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カナダでは大学進学の門戸が大きく開かれている。その一例がUTプログラム(University Transfer Program)だ。
カナダには大学入試がない。その代わりに高校在学中の成績で進学できるかどうかが決められているが、成績が大学進学基準に達しなかった場合にUTプログラムが効果を発揮する。また、学生によっては成績が大学進学基準に達していてもUTプログラムを選ぶ場合もあるほど、その利点は多い。
UTプログラムとは、高校卒業後、いったんカレッジに入学し、4年制大学の教養課程(1、2年)に相当する科目、または大学が認める科目を学ぶことで、2年または3年次から大学へ編入できる制度だ。
UTプログラムは、カナダ人学生の間で広く利用されているが、留学生も利用できることはあまり知られていない。カナダの教育システムの特徴であるUTプログラムの魅力に注目してみよう。

カナダのカレッジ

まず、UTプログラムが行なわれているカレッジについて説明しよう。
カナダのカレッジのほとんどは州立で、準学士号(Associate Degree)が取得できるアカデミックなコースと、実社会で即戦力となる技術を習得する職業訓練コースが充実していることが特徴だ。
職業訓練コースは、科目により数週間から3年間まであり、コース修了後は、サティフィケートまたはディプロマと呼ばれる修了証明書を取得できる。就職に有利なこれらのコースは、生涯教育としても地域住民の間でたいへん人気がある。
一方、アカデミック・コースには、準学士号プログラムや、大学編入単位プログラムがあり、カナダのほとんどのカレッジが大学編入協定制度(University Transfer Agreements)をもち、大学編入を積極的に行っている。とりわけカナダ西部のブリティッシュ・コロンビア州やアルバータ州では、UTプログラムに力を注いでいるカレッジが多い。

UTプログラムの特徴と利点

UTプログラムを利用すれば、学位取得のために必ずしも4年間を大学で過ごす必要はなく、自分の学力や経済的な都合に応じて、臨機応変にカレッジや大学を変更しながら、準学士号や学位取得のための必要単位数を満たしていくことができる。
どのような利点があるのかを、5つの項目に分けてさらに詳しく説明してみよう。

理由 その1
授業料が節約できる

カナダ人学生がUTプログラムを選択する理由の一つに"授業料の節約"が挙げられる。カレッジの授業料は選択するコースにもよるが、大学の授業料に比較すると安い場合が多い。取得できる単位や資格の内容に差がないなら、大学と同じ内容のコースをカレッジで安く受講することは賢い方法だ。留学生の場合は留学生用の授業料が適用されるが、この場合もやはりカレッジの方が安い場合が多い。

理由 その2
留学生に適した環境

大学1年目はカナダの学生にとっても厳しい年である。学生数が多い大学のなかでスタートを切るよりも、小規模の比較的リラックスした環境でカレッジ生活に慣れ、ドロップ・アウトの可能性を防ぐ慎重派のカナダ人学生もいる。大学のクラスは時には300人を越す場合もあり、生徒は聴くだけの受身になることが多い。また、担当教授は授業以外に課された仕事を多くもつため、宿題の確認をアシスタントが行うこともあり、教授と一対一で話し合える機会は少ない。
カレッジのクラスは少人数で、担当教授が生徒の宿題の確認を行い、生徒一人ひとりとの交流の機会が多い。
言葉の面でハンディキャップがある留学生の待遇面でも大学とカレッジでは大きく異なる。カレッジでは言葉の問題を含め留学生のニーズに対応してくれるケースが多いが、大学では留学生はカナダ人生徒と全く同等に扱われる。

理由 その3
入学しやすい

大学とカレッジでは、入学時に要求される語学力が異なる。TOEFLの点数で大学とカレッジの合格基準を比較すると、大学の場合は最低コンピューター213点(ペーパー550点)で、一般的にはコンピューター237点(ペーパー580点)以上となっている。合格基準の満たない留学生は、大学附属のESLコース、またはEAPコース(大学進学準備コース: English for Academic Purposes)から始めることができるが、留学期間が長くなり経済的に負担が多くなる。
一方、カレッジの合格基準は、コンピューター213点(ペーパー550点)が標準で、大学に比較してやや低い。また、カレッジごとに様々な入学方法があり、TOEFLスコアは必ずしも必須ではない場合が多い。例えば、基準点に至らない場合でも、カレッジのESLを受講しながら、同時にUTプログラムの科目を履修するなど、条件付き入学を許可してくれるのだ。

理由 その4
日本から単位移行が可能

日本の短期大学または大学の単位をすでに取得している場合、それをカナダに移行できる場合がある。移行可能と認められやすい科目が、大学3、4年次の専門的な科目よりも、1、2年次の基礎的または総合的な科目に集中していることから、UTプログラムを利用する学生に有利な条件となっている。
移行可能な科目の具体例を挙げると、一般教養科目では心理学、哲学、経済学、政治学、社会学、世界史、東洋史、人類学、数学、統計学などがあり、語学系統の科目ではフランス語がある。同じ一般教養科目でも、日本史や日本の法学などは比較的難しい。カナダのすべての大学やカレッジが外国からの単位移行を認めているわけではないので、すでに取得している科目がカナダへ移行可能であるかどうかを知りたい場合は、直接大学やカレッジに問い合わせてみると良い。またBC州の場合は、州政府の援助を得て1995年に設立されたインターナショナル・クレデンシャル・エバリュエーション・サービス International Credential Evaluation Service(ICES)www.ola.bc.ca/ices/へ依頼してみるのも一つの方法だ。ICESでは単位移行の可能性の有無を確認してくれ、その証明書を発行してくれる。

理由 その5
大学とカレッジが一緒になったユニバーシティー・カレッジ

カナダには、大学とカレッジのそれぞれの長所を持ち合わせたユニークな教育機関(ユニバーシティー・カレッジ)があり、UTプログラムが盛んに行なわれている。 同じキャンパス内に大学とカレッジがあるため、大学編入の情報も入手しやすく、大学とカレッジの間で様々なプログラムを組み合わせたり、アクティビティーに参加できるなど、カレッジにいながら大学生活の一部を経験できる。

UTプログラムを行うカレッジ

Columbia College
BC州バンクーバーにあるカナダで最も古い私立のインターナショナル・カレッジで、ビジネス、コンピューター・サイエンス、工学、コミュニケーション、自然科学、人文科学の分野でUTプログラムを行っている。大半のUTプログラムの受講者は初年度に30単位を取得し大学編入を果たしている。1科目で3単位から6単位取得でき、1学期で9単位から15単位取得可能。大学2年に編入するには最低2学期受講することが必要。入学資格は高校時の成績が中以上となっている。

Grand Prairie College
アルバータ州のジャスパー国立公園から車で4時間程のグランドプレーリー市に位置し、一般教養、経営、教育、体育、科学、コンピューター・サイエンスなど多岐にわたる2年間のUTプログラムがある。入学時に英語力が不足している場合は、同行のESL を受講し、レベル7まで終了すれば単位取得コースに編入することができる。

Northern Lights College
アルバータ州エドモントンにあり、カナダで最も規模が大きい技術専門学校の一つで、世界の経済界で活躍し成功する人材を育成している。情報技術、電気・電子技術、機械・製造技術、建築科学、健康科学、ビジネス、ホスピタリティー、クッキング、資源環境科学など、190以上の職業技術系プログラムも用意し、アルバータ州における様々な技術職の訓練プログラムも提供していることで有名。

Sir Sanford Fleming College
オンタリオ州ピーターボローを始め4都市にキャンパスをもち、9月と4月にUTプログラム入学可能。学科だけでなく、大学での専攻科目の選び方や就職活動に向けたカウンセリングも行っている。編入先の主な大学は地元トレント大学を始め、東部カナダを代表するヨーク大学、ライアソン工科大学、ブロック大学、カールトン大学、グエルフ大学、ウォータールー大学など。加えてアメリカ・ミシガン州のノースウッド大学や、オーストラリアのウエスタン・シドニー大学とも提携している。

UTプログラムを行うユニバーシティ・カレッジ

Kwantlen University College
BC州バンクーバー近郊に4ヵ所のキャンパスをもつカナダで最も大きいユニバーシティ・カレッジの一つで、UTプログラムを通じて大学編入する学生数はカナダで最も多い。キャンパスは新しく設備も整い、質の高い教育、高水準なアカデミック学習環境、小クラス、革新的なサポート・システムがあることで知られている。

Malaspina University College
BC州バンクーバー・アイランドのナナイモに位置し、経営学修士(MBA)、学士号、UPプログラム等を行っている。UTプログラムは一般教養から商業、教育、美術、音楽、工学などは幅広く、1年または2年修了後にブリティッシュ・コロンビア州大学、ビクトリア大学、サイモン・フレーザー大学、北ブリティッシュ・コロンビア州を始め北米内の大学に編入可能。

大学入学用のプログラムを行う語学学校

Canadian College of English Language
バンクーバーを代表する語学学校の一つで、カナダやアメリカを始めイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランドなど約70の大学に入学するためのグローバル・アセスメント・サーティフィケート(GAC)コースを行っている。GACは合計36週間のコースで、3つの12週間のクラスに分かれ、コースで取得した単位の約15%までを大学に移行することもできる(選択される大学、専攻により単位数は異なる)。