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一方、カナダの語学学校を始め、正規留学生を受け入れるカレッジや高校もそろってホームステイを推薦している。その理由を、ブリティッシュ・コロンビア州立のバンクーバー・コミュニティー・カレッジは次ぎのように説明している。

「外国に移り住むことは、予想以上に困難な人生体験になることもある。バンクーバーに到着したばかりの留学生にとって、いろいろなヘルプやガイド無しに生活することは難しい。不慣れな外国の文化を学ぶうえで一番良い方法は、その国に永く住むカナダの家庭との生活を通し、習慣やライフスタイル、さらには英会話も習うことだ。ホームステイは、このような機会を留学生に与えてくれる」






安全で、目的が達成でき、経済的なホームステイ
カナダに留学した場合の居住方法は、一般的にはホームステイかアパートだ。アパートの場合は自分一人で入居することもできるし、友達とシェアすることもできる。しかし、外国で一人で暮らしたことがない人にとって、ホームステイの利点はアパートのそれを大きく超えている。
まず、家族と暮らすことが一人で暮らすよりも安全なことは言うまでもない。緊急事態が起こった場合でも、カナダ人の家族が一緒にいればこのうえない助けとなる。
また、留学の目的が英語を学ぶことである場合、ホームステイにかなうものはない。留学先の学校が質の高い講師や教材をそろえていても、放課後の生活が英語から離れれば、英語の上達度は急カーブで下がっていく。1日24時間英語の環境で過ごす学生は、英語の上達も速い。
さらに、ホームステイは圧倒的に安い。アパートの場合、数人でシェアすることで一人あたりの家賃が安くなることはあっても、食費、光熱費、テレビのケーブル代などを入れるとホームステイより高くなることが多い。

ホームステイの受け入れ家庭
ホームステイを行うホストファミリーには、中学や高校の親善交流で交換留学生をボランティアで受け入れる家庭と、個人の留学生やワーキング・ホリデー滞在者をサイド・ビジネスとして受け入れている家庭がある。どちらも、家族の一員としてゲストを迎えることが基本条件で、毎日3回の食事を用意してくれるが、サービスはそれぞれの家族の習慣やライフスタイルが違うように一律ではない。また、多くの異なった文化背景をもつ人々が集まったカナダという国情から、受け入れ先の家庭が白人家庭とは限らない。ホームステイの受け入れ期間は数週間以上で、1ヵ月単位で入居することが一般的だが、気に入った人が数年にわたり居続ける例もある。

ホームステイを成功させるには?






自分の家で暮らしていても、家庭内で問題があった場合は学業に影響する。外国での生活であればなおさらだ。このためホームステイは是が非でもスムーズに行って留学を成功させたい。ホームステイで問題が起こる場合、文化や習慣の差が原因である場合や、ホームステイに関する正しい知識をもっていなかったことが原因であることが多い。

ホームステイ先でのトラブルを防ぎ、ホストファミリーとより良い人間関係を保つために、留学生を受け入れる学校によっては、「ホームステイ・ガイドライン」を設定している。以下は、バンクーバー・コミュニティー・カレッジの「ホームステイ・ガイドライン」だ。

  • ホストファミリーのいろいろな日課にできるかぎり参加するよう努力する。
  • ホストファミリーの家族一人ひとりに対し、思いやりと寛容の姿勢を示す。
  • ホストファミリーのハウス・ルールを尊重する。
  • 決まった食事時間に送れる場合や、帰宅時間が遅くなる場合は、必ず事前に連絡する。
  • 外泊する場合は、いつでも連絡が取れるように外泊先やその他の情報をホストファミリーに知らせる。
  • 友人その他を家に招待する場合は、ホストファミリーの承諾を得る。
  • ホストファミリーのプライバシーと所有物に関し、十分に考慮する。
  • 家に備え付けてある電気機器を使う時(掃除機、アイロンなど)はホストファミリーに相談し、許可を得る。
  • 電話を使用する時は長電話を避け、夜遅い電話は差し控える(長距離電話はコレクトコール、またはテレフォンカードを使用する)。
  • 自分のあと始末は責任をもって自分で行う。
  • 自分で料理する時は、事前に許可をもらう。

知っておきたいハウスルール



上記のガイドラインにもあるように、各ホストファミリーのハウス・ルールを尊重することは、ホームステイを成功させるうえで大きな鍵となることが多い。 以下は、一般的なハウス・ルール例だ。

  • 夕食に送れる場合は、夕食を残しておいてほしいかどうかを明確に伝える。ホームステイ費を払っているからと言って、むだな食事の準備をさせない。
  • 外泊や帰宅時間でホストファミリーから反対された場合は、両親の意見と思って尊重する。
  • 食事に好き嫌いがあれば遠慮せずに言う。
  • 自分が使った皿や食器は必ず流し台にもっていく。
  • 夕食は時間をかけてとる習慣がある。食卓の雰囲気を壊すような振舞いは避け、人よりも早く終わって自室にひきこもるような振舞いをしない。
  • ホストファミリーの家族が朝食と昼食を自分で作る習慣がある場合は、自分もそれにならう。
  • 長時間浴室を使うことは避ける。風呂をとる場合はあらかじめホストファミリーに話し、タンクのお湯を一人で使いきることを避ける。
  • 浴室やトイレを使用した後は、水滴や頭髪の掃除をしておく。
  • 洗濯に関しては、頻度を相談する。洗濯物をなるべく貯めてから洗濯機を使用し、ごく少量の洗濯物で洗濯機を使用するようなむだを避ける。
  • 歯磨き用具、シャンプー、洗面用石鹸、洗濯用洗剤などは自分で用意する。
  • 毎朝起床後はベッド・メイキングする。自分の部屋は毎週1回掃除して整頓しておく。
  • ホストファミリーと一緒にレストランや映画に行った時は、自分の費用を自分で払う。
  • 喫煙は許可をもらったうえで屋外で行う。

ホームステイはホテルや民宿と違い気を使う点が多い。しかし、受け入れ側のホストファミリーも同様に気を使っている。どのホストファミリーも、息のつまるような規則を作ってゲストの自由を束縛することは望んでいない。カナダは個人の自由をひじょうに大切にする国で、本人の常識に一任する気持ちが強いのだ。ホストファミリーとの生活を円満に行うためのコツは笑顔だ。感謝の気持ちは必ずことばで伝え、問題があった場合は何事も話し合う姿勢で、誤解を生まないように心がければ、おのずから良い人間関係が作れて楽しいホームステイ体験となるはずだ。

参考資料:「カナダ留学辞典」(八木慶男著)

ホームステイレポート

 
 

● 家庭教師宅で英語研修を兼ねたホームステイ

将来、翻訳家になりたい岡田遊(おかだゆう)さんは16歳の高校一年生。来年カナダかアメリカの高校に編入留学する計画を立てている。その準備と英語の勉強を兼ねて、ゆうさんはバンクーバーの英語教師宅に1ヵ月間ホームステイした。

ホストファミリーは、フィリス・バセットさんと息子のマシュー(16歳)。フィリスさんは、バンクーバー教育区の小学校を始め、アメリカやメキシコでも英語の先生をしていた経験豊かな家庭教師だ。長年の教師生活と十代の子供の母であることから、とても良いホストマザーだ。マシューは高校生で、バスケットやラグビーをプレーするかたわら、ボランティアにも積極的に参加する好青年だ。

 

ホストファミリーの印象は?
フィリスさんは、やさしくて良い先生です。マシューもいろいろと優しくしてくれました。

 
 
 
フィリスさんはどんな方法で英語を教えてくれましたか?

会話中心で、質問に答える形でできるだけ自分から話すようにプログラムを組んでくれました。教科書は使わずに、本や絵本を使ってストーリーを読み取ることもしました。フィリスさんはゆっくりと分かりやすく話してくれるので、他の人の話す英語よりもよく理解できました。
 
 
 
ホームステイで勉強してどのような効果がありましたか?
英語のリスニング力がついたことが一番です。来年、こちらの高校に留学するために、どのような勉強をすれば良いかも分かりました。
また、日本を離れてみて日本の良さが分かりました。日本の良さを説明したかったのですが、思うように英語で説明できないのが残念でした。
 
 
 
ホームステイではどのようなことをしましたか?

英語を教わっていない時は、ほとんどフィリスさんと一緒に行動しました。買い物に行ったり、公園や海岸を散歩したりしました。連れていってもらった教会で、日本人の高校生と出会い、友達になりました。一緒に短い旅行もしました。マシューとも海岸に行ったりカヌーに一緒に乗ったりしました。
 
 
 
バンクーバーで印象に残ったことは?

海がきれいで印象に残りました。ホームシックにはならず、4週間の滞在がとても短く感じられました。来る前は、犯罪などを心配していたのですが、来てみたらそんな心配はなく、危険に思ったようなこともありませんでした。バンクーバーには、また帰ってきたいです。
 
 
 
来年の留学に備えてどんなことを勉強しますか?

映画を見るなどして、もっと英語を聞き取れるようになりたいです。カナダに来たら英語も何とかなると思っていましたが、次はもっと準備をして来るつもりです。
 
 

 
 

 
 

● 自然に囲まれた環境で一対一のホームステイ留学
    児西良清さん(22歳)

外資系の会社に入社する児西さんは、英語環境に身を置いて英会話と取り組むために、バンクーバー近郊の英語講師宅で4週間のホームステイ留学を行った。 児西さんを受け入れてくれた講師はジャニス・ゴッドフリーさん。大工が職業のご主人ビルさんと、スタイリストとスチュワーデスとして働く35歳の長女ミシェルさんの3人家族だ。

家は、バンクーバーから1時間20分ほど離れた田園風景の美しいラングレー市の市立公園の中にあり、ゴッドフリーさん一家は公園の管理人も務めている。ジャニスさんは、アロマセロピーの講師もしたことがある快活な人で、アウトドアが大好きだ。ビルさんはハンティング、釣り、水上スキーなどが趣味だ。 家を取り巻く公園の森のなかには鮭が上ってくる小川が流れ、カナダの自然を楽しみながら英語を覚えるのに最適な環境だ。

 

毎日どのような日課で過ごしていますか?

別に決まっていませんが、朝食のあとに一対一でレッスンしてもらっています。レッスンが終わった後は、ジャンさんと一緒に散歩したり買い物に行ったりしています。この地域には自然が多く、ジャンさんのお気に入りのクリークなどにも連れていってもらいました。また近くにゴールド・ラッシュ時代にできた砦があり観光名所になっていますが、ここにも一緒に行きました。レッスンだけでなく、生活を通じて英語に接しています。





 
 
 

家庭教師宅でホームステイした印象は?

最初はあまりに町から離れていた場所なので驚きましたが、雑音から離れて英語だけに熱中するにはひじょうに良い経験になりました。バンクーバーのダウンタウンに自分一人で行ってみましたが、日本人を多く見かけました。買い物もしたのですが、日本語を話す店員がいたり、日本人同士で日本語で話している留学生を見かけました。こういう環境のなかに自分がいれば、日本語から離れるのが難しいと思います。町から離れた場合、多少さびしくなるような時もありますが、長い目でみれば、日本語がまったくない環境で、講師と一対一で英語を習うことは絶対効果的だと思います。

 
 

ジャンさんとレッスンを行うときも、レッスン以外で言葉を交わすときも、児西さんは大きな声ではっきりと話している。静かに生徒を見守るビルさんは、児西さんの英語力が4週間の間に大きく伸びたことに気がついた。生徒の満足度が一番気になるというジャンさんにとっても、児西さんは教え甲斐のある生徒だったようだ。


食事をしながらの会話などが実践英語の向上につながる。

裏庭ではバーベキューも良くする。