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カナダでは、2021年より毎年9月30日は新しい祝日「真実と和解の日(The National Day for Truth and Reconciliation)」として定められました。カナダのBC州では、2023年より法定祝日となりました。
2024年の「真実と和解の日」は9月30日(月)で、「オレンジシャツデー」と同じ日に定められています。
9月30日(月)は、カナダジャーナルのオフィスはお休みとなります。
本投稿では、「オレンジシャツデー」および「真実と和解の日(The National Day for Truth and Reconciliation)」の背景を紹介していきたいと思います。
「オレンジシャツデー(Orange shirt day)」は、2013年に定められました。
ドイツのナチス政権によって行われたホロコーストはご存知の方が多いでしょう。
実は、カナダでもナチス政権のホロコーストに近い「文化的ジェノサイド」が、カナダ先住民に対して行われていたのです。
オレンジシャツデーは、文化的ジェノサイドによって深く傷つけられたり、寄宿学校による虐待によって殺害されたカナダ先住民の子どもたちに思いをはせる日です。
カナダでは1830年から1990年まで、政府とカトリック教会によってカナダ先住民の同化政策が行われていました。
同化政策により合計約15万人以上の子どもたちが、寄宿学校に入れられたのです。
寄宿学校では以下のようなことが行われました。
寄宿学校の跡地では、これまで4千人以上の子どもたちの遺体が見つかっています。実際に亡くなった子どもたちは、もっと多いとされています。
子どもたちの親は、寄宿学校で何が起こっていたのか知りませんでした。多くの子どもたちは地元のコミュニティに戻らなかったからです。
この事実は、寄宿学校のサバイバーである元生徒たちの証言によって明らかにされました。
BBC Newsで証言をしている当時寄宿学校に通っていた女性は、現在は補聴器をつけています。耳の障がいは寄宿学校の教師または教会の人間による虐待のせいだったと話しています。
悲しい歴史を持つカナダでは、先住民団体とカナダ政府の間に大きな亀裂がありました。
2008年に事態が大きく変化します。
当時のカナダ首相であるステファン・ハーパーは、この歴史的出来事について謝罪をしました。
ステファン・ハーパーによって委員会「Truth and Reconciliation Commission of Canada」が設立されます。
委員会の調査によって、以下のことが明らかになりました。
委員会によって、この出来事が文化的ジェノサイドだったとする報告書が2015年に公表されています。
カナダ政府は、被害を受けた約2万5千人に補償も行っています。
オレンジ色のシャツは、寄宿学校のサバイバーであるフィリス・ジャック・ウェブスタッド(Phyllis Jack Webstad)さんのエピソードから、歴史的出来事の象徴になりました。
フィリスさんは寄宿学校の初日にオレンジ色のシャツを含む私服を取り上げられ、二度と戻ってこなかったそうです。
このエピソードによりオレンジ色のシャツは、寄宿学校制度が強制した先住民の同化政策を象徴するものとなりました。
「オレンジシャツデー(Orange shirt day)」は、2013年に定められました。カナダで行われた残虐的なジェノサイドを忘れないよう、次の世代に語り継ぐことが目的です。
2020年にはオレンジシャツデーを祝日とする法案が提案されます。
2021年に215人の子どもの遺体が発見されたことを機に、同年6月にカナダ政府は正式に祝日として「真実と和解の日(National Day for Truth and Reconciliation)」を定めました。
カナダのBC州では、2023年より「真実と和解の日(National Day for Truth and Reconciliation)」が法定祝日となりました。
当日はオレンジ色のシャツを着て、「すべての子どもが大切(Every Child Matters)」というメッセージとともに、遺族や生存者とその家族、コミュニティへの敬意を表します。
オレンジシャツデー/真実と和解の日は、過去の過ちを心に刻み、現代の人たちにもこの歴史を知るための重要な日です。
カナダのオレンジシャツデーおよび真実と和解の日のために、オレンジ色のシャツを新しく購入したい!と思った方は、先住民のデザイナーや先住民団体が作ったもの、利益がすべて先住民コミュニティに寄付されるような製品を選ぶのが正しいと思います。
オレンジシャツデー/真実と和解の日の当日は、各コミュニティでイベントが行われているので、ぜひオレンジ色のシャツを着て参加し、コミュニティへの敬意を表してみては。
こちらはUBCが主催するイベントです。
UBCが主催する、世代を超えて行われるマーチです。UBCに職員、学生、コミュニティのメンバーが行進に参加し、UBCの先住民コミュニティとの繋がりを強化します。若い参加者はキャンパスがある土地の先住民とつながり、キャンパス内外の先住民コミュニティの教育を支援することを目的とします。
BC州をはじめカナダには植民地時代の歴史があります。
植民地時代にカナダで行われたジェノサイドが、先住民コミュニティにどのような影響を与えてきたのか、さらに今後もどのように影響を与え続けているのか、「真実と和解の日(National Day for Truth and Reconciliation)」を通して留学生の皆さんも、知るきっかけになればと思います。
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