ライフ - 連載コラム記事
Working Holiday Report

ワーキングホリデー体験レポート

小林清華(コバヤシ サヤカ)

東京国際大学経済学部国際経済学科卒業 静岡県出身

目標を見失い、ただ時が流れてしまっている、そんな日々を過ごしていた私。 このままではいけない。これまでの自分を振り返ってみて、何をすべきか考えるようになった。自分には胸を張って誇れるものがあるだろうか。いつも、中途半端。海外への憧れはあるものの、現実は厳しいからと努力することはなかった。日本とは違う国で、働いてみたい。他の国のことを知りたい。しっかりとした志ではないかもしれないが、その気持ちだけでも良いのではないか。とにかく一歩踏み出してみよう。まずは、英語をがんばろう。

こうして新たな目標が生まれた。でも、どうやって・・・?

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店頭でよく見かける熊。ステイ先のノースバンクーバーには本物の熊が出ることもある!

暗中模索する中、バンクーバーにあるEnglish Bay College(EBC)のStep Up to Work N’Travelというプログラムに心を奪われた。これは、ワーキングホリデー専用のプログラムで、まず、学校で英語力の向上と働くためのスキルを学び、ロッキー近郊のリゾート地(ホテル等)で他の国のワーホリメーカーと一緒に働くというもの。ワーキングホリデーは自分の選択肢にはなかったのだけれど、内容をみてみると、自分の求めていたものにぴったりだったので一目惚れした。今後どう進めばよいのか具体的なプロセスを導き出せずにいた私に、ゴールまでの道程が見え始めた。「海外で働くために必要な英語力の向上とともに、多国籍の環境の中で、コミュニケーション能力も磨いていけるだろう。」私にとっては絶好の修行の場になりそうだ。

 

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ホームステイ先近くのバス停

ほぼ心は決まっていたが、日本で学校を決めてしまって良いのか、という不安はあった。でも、自分の思い描く海外生活を送っている人たちのブログからは、決まってココ(このプログラムを扱っているエージェンシー)に辿り着いていた。まるで運命の糸に導かれるかのように・・・。「ここしかない」そう確信した。

 

時が経つにつれ、心境も日々変化していった。とにかく待ち遠しい日もあれば、大丈夫かなと、ひたすら不安になる日もある。ワーキングホリデーを決断した当初は、年齢制限ギリギリのため迷う時間もなく、今しかないという思いで突き進んできたが、いざ、出発が目前に迫ってくると、不安な気持ちが膨らんできた。ここまでナーバスになる自分は初めてだ。10年前、アメリカに行った時は、不安など微塵も感じなかった。あの時は、学校の友達もみんな一緒だったから、修学旅行の延長みたいに思っていたのだと思う。だから、とにかく楽しみでうかれていて、c怖さなど何もなかった。でも、今回は違う。以前の留学で、外国で暮らすということは、決して楽しいことばかりではないことを知っている。勉強の大変さや周りに流されない強い意志が必要なこと、そしてそれがどれだけ自分を追い詰めていくかを。チャレンジする前に逃げ出したくなっている弱気な自分とカナダでの生活が楽しみでがんばろうとしている自分。そんな二人が闘っている。恐らく、この闘いは、これから先もずっと続いていくだろう。自分に負けないようがんばろう! 出発前の私は、こんなことを考えていた。

 

そして、ついにカナダ上陸!!

到着後の1週間は雨ばかりだった。話には聞いていたけれど、これほど続くとさすがに気が滅入る。ただでさえ、まだこの新しい生活に慣れていないのに・・・。そして、初めてのホームステイ。とにかく右往左往する毎日。この1週間はバンクーバーを楽しむ余裕など、ほとんどなかった。

 

太陽と初対面した日。私が目にしたバンクーバーは、本当に美しく、その街並みや風景をただ見ているだけで、心が洗われていく気がした。とにかく感動した。ここで暮らしている人たちは、なんて贅沢なのだ、とも思った

 

1週間後、学校が始まった。こちらにきて、学校の変更も可能だったが、当初の予定通り、EBCに通うことにした。その理由のひとつは前述したワーホリプログラムだが、もう一つ、ESLのカリキュラムも大きなウェイトを占めている。テキストがバンクーバーの生活に密着した内容になっているので、英語はもちろんのこと、この土地の文化も同時に学べるのだ。非常に身近な内容なので、その日習ったことを、ホストファミリーとの会話で試したりすることができ、とても良い復習になっていると思う。ただ、しばらく使っていなかった頭を、突然フル回転で活用し始めたので、とにかく疲れる。目下の悩みは、毎週金曜日に行われる1週間の復習テストとプレゼンテーション。おかげ(!?)で、1週間があっという間に過ぎてしまう。

 

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通学路からは入り江を挟んでバンクーバーのダウンタウンが見える

カナダにきて3週間。毎日が驚きの連続で、とても新鮮。でも、まだ学校の勉強をこなすことと、ホストファミリーとの生活に慣れることで精一杯。常に神経を研ぎ澄ませ、気を使っている感じ。そのため、心から楽しむところまではいっていない。思いっきりエンジョイできるよう、もっと英語の勉強がんばろう。いつの日か、ごく自然に、英語で生活できる日を夢みて。
(続く)




 

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