか、大学付属の英語コースを選ぶかは、留学の目的や条件によって異なるので、この点もカウンセラーとよく相談する必要がある。レベルは初級から上級まであり、レベルに応じたクラスに入ることになるので、英語に自信がなくても気にする必要はない。

 

専門学校留学

主に職業専門学校(Vocational College、TAFE, Polyitechnics)への留学を指し、専攻分野のインターンシップ実務体験や資格(Associate Degree, Diploma, Certificateなど)が取得できる。国、学校、分野によって年限、履修内容、資格は異なるが、インターンシップを含めた現場体験や専門の技術や技能の取得資格認定証をもてば日本帰国後の就職活動が有利になる。 コースには、IT技術や秘書などのビジネス関係、ホテル・レストランなどのホスピタリティー関係、放送映像関係、観光旅行関係、医療アシスタントや看護師、介護師などの医療関係、美容、デザイン、、カメラ、映画などの芸術関係などさまざまな分野がある。 入学資格として英語力が問われ、TOEFLでいえば500スコアーくらい、IELTSでは5.5くらいを要求される。ただし、これも国や学校によって異なるので詳細は問い合わせが必要。 Diplomaとインターンシップを取っていれば、カナダやオセアニアなどでは就職や永住権申請の際のポイントに加算される好材料にもなる。

 

大学留学−1

日本の大学とは異なり、欧米では勉強したいものだけが大学へ行って勉強する。月曜日から金曜日までは睡眠時間にも事欠くほど夜遅くまで勉強、勉強に明け暮れる。その代わり週末は完全にモードを切り替え若き血潮を発散させる。 とはいえ、新米の留学生には通じない場合がある。とくに英語力にハンディキャップのある留学生にとっては、テキストブックを読むにも現地学生の2倍はかかるし、講義を聴き取るのも楽ではない。クラスのディスカッションになかなか入っていけず、リポートもなかなかはかどらない。最初の1、2年はほんとうに辛い日々が続くが、しかし困難を乗り越えてからの後半の留学生活は楽しさも倍加して充実度が高まってくる。 英語圏の大学を卒業できれば、ほぼ世界中の大学院にも進学が可能になるし、就職も日本だけに限らずどこの国の企業にも応募できるだけの英語力と専門性が身につく。

次回は、留学の種類と方法―その2として、各国の大学留学事情についてその内容と方法について述べる。

 

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