お酒の話カナダで、「一杯飲みにいかない?」という質問を受けることはない。日本のような「飲む」習慣がないからだ。かといって、同僚や友達同士が集まって飲みに出かけることがないわけではない。こうした場合に飲むのは大抵ビールと決まっている。集まって楽しく騒ぐパーティーといったところだ。 「酔う」ことに対する許容度も日本と欧米では違う。日本では「酔う」ことにひじょうに寛容だが、欧米では酔った人は嫌悪の目で見られてしまう。かといって、欧米にアルコール常飲者や中毒者が少ないわけではない。低額所得者層から高額所得者層までアルコールの常飲者は多く、こうした人達が飲むのはアルコール度が強いハード・リカー(ジン、ウィスキーなど)だ。しかし、外で飲む人はまれで、ほとんどの人は自宅で飲むため、公共の場で酔った人を見ることはまずない。 さて、カナダで同僚や友達同士と一緒に飲む場合は大抵"パブ"に行く。(カナダではパブと呼ばずにバーまたはタバーンと呼ぶ)。パブは西部劇に出てくるサルーンのイメージで、カウンターがあり、4、5人が座れる丸テーブルの他に、ビリヤードや有線のスポーツ番組を流している大型スクリーンTVなどがあり、ライブ・バンドが入るところも多い。こうしたパブは、スーツを着て入る場所ではなくTシャツとジーンズが主流で、人気のあるスポーツの試合がある時は、大型スクリーンを見ながら歓声を上げるグループでいっぱいになる。食べ物はナチョス(コーン・チップスにチーズやトマトソースをつけて食べるスナック)、フライド・ポテト、サンドイッチ、フライド・チキンのような簡単な食事が中心で、日本の居酒屋のようなメニューがあるところはほとんどない。 パブで飲むビールではドラフトと呼ばれる樽ビールが一般的で、グループの場合はドラフトを大型ピッチャーで注文し、それぞれがグラスについで飲む。ウェイトレスが注文のビールをテーブルまで持ってきてくれた時に、その都度チップを含め現金で支払うのが習慣だ。 ソーシャル・スキルとストレスの関係ストレスが原因で病気になる人は多いが、10年間かけてカナダで行った調査の結果、知らない人と会って話すことから受けるストレスは、仕事や勉強から受けるストレスよりも格段に大きいことが分かった。 ネットで職探しするカナダ人昨年カナダで就職した人の12%がインターネット上で仕事を見つけている。ネットで仕事を探す人はアメリカでは6%、世界の平均は3%であるから、カナダの場合は世界平均の4倍にもなる。ちなみに、カナダでは全企業の47%が自社のウェブサイトで求人を行っている。インターネットで仕事を探す率が高い一方で、仕事を見つける最も早い方法はカナダでも良いコネをもつことであるといわれている。コネで仕事を見つけるケースはアメリカで61%、カナダでは68%とコネの力は絶大だが、コネを使った場合でも面接なしに採用されることはまずない。このため、面接のマナーとノウハウはひじょうに大切だ。 カナダで就職する?カナダの会社は、その規模にかかわらず、定期的に社員を募集する制度がない。必要に応じて人材を募集する習慣で、人材派遣会社が利用される場合も多い。新聞の求人広告は2種類あり、管理職や専門性の高い仕事を募集する広告は「Career Opportunity」セクションに、その他の一般求人は「Help Waned」セクションに掲載されている。求人に応募する場合、カバリング・レター(Covering Letter)と呼ばれる自己紹介文に、履歴書とリファレンスと呼ばれる照会状を添えて提出するが、写真を添付する習慣はない。カバリング・レターは広告に募集した理由、自分の長所、経歴、特技などを1枚にまとめた自己紹介で、申請者の第一印象となるためひじょうに重要だ。履歴書に書く内容は基本的には日本と同じだが、日本のように店で買える履歴書用紙はなく、それぞれが自分のスタイルで仕上げる。使う書体もまちまちで、画像を入れたりデザインに工夫を凝らす人もいる。 学歴、職歴は最近の事柄から順に書き、職歴には業績やどのような点で会社に貢献したかなど、具体的な例を挙げて簡潔に書く。カバリング・レターも履歴書も、自己宣伝の文章として、嫌味にならない程度に自分の長所を前面に出して書くことが習慣になっている。 ワーキング・ホリデー・ビザで来加してオフィス・ワーカーとして働きたい人は、カナダに来る前から企業を調べ、就職を希望する会社には日本を出る前に連絡を取るとより効果的である。渡加後に就職活動を行う場合でも、学校の先生や以前の職場から照会状をもらっておくと役に立つ。 |