ライフ−連載コラム記事
  カナダに住む ことばと ワーホリ追跡日記 Hello, Canada

小林久美子さん
学習院大学法学部政治学科卒業。
特許関係の事務所で1年半勤務。
ワーキング・ホリデー・ビザで
2003年9月に渡加。


追跡レポーター:
山本英徳(やまもとひでのり) departure@cside.com

そしてまた旅に出る。

「日本ではできないことを、カナダでやりたいんです」。 初めて彼女と会った時、カジュアルな服装を軽快に着こなす小林さんは笑顔でこう言った。
あれから1年が過ぎようとしている。ワーキングホリデーも終わりに近づいた今、小林さんはカナダでどんな思い出を作ったのだろう。
インタビューに答えてくれた小林さんからは、見知らぬ世界での生活を乗り越えた自信がうかがえた。

Q:どんな一年でしたか?
大体イメージ通りの一年で、それほど大きなトラブルもなく充実した一年間を過ごすことができました。バンクーバーには日本人コミュニティーもでき上がっていて、インターネットや地元の日系新聞から、生活の役に立つ情報も手に入るので、同じような境遇の友達と出会うこともあまり難しくありませんでした。

Q:滞在中での特にうれしかったことは?
仕事や習い事などを通じてメキシコ人や韓国人を始め、さまざまなバックグラウンドを持った人達と友達になれたことです。
日本にいたときから憧れていたウィスラーに行けたことも忘れられません。雪質、天候、ゲレンデともに最高でした。

Q:滞在中にがっかりしたことは?
カナダに来た当初は、英語を話す外国人とルームシェアがしたくて、日本人以外のルームメイトを探しました。実際にカナダ人の男性とルームシェアをすることになりましたが、そのルームメイトと合わず、辛い思いをしました。当初は英語がうまくなりたくて、英語、英語と固執していましたが、結局、ルームメイトといえども、仲良くならないと会話は楽しめないということに気付きました。

Q:就職活動はうまくいきましたか?
やりたかったことは大体実現しました。仕事に関しての情報はインターネットで、簡単に見つけることができます。日本にいた時からカナダのウェブサイトを見て、気をつける方が良い点を知ったり、掲示板を利用して情報を集めていたため、就職活動に関しても思ったほど苦労せずに、仕事を手にすることができました。やはり、現地の人の声を聞けたことが大きく役に立ちました。

Q:後悔していることは?
就職活動で、最初は自分の英語力にも自信がなかったため、日本食レストランや日本系企業しか回らない、弱気な就職活動をしていました。2回目に就職活動をした時は、自分の英語力に関わらず、現地企業なども回ろうと決意しました。もっとカナダ人経営の現地企業を相手に就職活動をしていれば、現地の人と一緒に働くチャンスもあったかなと感じています。
また、仕事と遊びにメリハリをつけることができなかったことも、後悔しています。旅行に行こうと思いながらもなかなか休みが取れずに仕事一色になってしまいました。職場での居心地が良かったこともありますが、もっと多くのカナダ人と出会いたかったです。

Q:日本に帰った後にどんな仕事を探しますか?
英語が使える仕事なら何でも良いと思っています。ここで暮らした一年間は、日本で就職活動するうえでも大いに役に立つと思います。
その理由は、一年間で身につけた英語力だけでなく、レストランで働いたことで学んだサービス業の知識です。要求され、また評価されるサービスがどのようなものかを学んだ経験は、もし、日本に帰った後で外国人を相手にする接客の仕事に就けた場合には、とても役に立つと思います。

Q:一年前の自分と今の自分とでは何が違いますか?
渡加以前や渡加当初は、自分の英語力に自信がなかったため、相手から話しかけられるのを待っていましたが、英語を上達させるには、「しゃべった者勝ち」ということに気付いてからは、自分から相手に話しかけることを心がけるようになりました。このことがきっかけとなり、あらゆる面で積極的になれたような気がしています。

Q:ワーキングホリデーで来る人へのアドバイスは?
ワーキングホリデーは働く権利があるとはいえ、働かなくてもある程度暮らしていけるだけのお金を持ってくることをお勧めします。そうでないと仕事ばかりの生活になってしまい、せっかくのカナダ滞在が楽しめません。やはり100万円くらいは貯金しておきたいところです。

インタビューを終わったその足で、小林さんは新たな旅への出発に期待と興奮で頬(ほほ)を紅潮させながら、グレイハウンド・バスの出発駅へと向かった。目的地はカナダ東部。国道一号線をどこまでも走り、カナダを横断して、PEI(プリンスエドワード・アイランド)まで行きたいと思っている。自分にチャレンジしたワーキングホリデーの1年間の生活に終止符を打ち、自由な旅人となって、小林さんは気ままな旅に出発した。

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