明るく元気な校長先生
バンクーバーの隣町リッチモンド市スティーブストン地区は、古くから日本からの移住者が住み着いた港町。1911年、この港町に、日系人移住者の子供たちの日本語教育を目的にスティーブストン日本語学校が建てられた。
中元さんがカナダを初めて訪れたのは1991年。ワーキングホリデー・ビザでカナダに滞在中、勤務先の旅行会社でご主人のハリーさんと出会った。3年後にはカナダと日本で挙式を行い、カナダでの二人の暮らしを開始。日本で幼稚園の先生をしていた中元さんは、スティーブストン日本語学校で募集していた幼稚園の教員に応募し、カナダでの教員生活を始めた。 「起立、礼、着席」という掛け声でざわめきも収まり、日本語学校のクラスが始まる。現在生徒の6割は家庭で主に英語を話し、残りは主に日本語を話している。低学年ではそうした環境別にクラスを分けて授業の進度に配慮をしているが、週1、2回の学習だけで日本語を習得することはたやすくない。
中元さんは子供たちが授業に集中できるようにと、学習にゲーム的な要素を取り入れている。幼稚園のクラスでは歌や遊びのほかに、一人の生徒が先生役をする「先生ごっこ」が子供たちに好評だ。なかには先生役をしたがらない子供もいるが、中元さんは無理強いはせず、子供たちの意志に任せていた。
中元さんは犬が大好きで、ナナちゃんと名づけたラブラドール種を飼っている。 つねに何かをしていることの好きな中元さんは、毎日スケジュールがいっぱいつまっている。生け花の教室通いに、手先の器用さを生かして自宅でのキルト作り。「ハーガンダー・ステッチング」というヨーロッパの刺繍も習っている。その先生は今年90歳になる女性でお菓子作りも得意。教室のある日には、その日に出されるお菓子も楽しみの一つだ。習い事では他にヨガやタップダンスも始めている。そのほか、学生時代にセミプロの腕前だったドラムも続けており、時々ご主人のギターと一緒に合わせて演奏している。 日本の実家に帰省すると、家族はこんな活動的な中元さんを見て、少し落ち着いて行動するようにと書道を勧めた。しかし、半紙に3枚ほど書いているうちに、中元さんの頭の中にはあれもしたいこれもしたいという思いがよぎってしまう。静かに筆を動かすより、体を動かすことが好きなのだ。 「まずは行動」という姿勢で、エネルギーに満ちた中元さん。学校長の大役を任されたことも、学校を推進するエネルギーが十二分にあると、周囲に認められてのことだろう。 |
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