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Ritsumeikan at UBC.

15年目を迎えた
立命館・UBCジョイント・プログラム ・
レポート:13

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橋本名津雄
立命館・ジョイントプログラム現地派遣職員

“カナダでの経験は、立命館のみならず日本社会にとってもひじょうに意味のあるものと考えている”


カナダに来て5ヵ月になってから、留学で残された日数を数えるようになった。UBCで 第2タームを迎えた今、一緒に留学したクラスメートたちも残りの月日を意識せずにはいられないようだ。


立命館大学は、カナダ・バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)と共同で開発したカリキュラムに基づき、学力と語学力の向上とともに、カナダでの生活体験を通して国際人として成長することを目指したプログラム、「立命館・UBCジョイント・プログラム」を行なっている。1991年度から開始され現在まで続いている歴史のあるプログラムで、毎年、立命館大学と立命館アジア太平洋大学の2回生を中心に全学部から選考された100名の学生を、9月から翌年の4月まで7ヵ月半あまり派遣するものだ。
大人数の派遣学生をサポートするため、UBC内に本プログラムを支援する専用のオフィスが設置され、プログラムディレクターを中心に、立命館からの派遣教職員がUBCの教職員と協力して、現地における参加学生の勉学や生活上の指導・援助を行なっている。こうした先進的な取り組みが評価され、本プログラムはカナダの教育機関からも高い評価を受け、何度か表彰されている。派遣学生は、UBCキャンパスで言語教育科目やコア科目、その他の正規開講科目を受講し、「立命館・UBCハウス」をはじめとするキャンパス内の寮でUBC学生と共同の生活を送っている。

「立命館・UBCハウス」は、両大学の学生が共同生活を送り交流を深める目的で立命館とUBCが協力して建設した寮で、スウィートと呼ばれるユニット(4つの個室と4名が共同で使用する台所・居間・浴室等が1つにまとまったもの)が50ある。また、コンピューターを備えた最新のLL教室や、英語の授業に使用するセミナールームなのどの学習環境も整備され、新入寮生歓迎パーティー、ゲーム大会、スポーツフェスティバル、音楽会などの学生企画も行われている。


プログラム開設当初は「立命館・UBCハウス」に全ての派遣学生が住んでいたが、現在は学生のニーズも多様化し、UBC内にある「トーテムパーク寮」や「プラス・バニエ寮」(いずれも一人部屋、キッチンなし、バス・トイレはフロアで共有)、「ゲージ・タワーズ」、「サンダーバード寮」、「フェアビュー・クレセント」といった寮にも入寮している。しかしながら、「立命館・UBCハウス」は現在も「立命館・UBCジョイントプログラム」のシンボルとなっている。


2年間の長期留学制度を追加

近年、7ヵ月半のプログラムに加え、1年間留学延長ができる制度が設置された。これは、時代とともに学生のニーズが多様化し、短期間の留学を希望する学生がいる一方で、海外での体験ならびに勉学を深めたいという学生が増えている現状に応えたものだ。2年間プログラムは、最初の7ヵ月半に優秀な成績を収めた学生が対象になり、UBC正規開講科目をより多く受講すると同時に、インターンシップの参加を促し、学生のさらなる飛躍を期待している。


ボランティアで視野を広め国際感を養う

留学生が勉学のみに専念してしまうと、カナダ社会との接点が薄れてしまい、カナダ社会を感じることなく、帰国してしまうことになりかねない。そこで7ヵ月半のプログラムでは、ターム1(9月〜12月)の言語教育科目のカリキュラムのなかでボランティア参加することが原則的に義務となっている。
留学は、それ自体がチャレンジだが、言葉や文化の違いがあるため、後押しがないと、一歩踏み出してカナダ社会との接点を求めることに億劫になりがちな学生もいる。ボランティアは、そういった海外留学がもつ難しさを克服する潤滑油的な役割を果たしており、留学へのプラスの作用として考えている。


本プログラムのボランティアは大きく、2種類に分かれている。
ひとつはカナダの団体・機関でのボランティア、もうひとつは地元の日系企業、あるいは日本関連企業・団体でのボランティアだ。カナダの団体・機関のボランティアはひじょうに多様だが、Child Care等の福祉関係でのボランティアが比率として多いようだ。日系あるいは日本関連企業・団体も様々だが、旅行会社等で、日本とカナダの橋渡しの手伝いをしている学生が多いようだ。


カナダでボランティアするにはポリスチェック等、日本ではないいくつかの手続きが必要となる。また、学生が英語でボランティア先を探し、面接を受け、無事採用されるまでにはいくつかのプロセスを経なければならない。そこで当オフィスでは、ボランティア先を学生に紹介したり、手続きについてアシストするなどの支援を行っている。


初めてインターンシップ学生を輩出

ボランティアよりも内容が一歩進んだインターンシップ・プログラムは、UBCからの協力も得て、受け入れ企業の開拓、企業に受入れられるための各種トレーニング、フォローアップ等を行っている。日本人学生にはなかなかハードルの高い取り組みだが、今年度ようやく立命館学生からインターンシップとして認められる学生が輩出された。
インターンシップやボランティア経験をした学生の成長は、そうでない学生と比較して目覚ましいものがある。日本では阪神・淡路大震災以来、やっとボランティアが社会的に認知されはじめたが、インターンシップやボランティアが定着しているカナダでの経験は、立命館のみならず日本社会にとってもひじょうに意味のあるものと考えており、今後も積極的に学生をサポートしていきたいと考えている。


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